転職活動の履歴書。ブランク期間（空白期間）の上手な書き方と理由の伝え方

履歴書の職歴欄におけるブランク期間の扱いと基本的な考え方

転職活動において履歴書を作成する際、前職を退職してから次の就職までに期間が空いている、いわゆるブランク期間（空白期間）があることに不安を感じる方は少なくありません。採用担当者に「仕事への意欲が低いのではないか」「計画性がないのではないか」といったマイナスの印象を与えてしまうことを懸念するからです。

しかし、ブランク期間があること自体が必ずしも選考で不利になるわけではありません。重要なのは、その期間に何をしていたのか、そして現在はどのような状態にあるのかを、採用担当者に納得感のある言葉で説明できるかどうかです。履歴書の職歴欄において、事実を隠したり、年をごまかしたりすることは経歴詐称にあたるリスクがあるため、まずは事実をありのままに記載するという誠実な姿勢が基本となります。その上で、書き方を工夫することで、懸念を払拭し信頼につなげることが可能です。

ブランク期間が短い場合と長い場合の書き方の違い

ブランク期間の長さによって、履歴書への記載方法や採用担当者の受け止め方は異なります。一般的に、退職から再就職までの期間が3ヶ月程度であれば、それは転職活動に要する標準的な期間とみなされることが多く、特段の詳細な説明を記載しなくても問題視されない傾向にあります。この場合は、職歴欄には退職年月と次の入社年月をそのまま記載するだけで十分です。

一方で、ブランク期間が半年や1年以上に及ぶ長期の場合は、職歴欄の行間が大きく空くことになり、採用担当者はその理由を詳しく知りたいと考えます。そのため、退職の記載の後に、その期間の活動内容や理由を簡潔に書き添える配慮が必要になります。何も記載がないと、単に無為に過ごしていたと誤解される可能性があるためです。

ポジティブな印象を与えるブランク期間の理由の書き方

履歴書にブランク期間の理由を記載する際は、可能な限りポジティブな要素や、やむを得ない事情が解決済みであることを伝える表現を用います。職歴欄の退職行の下、あるいは本人希望欄などを活用し、簡潔に事実を記します。

具体的には、単に「無職」として期間を空けるのではなく、「資格取得のため勉強に専念」「語学留学のため渡航」といったように、キャリアアップのための期間であったことを示すと、向上心のアピールにつながります。また、介護や病気療養といった事情があった場合も、それを隠すのではなく、現在は就業に支障がない状態であることを併せて記載することが、採用担当者の安心感につながります。

理由別に見るブランク期間の説明方法。資格取得や留学の場合

ブランク期間中に、次の仕事に活かすための資格取得の勉強や、語学留学を行っていた場合は、それを履歴書で積極的にアピールします。職歴欄の退職行の次に、「〇〇年〇月より〇〇年〇月まで 〇〇資格取得のため通学（または独学）」や、「〇〇年〇月より〇〇年〇月まで 語学力向上のため〇〇へ留学」といった形で記載します。

この際、実際に資格を取得できた場合は資格欄にも記載し、もし勉強中であれば「現在も継続して学習中」とすることで、目的意識を持って時間を有効に使っていたことを証明できます。これはブランクではなく、キャリア形成のための準備期間として評価される要素になります。

理由別に見るブランク期間の説明方法。病気療養の場合

病気や怪我の治療のために退職し、ブランク期間が生じた場合は、採用担当者の懸念は「現在は回復しているのか」「業務に支障はないか」という点に集中します。そのため、履歴書には「病気療養のため退職（現在は完治しており勤務に支障はありません）」と明記することが最も重要です。

具体的な病名まで詳しく書く必要はありませんが、完治していること、あるいは医師から就労の許可が出ていることを明確に伝えることで、健康面での不安を払拭できます。事実を誠実に伝える姿勢は、信頼感の醸成にも役立ちます。

理由別に見るブランク期間の説明方法。介護や育児の場合

家族の介護や育児に専念するためにブランク期間ができた場合も、正当な理由として受け止められます。この場合も、「家族の介護のため退職（現在は施設入所により介護は終了）」や、「出産・育児のため退職（〇月より保育園への入園が決定し勤務可能）」といったように、就業環境が整ったことをセットで記載します。

採用担当者は、入社後に同様の理由で休みがちになったり、すぐに退職したりしないかを確認したいため、サポート体制が整い、仕事に集中できる環境であることをアピールすることが選考通過の鍵となります。

特に理由がなく転職活動が長引いた場合の伝え方

特段の事情はなく、自分に合う企業を探しているうちに時間が経過してしまった場合や、リフレッシュ期間として休んでいた場合の書き方には注意が必要です。「特になし」や「リフレッシュ」とだけ書くと、就労意欲を疑われる可能性があります。

この場合は、履歴書の職歴欄には詳細を書かず、自己PR欄や職務経歴書において「納得のいくキャリアを築くために、企業研究や自己分析に時間をかけていた」という前向きな姿勢を示します。また、その期間中に読書や短期のアルバイト、ボランティア活動など、何かしら社会との接点を持っていたのであれば、それを通じて得た気づきを面接で話せるように準備しておきます。

履歴書だけでなく職務経歴書や面接での補足が重要

履歴書はあくまで経歴の概要を伝える書類であり、スペースの制限もあるため、ブランク期間の全ての事情を詳細に説明することは困難です。履歴書では簡潔に事実と現在の状況（勤務可能であること）を記載し、詳細な経緯やその期間に得た学び、仕事への意欲については、職務経歴書の自己PR欄や面接の場で補足説明を行うという役割分担を意識します。

ブランク期間があること自体をマイナスに捉えすぎず、その期間を経て「だからこそ御社で働きたい」という強い志望動機へとつなげるストーリーを組み立てることが、転職活動を成功させるためには大切です。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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