薬剤師の転職。履歴書の志望動機の書き方と例文構成
薬剤師の転職と履歴書の志望動機の重要性
薬剤師の方が転職活動を行う際、履歴書は応募先の採用担当者に自身の適性や熱意を伝えるための重要な書類です。特に「志望動機」欄は、採用担当者が応募者の人柄やキャリアプラン、そして何よりも「なぜ、他の薬局や病院ではなく、ここで働きたいのか」という入社への意欲を判断するために、非常に注目する項目となります。薬剤師免許という共通の資格を持つ応募者の中で、自身がその職場(病院、薬局、企業など)にとっていかに最適な人材であるかをアピールする上で、志望動機の内容は極めて重要です。
志望動機作成の第一歩。応募先の研究
採用担当者に響く志望動機を作成するためには、まず応募先の薬局や病院、企業について深く理解する「企業研究」が不可欠です。「貴院(御社)の理念に共感しました」といった抽象的な理由だけでは、他の多くの応募者との差別化は図れず、熱意も伝わりません。応募先の理念や方針(例。地域医療への貢献、在宅医療への注力、専門性の追求)、扱っている処方箋の科目の傾向、導入している設備、あるいは研修制度など、その職場の具体的な「特色」や「強み」を事前にしっかりと調べることが、説得力のある志望動機を作成する上での第一歩となります。
自身の経験と応募先を結びつける書き方
志望動機で最も重要なのは、応募先の特色と、自身のこれまでの経験や培ってきたスキルとを、論理的に結びつけることであります。単に「〇〇の経験があります」とアピールするのではなく、「自身の〇〇という経験(スキル)が、応募先の〇〇という点において、このように貢献できる(活かせる)と考えたため、志望しました」という流れを構築することが求められます。自身のキャリアプランと、応募先で実現できることとの「接点」を見つけ出し、具体的に記述することが重要です。
経験者が別の薬局(病院)へ転職する場合
既に薬剤師としての実務経験がある方が、別の薬局や病院へ転職する場合、即戦力性をアピールすることが鍵となります。例えば、「前職では、〇〇科の処方箋応需を通じて、〇〇(例。抗がん剤のミキシング、高度な服薬指導)のスキルを培ってまいりました。貴院(御院)が〇〇(例。がん専門病院)として地域医療の中核を担われている点に深く共感し、私の専門性を活かして、患者様の治療に貢献したく志望いたしました」といった形で、自身の専門性と応募先での貢献イメージを具体的に結びつけます。
未経験分野(例。病院から調剤薬局)へ挑戦する場合
病院薬剤師から調剤薬局へ、あるいはその逆など、未経験の分野へ挑戦する場合、これまでの経験で培った汎用的なスキル(ポータブルスキル)と、新しい分野への学習意欲をアピールします。例えば、「病院勤務を通じて培った、医師や看護師など他職種との円滑な連携(コミュニケーション)能力は、貴局(御局)が目指す『地域のかかりつけ薬局』として、患者様や地域の医療機関との信頼関係を築く上で活かせると考えております。未経験の在宅医療の分野についても積極的に学び、貢献したいと考え志望いたしました」といった構成が考えられます。
履歴書の志望動機で避けるべき表現
志望動機を記載する際、採用担当者にマイナスの印象を与えかねない表現は避ける必要があります。例えば、前職(現職)への不平不満(例。「人間関係が悪かった」「給与が低かった」)といった、ネガティブな退職理由を志望動機の中心に据えることは避けるべきです。また、「家から近いから」「休日が多いから」といった待遇面や条件面のみを理由にすることも、入社意欲が低いと判断される可能性があります。「一から勉強させていただきたい」といった、過度に受け身な姿勢も、即戦力を求める中途採用では好まれません。「自身の強みを活かしつつ、不足分は主体的に学ぶ」という姿勢を示すことが重要です。
履歴書と職務経歴書との役割分担
履歴書の志望動機欄は、多くの場合、記載できるスペース(枠)が限られています。そのため、履歴書では、志望動機の「核となる要点(結論と主な理由)」を簡潔にまとめることが求められます。そして、その志望動機を裏付ける具体的なエピソードや、詳細な自己PRについては、併せて提出する「職務経歴書」の方で、より詳細に記述する、といった「役割分担」を意識することも、自身の魅力を効果的に伝えるためのコツとなります。





