転職活動の履歴書。「業務委託」経験の正しい書き方とアピール術
転職活動と履歴書の「業務委託」経験
転職活動において履歴書を作成する際、これまでのキャリアの中に「業務委託」契約で働いていた経験がある場合、その事実を職歴欄にどのように記載すべきか、悩まれる方は少なくありません。正社員や契約社員といった直接雇用の形態とは異なるため、これを「職歴」として記載して良いのか、あるいは、採用担当者に「不安定」といったマイナスの印象を与えないか、といった懸念が生じることがあります。
しかし、業務委託で培った経験も、応募者の貴重なキャリアの一部であります。履歴書への正しい書き方と、その経験を「強み」としてアピールする方法を理解しておくことが、書類選考を通過するために重要となります。
履歴書の職歴欄。「業務委託」経験は記載すべきか
結論から申しますと、業務委託で働いていた経験も、履歴書の職歴欄に「記載すべき」であります。
その最大の理由は、もしその期間を記載しない(省略する)場合、履歴書上に「空白期間(ブランク)」が生まれてしまうからであります。採用担当者は、この空白期間の理由を非常に気にする傾向があり、「この期間、何をしていたのだろうか」と不要な懸念を抱かせるよりも、その期間にどのような形態であれ、業務に従事していたことを誠実に記載する方が、自身の経歴の透明性を示し、信頼につながります。
もちろん、事実と異なる雇用形態(例。業務委託であったのに「正社員」と偽る)を記載することは「経歴詐称」にあたるため、絶対に行うべきではありません。
履歴書の職歴欄への「業務委託」の具体的な書き方
履歴書の職歴欄には、他の職歴と同様に、時系列に沿って記載します。その際、採用担当者が応募者の契約形態を正確に把握できるよう、その事実を明記することが重要であります。
書き方(1)契約先企業を記載する場合
会社名(契約先の企業名)を正式名称で記載し、どのような契約であったのかを簡潔に補足します。
(記載例)
「〇〇年〇月 株式会社〇〇(契約先企業名)と業務委託契約を締結」
「 (〇〇(職種)として、〇〇(簡潔な業務内容)に従事)」
「〇〇年〇月 契約終了」
書き方(2)個人事業主(フリーランス)として活動していた場合
もし、特定の企業と1対1で契約していたというよりも、自身が個人事業主(フリーランス)として独立し、複数のクライアント(企業)と契約していた場合は、その旨を職歴欄に記載する方法もございます。
(記載例)
「〇〇年〇月 個人事業主(屋号:〇〇)として開業」
「 (主に〇〇(業種)の企業に対し、〇〇(職種)として〇〇(業務内容)を提供)」
「〇〇年〇月 事業都合により廃業」(あるいは「現在に至る」)
採用担当者は「業務委託」経験をどう見るか
採用担当者は、雇用形態の名称そのものよりも、「その期間中に、応募者がどのような業務を担当し、どのようなスキルを身につけ、どのように貢献してきたのか」という「実務経験の中身」を重視しています。
むしろ、業務委託という働き方で培われる特定のスキルは、転職市場において「強み」として高く評価される可能性がございます。
「業務委託」経験を強みとしてアピールする視点
履歴書の「自己PR」欄や、併せて提出する「職務経歴書」において、業務委託の経験を以下のような「強み」としてアピール(翻訳)することが有効であります。
(強み1)高い専門性と即戦力性
業務委託契約は、多くの場合、特定の業務(例。IT開発、デザイン、ライティング)を遂行するための専門性を期待されて結ばれます。その業務を完遂してきた経験は、自身の「高い専門性」と「即戦力性」を客観的に示す強力な証拠となります。
(強み2)自律性と自己管理能力
業務委託は、会社の指示を待つのではなく、自身でスケジュールやタスクを管理し、納期や品質に責任を持って成果物(納品物)を提供する働き方であります。この経験は、応募者が「自律して業務を遂行できる人材」であること、そして「高い自己管理能力」を持っていることのアピールにつながります。
(強み3)責任感と柔軟性
契約に基づき、業務を完遂させなければならない環境で培われた「責任感」や、クライアント(企業)の多様な要望や変更に柔軟に対応してきた「柔軟性」「適応能力」も、どのような職場であっても高く評価される強みであります。
職務経歴書との役割分担が鍵
履歴書の職歴欄は、あくまでキャリアの「概要」を伝える場であります。業務委託で担当した「具体的な業務内容」「使用したスキル(ツール)」「どのような成果(実績)を出したのか」といった詳細なアピールポイントは、必ず併せて提出する「職務経歴書」の方で、プロジェクト(案件)ごとに、より詳細かつ具体的に記述する必要がございます。
履歴書には事実を正確に記載し、職務経歴書でその経験の価値(強み)をしっかりと伝えることが、転職成功への鍵となります。





