履歴書写真でひげは剃るべきか？採用担当者が抱く印象と業界別の判断基準

転職活動において履歴書の写真は、応募者の第一印象を決定づける非常に重要な要素です。男性の中には、ファッションや個性の表現として、あるいは日常のスタイルとしてひげを生やしている方も多くいます。しかし、プライベートや現職では問題なくても、新たな企業への応募書類としてひげのある写真を使用してもよいのかどうかは、非常に悩ましい問題です。日本のビジネスシーンでは、身だしなみに対する基準が厳格な場合が多く、ひげに対してネガティブな印象を持つ採用担当者も少なくありません。ここでは、履歴書写真におけるひげの扱いや、業界ごとの許容範囲、そしてどうしても残す場合の注意点について詳しく解説します。

基本的に履歴書写真では綺麗に剃るのが最も安全な選択肢

結論から申し上げますと、一般的な転職活動において履歴書の写真を撮影する際は、ひげをきれいに剃っておくのが最も無難であり、書類選考を通過するための確実な選択です。これには明確な理由があります。多くの日本企業、特に歴史ある大手企業や組織においては、ひげは「身だしなみが整っていない」「清潔感に欠ける」と判断される傾向が強くあります。また、ひげには「威圧的」「反抗的」「協調性がなさそう」といった心理的なイメージが付随することもあり、面接官に会う前の段階でマイナスの先入観を持たれてしまうリスクがあります。どれほど素晴らしい経歴やスキルを持っていても、写真の印象だけで「常識がない」と判断されて足切りになってしまうのは非常にもったいないことです。志望する企業がどのような社風かわからない場合や、少しでも不安がある場合は、リスクを完全に排除するために剃ることを強くおすすめします。

清潔感が重視される業界では剃り残しや青ひげにも注意が必要

金融機関、公務員、営業職、接客業、医療・福祉関係など、顧客からの信頼や清潔感が最優先される業界では、ひげを生やしていること自体がマナー違反とみなされることがほとんどです。こうした業界に応募する場合は、単にひげを剃るだけでなく、剃り残しや青ひげが目立たないようにケアすることも重要です。写真撮影ではストロボの強い光が当たるため、剃り跡の青みや肌荒れが強調されて写ってしまうことがあります。これらは「疲れている」「生活が乱れている」といった印象につながりかねません。撮影前には蒸しタオルなどで肌を柔らかくしてから深剃りをするか、もし青みが気になる場合は、コンシーラーでカバーしたり、写真館の修整技術を利用して肌をきれいに見せたりする工夫も有効です。徹底した清潔感を演出することが、誠実さをアピールする近道となります。

クリエイティブ系やアパレル業界における許容範囲と条件

すべての業界でひげが禁止されているわけではありません。アパレル業界、美容師、デザイナーなどのクリエイティブ職、あるいは一部のITベンチャー企業などでは、個人の感性やセンスが重視されるため、ひげがファッションの一部として許容されることがあります。こうした業界では、自分に似合うスタイルを理解し、手入れが行き届いているひげであれば、「個性的でおしゃれ」「貫禄がある」とポジティブに評価されることもあります。しかし、ここでの絶対条件は「整えられていること」です。無精ひげのように伸び放題になっていたり、頬や首筋にまで毛が生えていたりする状態は、どの業界であっても単なる「不潔」とみなされます。許容される業界であっても、ラインをきれいに整え、長さを均一に揃え、清潔感を損なわないデザインに留めることが必須です。

写真と面接当日の見た目を一致させる重要性

履歴書写真でひげについて考える際、もう一つ重要な視点は「写真と面接当日の整合性」です。もし履歴書の写真ではひげを生やしているのに、面接当日にきれいに剃って現れた場合、あるいはその逆で、写真は剃っているのに面接には生やして行った場合、面接官は大きな違和感を抱きます。このギャップは、「写真が古いのではないか」「気分屋なのではないか」という不信感につながる可能性があります。写真は本人確認の役割も果たしているため、基本的には面接当日と同じ姿で撮影する必要があります。もし、「面接には剃っていくつもりだが、今の写真はひげがある」という状態であれば、面倒でも面接当日のスタイルに合わせて写真を撮り直すべきです。一貫性のある態度は、ビジネスパーソンとしての信頼感を醸成するために不可欠な要素です。

迷ったときは採用担当者の視点に立って判断する

最終的にひげを剃るべきか残すべきか迷ったときは、自分がどう見せたいかではなく、相手がどう受け取るかを基準に判断することが大切です。履歴書は、あなたを企業に売り込むためのプレゼンテーション資料です。採用担当者があなたの写真を見て、「この人を自社の社員として取引先に紹介できるか」「チームの一員として安心して迎え入れられるか」と考えたとき、ひげがプラスになるかマイナスになるかを想像してみてください。もし少しでもマイナスになる懸念があるならば、ひげは剃り落とし、清潔で爽やかな表情で勝負するほうが得策です。個性を出すのは入社して実績を作ってからでも遅くはありません。まずは書類選考という関門を突破するために、誰からも好感を持たれるスタンダードなスタイルを選ぶことが、転職成功への賢明な戦略といえます。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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