転職活動の履歴書。「志望動機なし」での提出は有効か
転職における履歴書の「志望動機」欄の役割
転職活動において履歴書を作成する際、手間がかかる項目の一つが「志望動機」欄であります。応募先企業一社ごとに内容を考え、限られたスペースにまとめる作業を大変だと感じ、できれば「志望動機なし」で済ませたい、あるいは「志望動機」の欄が最初から設けられていないテンプレート(雛形)を探したい、と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、まず理解しておくべきは、採用担当者が履歴書の「志望動機」欄を非常に重視しているという事実であります。採用担当者はこの欄を通じて、応募者が「なぜ他の企業ではなく、自社を選んだのか」という入社への熱意や、「どれだけ自社(応募先)のことを研究し、理解しているか」という真剣度、そして「応募者の強みが自社でどう活かせるか」という適合性(マッチ度)を判断しようとしています。
「志望動機なし」で提出する際の懸念点
もし、志望動機欄が空欄のまま、あるいは「特になし」と記載された履歴書、または志望動機欄自体がないテンプレートで応募書類が提出された場合、採用担当者はどう感じるでしょうか。書類選考の段階では、応募者の熱意を測る材料が一つ減ることになります。
場合によっては、「入社意欲が低いのではないか」「複数の企業に同じ書類を(使い回して)応募しているのではないか」といった、マイナスの印象を与えてしまう可能性も否定できません。
「志望動機なし」が許容される(かもしれない)ケース
例外として、企業側から「志望動機不要」と明記されている場合や、応募フォームの仕様で入力欄が設けられていない場合は、もちろん記載する必要はありません。
また、戦略的に、履歴書の志望動機欄には「詳細は職務経歴書をご参照ください」と簡潔に記載し、併せて提出する職務経歴書の方で、より詳細かつ熱意のこもった志望動機を(自己PRなどと関連付けて)記述するという方法も考えられます。しかし、この場合も「志望動機なし」で良いというわけではなく、別の場所でより詳しく説明するという意図が明確でなければなりません。
「志望動機なし」を選ぶ場合の代替アピール
もし何らかの理由で履歴書に志望動機を記載しない(あるいは、できない)場合、その分、他の項目で熱意や適合性を補う工夫が求められます。例えば、履歴書の「自己PR」欄や、職務経歴書の「職務要約」「自己PR」欄において、単なる自身の強みを述べるだけでなく、「その強みを、なぜ応募先企業の〇〇という事業(業務)で活かしたいと考えたのか」といった、応募先企業と強く結びつけた貢献意欲を、より具体的に記載する必要があるでしょう。
結論。「志望動機」は重要なアピール機会
転職活動において、履歴書の「志望動機」欄は、自身の経験やスキルと、応募先企業を結びつけ、入社への熱意を伝えるための重要な「アピールの機会」であります。「志望動機なし」という選択は、その貴重なアピール機会を自ら放棄することになり、書類選考において不利に働くリスクが伴います。書類選考を通過し、希望する企業への転職を成功させたいのであれば、手間を惜しまず、応募先企業ごとに自身の言葉で誠実に志望動機を練り上げることが、確実な鍵となります。





