保育士の転職。採用担当者に響く履歴書の志望動機の書き方と例文
転職における履歴書の志望動機の重要性
保育士の方が転職を考える際、履歴書に記載する「志望動機」欄は、採用担当者(園長や採用責任者)が応募者の熱意や人柄を判断するための、非常に重要な項目であります。保育士の仕事は、専門的なスキルだけでなく、その人の持つ「保育観」や「子どもへの向き合い方」、「保護者とのコミュニケーション姿勢」といった内面的な要素が、職場の雰囲気や保育の質に大きく影響します。採用担当者は、履歴書の志望動機を通じて、応募者が自園の保育方針(保育理念)とどれだけ合致しているか、そして何よりも「なぜ、他の園ではなく、うちの園で働きたいのか」という熱意の本気度を知りたいと考えています。
志望動機作成の第一歩。応募先の「園」の研究
採用担当者の心に響く志望動機を作成するためには、まず応募先の保育園について深く理解する「園研究」が不可欠であります。「給与が良いから」「家から近いから」といった条件面だけを理由にするのではなく、なぜその園でなければならないのか、その園ならではの魅力を具体的に見つけ出す必要がございます。
例えば、その園が掲げる「保育方針」や「保育理念」、あるいは「食育」「異年齢保育」「自然とのふれあい」「リトミック」といった特色ある取り組み、地域における役割、園の規模感などを事前にしっかりと調べ、自身の価値観や経験と結びつけられる点を探します。
伝わる志望動機の基本的な構成
履歴書の志望動機欄はスペース(枠)が限られているため、簡潔かつ論理的な構成が求められます。まず結論として、応募先の園のどのような点に魅力を感じたのか(共感したのか)を述べます。次に、そのように感じた根拠として、自身のこれまでの保育経験や大切にしてきた保育観が、応募先の園の方針とどのように合致しているのかを示します。最後に、その経験や強みを活かし、入職後にどのように貢献していきたいのか、という未来への意欲を示して締めくくります。
【経験者向け】キャリアと応募先を結びつける書き方
既に保育士としての勤務経験がある方が、別の保育園へ転職する場合は、「即戦力性」と「キャリアの一貫性」を示すことが重要であります。これまでの経験が応募先の園でどのように活かせるのかを具体的に結びつけます。
例えば、小規模保育園での経験者が、大規模な園に応募する場合は、「これまでの園では、一人ひとりと深く関わる保育を実践してまいりました。その経験を活かしつつ、貴園(御園)の〇〇といった多様な行事の企画・運営にも携わり、保育士としての幅を広げたい」といった形で、経験と新たな挑戦への意欲を示すことができます。
逆に、大規模園から小規模保育園へ応募する場合は、「前職では〇歳児クラスのリーダーとして、行事運営や後輩指導を経験しました。今後は、貴園(御園)の〇〇という方針のもと、これまでの経験を活かしながら、より一人ひとりの園児の発達に寄り添った丁寧な保育を実践したい」といった形で、自身の保育観と応募先の特性を合致させます。
【未経験・ブランク向け】熱意と汎用スキルを伝える書き方
他業種から未経験で保育士に転職する場合や、育児などで一度現場を離れていた(ブランクがある)場合は、実務経験の不足を補う「熱意」と「ポテンシャル(将来性)」をアピールすることが鍵となります。
なぜ未経験から、あるいは再び保育士という仕事を選んだのか、その明確な理由を誠実に記載します。未経験者の場合は、前職(現職)で培ったスキルが、保育の現場でどのように活かせると考えているのか、その「汎用スキル(ポテンシャル)」を示します。例えば、接客業で培った「高いコミュニケーション能力」は保護者対応に、事務職で培った「計画性やPCスキル」は指導案や園だよりの作成に活かせる、といった形で結びつけます。ブランクがある場合は、子育ての経験そのものが、保護者の気持ちに寄り添う上で大きな強みとなることをアピールするのも有効であります。
履歴書の志望動機で避けるべき表現
採用担当者にマイナスの印象を与えてしまう可能性のある志望動機にも注意が必要であります。例えば、「給与や待遇、休日休暇が充実しているから」といった条件面のみを理由の中心に据えると、仕事内容への関心が低いと判断されかねません。また、「子どもが好きだから」という理由だけでは、保育士という専門職への理解が浅いと見なされてしまいます。
最も避けるべきは、どの園にも当てはまるような抽象的な内容(使い回し)であります。「貴園(御園)の〇〇という方針に共感し」といった形で、応募先固有の特色に必ず言及し、自身の言葉で熱意を伝えることが、書類選考を通過するために不可欠であります。





