転職回数が多い人が書類選考を通過するための履歴書職歴欄の書き方と工夫

転職回数の多さは書き方次第で豊富な経験という武器に変わります

転職活動において、転職回数が多いことをネガティブな要素として捉えている方は少なくありません。確かに、かつての日本企業では一つの会社に長く勤めることが美徳とされてきましたが、人材の流動性が高まった現代においては、その認識も変わりつつあります。採用担当者が懸念するのは、単に回数が多いことそのものではなく、またすぐに辞めてしまうのではないかという定着性への不安や、キャリアに一貫性がないのではないかという点です。

したがって、転職回数が多い人の履歴書作成において重要なのは、回数を隠すことではなく、その経験が現在のスキルアップにつながっているという一貫したストーリーを見せることです。多様な環境に適応してきた柔軟性や、幅広い業界で培った知見は、即戦力を求める企業にとって大きな魅力となります。職歴欄の書き方を工夫し、読み手である採用担当者に納得感と期待感を与えることができれば、転職回数の多さをハンデではなく、豊富な経験という武器に変えることができます。

職歴欄の行数が多い転職者用フォーマットを選択する

転職回数が多い方が最初に直面する物理的な問題は、一般的な履歴書では職歴欄の行数が足りないということです。無理に小さな文字で詰め込んだり、行間を狭めたりすると、非常に読みづらい書類となり、それだけでマイナスの印象を与えてしまいます。そこで、まずは使用する履歴書のフォーマット選びから見直す必要があります。

市販の履歴書やダウンロードできるテンプレートの中には、新卒用やJIS規格のものとは別に、転職者用に設計されたタイプが存在します。これらは、学歴欄や保護者記入欄などのスペースを最小限に抑え、その分職歴欄を広く確保しているのが特徴です。職歴欄が充実しているフォーマットを選ぶことで、ゆとりを持って経歴を記載することができ、読みやすさが格段に向上します。自分に合った道具を選ぶことは、戦略的な転職活動の第一歩です。

行数が足りない場合の省略テクニックとまとめ方

適切なフォーマットを選んでもなお行数が足りない場合は、記載内容を工夫して行数を節約する必要があります。基本的にはすべての入社・退社歴を記載するのが原則ですが、配属部署の異動や昇進などの詳細な情報は、履歴書では省略し、職務経歴書で詳しく説明するという役割分担を行います。

例えば、入社と配属部署を分けて書くと2行必要になりますが、株式会社〇〇入社（営業部に配属）のように1行にまとめることでスペースを節約できます。また、退職理由についても、定型的な一身上の都合により退社であれば、退社の一語の横に小さく書き添えるか、同じ行に収めることで行数を減らすことが可能です。ただし、会社名は省略せずに正式名称で書くことがマナーですので、そこは崩さないように注意します。履歴書はあくまでキャリアの概略（あらすじ）を伝えるものと割り切り、詳細は職務経歴書に誘導するという構成を意識します。

職務経歴書との併用ですべてを書ききれない場合の対処法

どうしても履歴書の枠内にすべての職歴が収まりきらない場合は、直近の職歴や、応募企業で活かせる重要な職歴を優先して記載し、古い職歴や関連性の低い職歴についてはある程度簡略化する方法があります。その際、履歴書の職歴欄の最後に、詳細は職務経歴書をご参照くださいと明記することで、採用担当者を職務経歴書へと誘導します。

また、過去に経験したアルバイトや短期間の派遣社員としての経歴が多い場合は、個別に記載するのではなく、平成〇年〇月より平成〇年〇月まで、派遣社員として計3社にて事務職に従事といったように、雇用形態や職種でまとめて記載する方法も認められています。重要なのは、経歴を隠すことではなく、読み手が理解しやすいように情報を整理して提示することです。どのような意図でそのように記載したかが伝わるよう、丁寧な表現を心がけます。

一貫性のあるキャリアストーリーで定着への不安を払拭する

転職回数が多い場合、採用担当者は採用してもすぐに辞めてしまうのではないかという懸念を抱きます。この不安を払拭するためには、これまでの転職が単なる逃げや行き当たりばったりなものではなく、キャリアアップのための前向きな選択であったことを感じさせる必要があります。

履歴書の職歴欄だけでは詳細な理由まで書くことは難しいですが、自己PR欄や志望動機欄を活用して補足することは可能です。例えば、一貫して営業職としてスキルを磨いてきた、あるいは、より専門性の高い技術を求めて環境を変えてきたといったように、キャリアに一本の軸が通っていることをアピールします。それぞれの転職に明確な目的があり、その結果として現在にたどり着いたというストーリーを示すことで、採用担当者はあなたのキャリアをポジティブに受け取ることができます。

短期離職の経歴も正直に記載し誠実さをアピールする

数ヶ月程度で退職してしまった短期離職の経歴がある場合、書くと不利になるのではないかと考えて省略したくなるかもしれません。しかし、雇用保険や社会保険の加入履歴がある場合、入社後の手続きで発覚する可能性が高く、経歴詐称として解雇などの重大なトラブルに発展するリスクがあります。どれほど短い期間であっても、職歴はすべて正直に記載することが鉄則です。

短期離職が含まれている場合でも、それを隠そうとするのではなく、誠実に記載する姿勢こそが評価されます。もしやむを得ない事情（家族の介護や本人の病気、会社都合など）があった場合は、退職理由の横に簡潔に理由を書き添えることで、採用担当者の懸念を和らげることができます。不利な情報も正直に開示し、その上で現在の意欲を伝えることが、信頼関係を築き、書類選考を突破するための最善の方法となります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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