履歴書の志望動機で「やりがい」をどう伝える？採用担当者に響く具体的な書き方と例文

転職活動において、仕事に対する「やりがい」を重視することは非常に大切です。誰かの役に立ちたい、成果を目に見える形で実感したいといった思いは、長く働き続けるための原動力となるからです。しかし、履歴書の志望動機欄に単に「やりがいのある仕事がしたいから」と書くだけでは、採用担当者にその熱意が正しく伝わらない可能性があります。

ビジネスの場において、やりがいとは個人の感想ではなく、企業の利益に貢献した結果として得られるものです。ここでは、あなたが感じるやりがいを、採用担当者が「自社に貢献してくれそうだ」と判断するビジネススキルに変換して伝える方法と、職種別の具体的な例文について解説します。

やりがいという言葉が抽象的すぎて評価されない理由

採用担当者が履歴書の志望動機で最も懸念するのは、応募者のイメージと実際の業務内容にミスマッチがないかという点です。「やりがい」という言葉は非常に主観的であり、人によって定義が異なります。例えば、ある人にとっては「感謝されること」がやりがいでも、別の人にとっては「高い売上を出すこと」がやりがいかもしれません。

そのため、具体的にどのような瞬間に喜びを感じるのかを説明せずに「やりがいを求めて」とだけ書いてしまうと、採用担当者は「うちの仕事の厳しさを理解していないのではないか」「お客様気分で応募しているのではないか」と不安に感じてしまいます。志望動機でやりがいを語る際は、自分が何に喜びを感じ、それがどのように企業の利益につながるのかを具体的に言語化する必要があります。

自分のやりがいを「企業のメリット」に変換する3つの視点

漠然としたやりがいを説得力のある志望動機に変えるためには、以下の3つの視点から具体的に掘り下げてみてください。

1. 顧客からの感謝や貢献をやりがいとする場合

「ありがとう」と言われることに喜びを感じるタイプの方は、ホスピタリティや課題解決能力をアピールします。「お客様の悩みを聞き出し、最適な提案で解決することにやりがいを感じます」と伝えれば、顧客満足度を高められる人材として評価されます。

2. 目標達成や数字の成果をやりがいとする場合

売上目標の達成や、効率化によるコスト削減などに喜びを感じるタイプの方は、成果への執着心や実務能力をアピールします。「高い目標に挑戦し、チームで達成感を共有することにやりがいを感じます」と伝えれば、利益に直結する即戦力として期待されます。

3. 社会貢献や使命感をやりがいとする場合

医療、福祉、インフラなど、社会的な意義の大きさに喜びを感じるタイプの方は、責任感や倫理観をアピールします。「人々の当たり前の生活を支えるインフラ事業に携わることに、強い責任感とやりがいを感じます」と伝えれば、長く定着して真面目に働く人材であるという信頼を得られます。

【営業・販売職】顧客への貢献をやりがいにする志望動機例文

顧客と直接関わる職種では、相手の反応や成果がダイレクトに見えることを動機にします。

貴社の「顧客の成功を第一に考える」という営業方針に強く惹かれ、志望いたしました。前職ではアパレル販売員として、お客様一人ひとりのライフスタイルに合わせた提案を行うことで、笑顔になっていただく瞬間に大きなやりがいを感じてまいりました。単にモノを売るだけでなく、商品を通じてお客様の課題を解決できる貴社の営業職であれば、私の強みであるヒアリング能力と提案力を最大限に発揮できると確信しております。顧客満足度の向上と売上拡大に貢献できるよう、全力を尽くします。

【事務・管理部門】サポートと効率化をやりがいにする志望動機例文

バックオフィス業務では、組織全体を支える役割や、正確な業務遂行を動機にします。

貴社の業務効率化を推進し、社員が働きやすい環境を整える姿勢に共感し、志望いたしました。前職の営業事務では、営業担当者が活動しやすいよう資料作成やスケジュール調整を先回りして行い、「助かった」と声をかけられることに大きなやりがいを感じておりました。また、データ入力のフローを見直し、部署の残業時間を削減した経験もあります。貴社においても、持ち前のサポート精神と改善意識を活かし、縁の下の力持ちとして円滑な事業運営に貢献したいと考えております。

【専門職・技術職】技術向上と品質をやりがいにする志望動機例文

エンジニアや製造職などは、ものづくりへのこだわりや技術の習得を動機にします。

世界中で愛される貴社の製品づくりに、技術者として携わりたいと強く願い志望いたしました。私は以前より、一つの作業に没頭し、細部までこだわって高品質な成果物を作り上げることに深い充実感とやりがいを感じる性格です。前職の製造ラインにおいては、不良品ゼロを目指して工程改善に取り組み、品質の安定化に貢献いたしました。貴社の高度な技術環境のもとで、自身のスキルを磨き続けるとともに、安全で高品質な製品を世に送り出す一員として長く貢献したいと考えております。

やりがいを伝える際に避けるべきNGな書き方

志望動機でやりがいをアピールする際に注意すべきなのは、自分本位な表現にならないようにすることです。「自分が成長できることにやりがいを感じます」や「いろいろな経験ができる点にやりがいを感じます」といった表現は、会社を学校のように捉えていると判断されるリスクがあります。

「成長すること」はあくまで手段であり、目的は「会社に貢献すること」です。「成長することで、より大きな成果を出せる点にやりがいを感じる」というように、最終的には会社のメリットに着地させる構成を意識してください。自分の喜びと会社の利益が重なるポイントを見つけ出し、それを情熱を持って伝えることが、採用を勝ち取るための鉄則です。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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