転職活動の履歴書。「写真なし」での提出は可能か、そのリスクとは

転職における履歴書と証明写真の原則

転職活動において、応募書類として履歴書を準備する際、多くの方が疑問に思うことの一つに「証明写真」の扱いがございます。履歴書には写真を添付するのが一般的でありますが、何らかの事情で写真を用意できない場合や、写真の添付を省略したいと考えた場合、「写真なし」で提出しても良いものなのでしょうか。

結論から申しますと、応募先企業から「写真不要」という明確な指示がない限り、履歴書に証明写真を添付しない（写真なしで提出する）ことは、ビジネスマナー違反とみなされる可能性が極めて高く、避けるべきであります。

なぜ履歴書に写真が必要とされるのか

採用担当者が履歴書に添付された写真を見る目的は、単に容姿を確認するためだけではございません。第一の目的は、応募者の「本人確認」であります。面接時に、履歴書に記載された人物と同一人物であるかを確認するための重要な資料となります。

第二の目的として、採用担当者は写真から応募者の「第一印象」を把握しようとしています。清潔感のある服装や髪型、明るい表情などから、その人の人柄や、TPO（時・場所・場合）をわきまえる社会人としての基本的なマナー、そして応募に対する真剣度を読み取ろうとしているのです。

「写真なし」の履歴書を提出した場合のリスク

もし、証明写真が添付されていない（写真なし）の履歴書が採用担当者の手元に届いた場合、どのような印象を与えるでしょうか。多くの場合、「応募書類に不備がある」と判断されます。書類不備は、応募者の注意力不足や、仕事に対する姿勢（丁寧さ）への懸念につながります。

また、他の多くの応募者が適切な写真を添付して応募してきている中で、写真なしの履歴書は、「入社意欲が低いのではないか」「社会人としての基本的なマナーを理解していないのではないか」といった、マイナスの印象を与えてしまうリスクが非常に高いと言わざるを得ません。

「写真なし」が書類選考に与える影響

企業によっては、「写真なし」の履歴書は、応募書類の不備として、選考の土台にすら乗せてもらえない（目を通してもらえない）可能性もゼロではございません。写真という一つの要素が欠けているだけで、応募者が持つ本来のスキルや経験が評価される機会そのものを失ってしまうことは、非常にもったいないことであります。

「写真なし」が例外的に許容されるケース

例外として、履歴書に写真を添付しなくても良い（写真なしでも問題ない）ケースもございます。それは、応募先企業の募集要項や、応募フォームの指示において、「写真不要」あるいは「写真の添付は任意」と明確に記載されている場合であります。この場合は、その指示に従って問題ございません。

しかし、そのような明確な指示がない限りは、証明写真は必須の提出物であると認識しておく必要がございます。

結論。写真は転職活動への「真剣度」を示すもの

証明写真の準備には、撮影の手間や費用がかかります。しかし、その手間を惜しまず、ビジネスシーンにふさわしい適切な証明写真を用意し、履歴書に丁寧に添付するという行為そのものが、応募先企業に対する「真剣度」や「誠意」を示すことにつながります。

転職活動は、自身のキャリアにおける重要な転機であります。「写真なし」という選択で不要なリスクを負うことは避け、社会人としての基本的なマナーを守り、万全の準備で選考に臨むことが、転職成功への確実な第一歩となります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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