履歴書写真はクールビズでも問題ないか？夏場の撮影マナーと採用担当者の視点

夏の暑い時期に転職活動を行う際、多くの企業で導入されているクールビズスタイルで履歴書の写真を撮影してもよいのかと迷う方は少なくありません。面接にはノージャケットやノーネクタイで参加することが認められていても、履歴書という公的な書類に残る写真において、どこまでカジュアルダウンが許されるのかは判断が難しいところです。ここでは、クールビズ期間中における履歴書写真の服装マナーや、採用担当者に好印象を与えるための適切な判断基準について詳しく解説します。

履歴書写真においては季節を問わずスーツ着用が鉄則

結論から申し上げますと、たとえ世間がクールビズ期間中であったとしても、履歴書の写真は「スーツにネクタイ着用」の正装で撮影するのが基本であり、最も安全な選択です。これには明確な理由があります。まず、履歴書は一度提出すると、採用担当者の手元に長期間保管される可能性がある書類だからです。もし選考が長引いたり、入社手続き等の関係で秋以降にその写真を見られたりした場合、ノーネクタイの服装は季節外れな印象を与え、TPOをわきまえていないと判断されるリスクがあります。また、写真はバストアップで切り取られるため、ノーネクタイで襟元が開いていると、全身で見るとき以上にラフで締まりのない印象に見えてしまうことがあります。季節感を出さず、いつ誰が見ても失礼のないスタンダードなスーツスタイルで撮影することが、書類選考を通過するための確実な方法です。

ジャケットとネクタイが作り出す信頼感と誠実さ

男性の場合、ネクタイを締めジャケットを羽織ることで、Vゾーンに立体感が生まれ、顔周りが引き締まって見えます。この「きちんと感」は、ビジネスパーソンとしての信頼性や誠実さを視覚的に伝える大きな要素となります。クールビズスタイルである開襟シャツやポロシャツは、涼しげではありますが、証明写真という小さな枠の中では、単にだらしない服装に見えてしまう危険性を含んでいます。女性の場合も同様に、カットソー一枚ではなくジャケットを着用することで、仕事に対する真剣な姿勢やフォーマルさを演出できます。特に営業職や金融、公務員といった堅実さが求められる職種では、クールビズでの写真は「手抜き」と捉えられかねないため、暑さを我慢してでも正装で臨む価値は十分にあります。

真夏の撮影でも汗や暑さ対策をして清潔感を保つ方法

真夏にスーツを着て写真館やスタジオへ向かうのは大変なことです。汗だくの状態で撮影しては、髪が張り付いたり肌がテカったりして、清潔感が損なわれてしまいます。そこでおすすめなのは、撮影場所までは涼しい服装で移動し、現地でスーツに着替えるという方法です。多くの写真館には更衣室やドレッサーが完備されていますので、Ｔシャツなどで移動して汗を引かせ、撮影の直前にシャツとジャケットに着替えることで、爽やかで涼しげな表情のまま撮影に臨むことができます。また、スピード写真機を利用する場合でも、ジャケットとネクタイは持参し、撮影の瞬間だけ着用するようにします。少しの手間を惜しまず、ベストなコンディションで撮影することが、納得のいく一枚を手に入れる秘訣です。

クールビズが許容される例外的なケースと判断基準

基本的にはスーツ着用が推奨されますが、例外的にクールビズスタイルでの写真が許容されるケースも存在します。例えば、応募先の企業がITベンチャーやアパレル、クリエイティブ業界などで、服装の自由度が極めて高く、むしろ堅苦しいスーツ姿が「社風に合わない」と判断されるような場合です。また、企業側から「私服でお越しください」「あなたらしい服装で」と強く指定されている場合も例外となり得ます。しかし、そうした特別な指示がない限り、あるいは業界の慣習に詳しくない限りは、独断でカジュアルな服装を選ぶのは避けるべきです。履歴書の写真は、個性を主張する場ではなく、社会人としての常識を持っていることを証明する場であると捉え、迷ったらフォーマルなスタイルを選ぶのが賢明です。

面接時の服装と写真の服装が異なっていても問題ない

よくある疑問として、面接当日はクールビズで行くのに、履歴書の写真がスーツだと不自然ではないかという懸念があります。しかし、これに関しては全く問題ありません。採用担当者は、履歴書の写真はフォーマルなものであると認識していますし、面接当日は季節や気温に合わせた服装をしていると理解します。むしろ、写真はしっかりと正装で撮られていて、面接では清潔感のあるクールビズで現れた場合、「TPOを使い分けられる常識的な人」というプラスの評価につながることもあります。写真と実物の服装が違うことを気にする必要はありませんので、履歴書の写真には、最も自分が信頼される姿であるスーツ姿を選び、自信を持って提出できる書類を作成してください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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