履歴書の職歴欄における雇用形態の正しい書き方と評価を高めるポイント

雇用形態の明記は経歴の正確さと信頼性を担保するために不可欠です

転職活動において履歴書の職歴欄を作成する際、会社名や入退社の年月だけでなく、雇用形態を記載すべきかどうか悩む方は少なくありません。正社員として働いていた場合は特段の記載がなくても問題ありませんが、契約社員、派遣社員、パート・アルバイトなど、正社員以外の形態で勤務していた場合は、その事実を正確に記載することが求められます。

これを省略して記載してしまうと、採用担当者は自動的に正社員であったと認識してしまう可能性があります。もし面接や入社後の手続きで事実と異なっていたことが発覚した場合、経歴を意図的に良く見せようとしたと受け取られ、信頼を損なうリスクがあります。逆に、雇用形態を正直に記載した上で、そこでどのような責任を果たし、どのようなスキルを身につけたかを補足することで、キャリアの透明性が高まり、採用担当者に安心感を与えることができます。ここでは、雇用形態別の正しい書き方と、それをアピールにつなげるための表現方法について解説します。

正社員の場合でも書き方を工夫して誤解を防ぐ方法

正社員として勤務していた場合、履歴書の職歴欄には会社名の横や次の行に「入社」と書くのが一般的です。基本的にはこれだけで正社員であることを意味しますが、契約社員やアルバイトなど多様な雇用形態の方が働いている企業であった場合や、より丁寧に伝えたい場合は、「株式会社〇〇 入社（正社員）」と明記することも一つの方法です。

このように書くことで、最初から正規雇用として責任ある立場を任されていたことが明確になります。また、試用期間を経て正社員になった場合などは、特段の記載は不要ですが、試用期間終了後に正式に配属された部署などを記載することで、スムーズに業務を開始したことを示すことができます。正社員であることは、長期的なキャリア形成や責任の重さを証明する要素ですので、自信を持って記載してください。

契約社員は契約期間満了をアピール材料に変える書き方

契約社員として勤務していた場合は、会社名の後に「入社（契約社員）」と明記します。契約社員は雇用期間があらかじめ定められている働き方ですので、退職理由の書き方が非常に重要になります。自己都合で契約途中に辞めた場合は「一身上の都合により退社」となりますが、契約期間を全うして退職した場合は「契約期間満了により退社」と記載します。

この「契約期間満了」という言葉は、決められた期間を責任を持って勤め上げたというポジティブな実績になります。採用担当者は早期離職を懸念することが多いため、契約満了による退職であることを明示することで、継続力や責任感がある人物であるという評価につながります。また、契約更新を繰り返して長期間勤務していた場合は、「契約更新により計〇年間勤務」といった記述を加えることで、職場から必要とされていた人材であることをアピールできます。

派遣社員は派遣元と派遣先の両方を記載するのがルールです

派遣社員として働いていた場合の書き方は、他の雇用形態と少し異なります。派遣社員の雇用主は派遣会社（派遣元）であり、実際に働く場所は派遣先企業となります。そのため、職歴欄にはこの関係性が分かるように記載する必要があります。まず、「株式会社〇〇（派遣元）に登録」と記載し、その次の行に「株式会社△△（派遣先）に派遣され、営業事務として勤務」といった形で記述します。

派遣先が複数ある場合は、主要な派遣先を抜粋して記載するか、時系列順に記載していきます。退職理由については、派遣先での業務が終了した場合は「派遣期間満了により退社」と書きます。派遣社員としての経験は、様々な職場環境に適応できる柔軟性や、即戦力としてのスキルを持っていることの証明になります。どのような派遣先で、どのような業務（使用ソフトや担当件数など）を行っていたかを具体的に補足することで、実務能力の高さをアピールできます。

パートやアルバイト経験を職歴として評価させる書き方

パートやアルバイトの経験も、応募する職種に関連するものであれば立派な職歴となります。書き方としては、「株式会社〇〇 入社（アルバイトとして勤務）」と明記します。特に、長期間勤務していた場合や、社会保険に加入してフルタイムに近い形で働いていた場合は、省略せずに記載することをお勧めします。

単に雇用形態を書くだけでなく、役割や成果を書き添えることが重要です。「アルバイトリーダーとして新人研修を担当」や「店舗売上管理に従事」といった記述があれば、正社員並みの責任感を持って働いていたことが伝わります。雇用形態に関わらず、仕事に対してどのように向き合い、どのような貢献をしてきたかを伝えることが、書類選考を突破するためのポイントです。

雇用形態が変わった場合のキャリアアップの書き方

同じ会社の中で、アルバイトから正社員へ、あるいは契約社員から正社員へと雇用形態が変わるケースもあります。このような登用実績は、勤務態度や能力が客観的に評価された証拠であり、非常に強力なアピール材料となります。

書き方としては、時系列に沿って変化を記載します。まず「株式会社〇〇 入社（契約社員）」と記載し、登用された年月の行に「同社 正社員に登用」と記述します。最初から正社員であった場合よりも、実力でポジションを勝ち取ったというストーリーが見えるため、採用担当者に成長意欲の高い人物であるという印象を与えます。自身のキャリアにおけるステップアップの過程を履歴書上で可視化することで、向上心や定着性を強く印象づけることができます。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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