ワークライフバランスを転職理由にする際の履歴書の書き方。好印象を与える変換術
転職理由としてのワークライフバランスの扱い方
近年、働き方改革の浸透により、ワークライフバランスの充実を求めて転職活動を行うことは、決して珍しいことではありません。しかし、履歴書の転職理由や志望動機に「ワークライフバランスを整えたい」とそのまま記載することには慎重になる必要があります。採用担当者は、応募者が自社でどのように活躍し、利益に貢献してくれるかを見ています。そのため、単に「残業をしたくない」「休みがもっと欲しい」という表現だけでは、「仕事に対する意欲が低いのではないか」「権利ばかりを主張するのではないか」といったネガティブな印象を与えてしまうリスクがあります。重要なのは、ワークライフバランスを求めることを、仕事へのパフォーマンス向上や長期的なキャリア形成のための手段として、ポジティブに伝える工夫です。
ネガティブな理由をポジティブな意欲に変換する
ワークライフバランスを理由にする際は、現状の不満(残業過多、休日出勤など)をそのまま書くのではなく、それを解消することでどのように仕事に取り組みたいかという「意欲」に変換します。
例えば、「残業が多くて辛い」という理由は、「限られた時間の中で業務効率を追求し、生産性の高い働き方で成果を出したい」と言い換えることができます。
「休みが取れない」という理由は、「オンとオフのメリハリをつけて働くことで、常に万全の状態で業務に臨み、高いパフォーマンスを発揮し続けたい」や、「自己研鑽の時間を確保し、スキルアップすることで会社に貢献したい」と表現できます。
このように変換することで、自分本位な要望ではなく、企業にとってもメリットのある前向きな姿勢として伝えることが可能になります。
履歴書の志望動機欄での具体的な書き方と例文
履歴書の志望動機欄では、ワークライフバランスを主目的にするのではなく、あくまで「長く安定して働き、貢献するための環境」を求めているという文脈で記載します。
例えば、「前職では突発的な業務が多く、長期的な視点でのキャリア形成が難しい環境でした。貴社は業務効率化や社員の定着支援に力を入れており、腰を据えて働ける環境である点に魅力を感じました。そのような環境下で、私の強みである〇〇のスキルを最大限に発揮し、貴社の事業発展に長期的に貢献したいと考え志望いたしました」といった構成にします。企業の働き方改革への取り組みや制度(例えばフレックスタイム制やリモートワークなど)に触れつつ、それを活用して成果を出したいという意志をセットで伝えることがポイントです。
本人希望欄を活用する場合の注意点
育児や介護など、どうしても譲れない勤務条件がある場合は、履歴書の「本人希望欄」を活用して正直に記載します。面接が進んでから条件が合わないことが判明するのは、お互いにとって損失となるからです。
記載する際は、「育児のため、〇〇時までの勤務を希望いたします」といった事実だけでなく、「限られた時間内ですが、効率的に業務を遂行し、チームに貢献できるよう尽力します」といった補足の一文を添えることが重要です。また、単に残業が嫌だという理由であれば、本人希望欄には「貴社の規定に従います」と記載し、面接の逆質問などで実際の働き方を確認する方が、書類選考の通過率は高まります。
企業研究とセットで説得力を高める
ワークライフバランスを重視する場合、応募先企業が本当にそのような働き方を推奨しているか、企業研究を徹底することも不可欠です。企業の採用ページや口コミ、転職エージェントからの情報などを通じて、実際の残業時間や有給取得率などを確認します。
そして、履歴書や職務経歴書では、「御社の〇〇という働きやすい環境であれば、私の〇〇という能力がより活かせる」という論理を構築します。企業風土と自身の希望がマッチしていることをアピールできれば、ワークライフバランスを理由にすること自体が、企業への理解度の高さや定着性の高さを示すポジティブな要素へと変わります。自身のライフスタイルを守ることは、長く健康に働き続けるためのプロフェッショナルとしての自己管理能力の一つであると捉え、自信を持って、かつ配慮のある表現で伝えてください。





