転職の履歴書写真。ピアスは外すべきか？ 業界別のマナーと印象

履歴書写真でのピアス着用に関する基本ルール

転職活動において履歴書に貼る証明写真は、応募者の第一印象を決定づける重要な要素です。その際、普段から身につけているピアスをつけたまま撮影しても良いのか、それとも外すべきなのか悩む方は少なくありません。結論から言えば、履歴書の写真においてはピアスを外して撮影するのが最も無難であり、推奨されるマナーです。

証明写真は、あくまで本人確認と、応募者がビジネスシーンにふさわしい身だしなみを整えているかを確認するためのものです。おしゃれや個性を主張する場ではありません。小さく目立たないものであれば問題ないとされる場合もありますが、採用担当者によっては「TPO（時と場所と場合）をわきまえていない」「真剣さに欠ける」といったマイナスの印象を持つ可能性も否定できません。不要なリスクを避けるためにも、撮影時は外しておくことが賢明な判断と言えます。

業界や職種による許容範囲の違い

ピアスの着用がどの程度許容されるかは、応募する業界や職種によって大きく異なります。銀行、証券、保険などの金融業界や、公務員、医療・福祉関係、堅実なメーカーなどの場合、身だしなみの規定が厳格であることが一般的です。これらの業界では、ピアスをしていること自体がビジネスマナー違反とみなされる可能性が高いため、必ず外して撮影する必要があります。

一方で、アパレル、美容、ファッション業界や、一部のクリエイティブ職（デザイナー、Web系など）においては、服装や髪型の自由度が高く、ピアスが許容されるケースが多くあります。むしろ、ブランドのイメージに合ったセンスの良いピアスであれば、個性や感性をアピールする要素としてプラスに働くこともあります。ただし、その場合でも派手すぎるものや大きすぎるものは避け、清潔感を損なわない範囲に留める配慮が必要です。

ピアスホール（穴）が見えることへの影響と対処法

ピアスを外して撮影した場合でも、耳に開いたピアスホール（穴）が見えてしまうことを気にする方もいます。基本的に、一般的な位置にある小さなピアスホールが見える程度であれば、選考に悪影響を及ぼすことはほとんどありません。現代の社会人においてピアスホールがあることは珍しいことではなく、採用担当者もそこまで細かくチェックしていないことが多いためです。

しかし、穴の数が極端に多い場合や、拡張していて穴が大きい場合、あるいは軟骨など目立つ位置にある場合は、威圧感や奔放な印象を与えてしまう可能性があります。その際は、髪型で耳を隠すようにセットするか、コンシーラーやファンデーションを使って目立たなくするといった工夫をすることで、より落ち着いた印象を与えることができます。画像修正ソフトで消すことも技術的には可能ですが、面接で実物と会った際の違和感につながらないよう注意が必要です。

男性の転職におけるピアスの扱い

女性に比べて、男性のピアス着用に対しては、ビジネスシーンにおいて依然として厳しい目が向けられる傾向にあります。たとえアパレルやクリエイティブな業界であっても、履歴書という公的な書類の写真においては、男性のピアスは外しておくのが鉄則です。

「チャラチャラしている」「常識がない」といったネガティブな先入観を持たれるリスクが非常に高く、プラスに働くことは稀だからです。どうしてもピアスホールが目立つ場合は、前述のようにメイクで隠すなどの対策を講じ、誠実さと清潔感を最優先にアピールすることが重要です。

証明写真で優先すべきは個性よりも信頼感

履歴書の写真は、採用担当者に対し「この人なら安心して仕事を任せられそうだ」「自社の社員として顧客の前に出しても恥ずかしくない」という信頼感を与えるためのツールです。ピアスをつけるか迷ったときは、「迷うくらいなら外す」という選択が、転職活動においては正解となることがほとんどです。

おしゃれや個性は、入社後に職場の雰囲気を見ながら徐々に発揮していくことができます。まずは書類選考という最初の関門を突破するために、誰が見ても好感を持てる、清潔感のあるベーシックなスタイルで撮影に臨むことをお勧めします。小さなアクセサリーひとつで評価を落とすことのないよう、細部まで気を配ることが大切です。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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