MOS資格を職務経歴書で効果的にアピールする書き方と正式名称のルール
MOS資格はパソコンスキルの客観的な証明として書類選考で有利に働きます
事務職や営業職などパソコンを使用する業務への転職を目指す際、マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)の資格は強力なアピール材料になります。多くの企業ではパソコンが使えることを応募条件としていますが、単にパソコンが使えますと口頭で伝えるだけでは、どの程度のレベルなのかが採用担当者に伝わりにくいのが現状です。MOS資格を職務経歴書に記載することで、WordやExcel、PowerPointなどのオフィスソフトを使いこなせるスキルがあることを客観的に証明できます。
特に未経験から事務職を目指す場合や、実務経験が浅い場合において、MOS資格は基礎能力の裏付けとして非常に有効です。また、実務経験が豊富な方であっても、自己流ではなく体系的な知識を持っていることを示すことで、業務効率化や正確な文書作成ができる人材であるという評価につながります。ここではMOS資格を職務経歴書に正しく記載し、さらに実務能力として魅力的にアピールするための具体的な書き方について解説します。
略称ではなく正式名称とバージョンを正確に記載するマナー
職務経歴書の資格欄に記入する際、MOSと略称で書いてしまうのは避けなければなりません。履歴書や職務経歴書は公的なビジネス文書ですので、必ず正式名称で記載することが基本マナーです。MOSの正式名称はマイクロソフトオフィススペシャリストです。
また、記載する際には取得した科目(Word、Excel、PowerPoint、Access、Outlook)と、バージョン(2016、2019、365など)、そしてレベル(スペシャリストレベルかエキスパートレベルか)を正確に明記する必要があります。バージョンによって操作画面や機能が異なるため、企業側は導入している環境に適応できるかを確認したいと考えています。
具体的な書き方の例としては、マイクロソフトオフィススペシャリスト Word 365 Associate 合格や、マイクロソフトオフィススペシャリスト Excel 2019 Expert 合格といった形式になります。複数の科目を取得している場合は、マイクロソフトオフィススペシャリスト Master 2016 認定といった上位称号を記載することで、総合的なスキルをアピールすることも可能です。取得年月も証書を確認し、西暦か和暦かを書類全体で統一して記載してください。
資格欄だけでなく活かせるスキル欄で実務への応用力を伝える
資格欄に正式名称を書くだけでは、知識があることの証明にはなりますが、仕事でどう役立つかまでは伝わりません。書類選考を突破するためには、職務経歴書の活かせる経験・知識・技術欄や自己PR欄を活用し、そのスキルを使って実務でどのような貢献ができるかを具体的に記述することが重要です。
例えばExcelの資格を持っている場合、単に資格名を載せるだけでなく、VLOOKUP関数やピボットテーブルを活用した売上データの集計および分析業務や、マクロの修正による請求書発行業務の自動化と時間短縮といった具体的な活用事例を記載します。Wordであれば、差込印刷機能を活用した顧客への案内状作成や、スタイル機能を活用した社内マニュアルの整備といった記述が効果的です。資格を単なるライセンスとしてではなく、業務効率化や品質向上のためのツールとして使いこなせることをアピールしてください。
スペシャリストとエキスパートのレベルに応じた書き分け
MOS資格には一般レベルのスペシャリスト(アソシエイト)と、上級レベルのエキスパートがあります。それぞれのレベルに合わせてアピールするポイントを変えることで、より説得力のある職務経歴書になります。
スペシャリストレベルを持っている場合は、基本的な操作に迷いがなく、正確かつスピーディーに資料作成ができることを強調します。日常的なビジネス文書の作成や、基本的な表計算において指導を仰ぐ必要がなく、即戦力として業務に入れる基礎があることを伝えます。
エキスパートレベルを持っている場合は、より高度な機能を使って業務改善ができることをアピールします。複雑な関数の組み合わせによるデータ処理や、条件付き書式を使ったミスのない入力フォームの作成、校閲機能を使ったチームでの文書作成管理など、組織全体の生産性を高める動きができることを具体的なエピソードと共に記述します。エキスパート資格は、単なるオペレーターではなく、業務フローの改善提案ができる人材であるという期待感を持たせることができます。
事務職と営業職で異なるアピールポイントの整理
応募する職種によって、MOS資格の活かし方やアピールすべきポイントは異なります。事務職に応募する場合は、正確性とスピード、そして効率化への意識が評価されます。ショートカットキーを駆使した迅速な入力や、入力規則を設定して他者が入力してもミスが起きないフォーマットを作成した経験などを書き添えることで、事務のプロフェッショナルとしての資質を示せます。
一方で営業職に応募する場合は、数字に強いことやプレゼンテーション能力の高さをアピールします。Excelを使って顧客データを分析し営業戦略を立てた経験や、PowerPointのアニメーション機能を効果的に使って説得力のある提案資料を作成し受注につなげた実績などを記述します。MOSのスキルが、売上アップや顧客満足度の向上にどう貢献したかという視点で書くことが大切です。
勉強中の場合でも学習意欲として記載しポテンシャルを示す
現時点でまだMOS資格を取得していない場合でも、取得に向けて勉強中であれば、その事実を職務経歴書に記載することをお勧めします。資格欄の空きスペースや自己PR欄に、現在、マイクロソフトオフィススペシャリスト Excel 2019 Expertの取得に向けて学習中(〇月受験予定)と記載します。
これにより、現在のスキルレベルがどの程度かを示すことができるだけでなく、自発的にスキルアップしようとする向上心や学習意欲があることをアピールできます。特に未経験の職種に挑戦する場合、実務経験の不足を補うために努力している姿勢は、採用担当者に好印象を与えます。ただし、嘘をつくことは厳禁ですので、面接で学習の進捗状況を聞かれた際に具体的に答えられるよう、実際に学習を進めておくことが前提となります。資格取得をゴールにするのではなく、実務で活躍するための準備をしているというスタンスで記載してください。





