看護師が老健の履歴書志望動機で採用を勝ち取るための書き方と例文集

病院とは異なり在宅復帰を目的とした中間施設である「老健（介護老人保健施設）」。その役割や看護師に求められるスキルは、病院や特別養護老人ホーム（特養）とは大きく異なります。そのため履歴書の志望動機において、単に高齢者看護がしたいという理由だけでは、採用担当者に熱意や適性が正しく伝わりません。採用担当者は、応募者が老健の役割を正しく理解しているか、そして多職種と連携して利用者の在宅復帰を支援できる人材であるかを厳しくチェックしています。ここでは看護師が老健への転職を成功させるために知っておくべき志望動機の書き方と、経験や状況に合わせた具体的な例文について詳しく解説します。

老健の看護師に求められる役割と採用担当者の視点

老健の採用選考において、採用担当者が履歴書から読み取りたいのは、医療スキル以上に在宅復帰支援への理解と協調性です。老健は病院と自宅の中間に位置する施設であり、利用者がリハビリなどを通じて在宅復帰を目指す場所です。そのため、治療優先の看護ではなく、生活の場に戻るための健康管理や生活支援の視点が求められます。

また、老健には医師、理学療法士、作業療法士、介護職員、支援相談員など多くの専門職が在籍しています。看護師としての専門性を発揮しつつも、他職種を尊重しチームケアを円滑に進められるコミュニケーション能力があるかどうかが重要視されます。さらに、医師が常駐していない夜間帯などにおいて、利用者の急変時に適切な判断ができるアセスメント能力や責任感も評価の対象となります。

病院や特養との違いを明確にした志望理由の作り方

志望動機を作成する上で最も重要なのは、なぜ病院や特養ではなく老健を選んだのかという理由を明確にすることです。多くの看護師が一人ひとりとじっくり向き合いたいという理由を挙げますが、それだけでは特養や有料老人ホームでも良いのではと思われてしまいます。

老健ならではの理由にするためには、在宅復帰というキーワードを核にします。病院で退院後の患者様の生活に不安を感じた経験や、リハビリによって機能が回復していく過程を支えたいという意欲を伝えます。特養との差別化としては、終の棲家としてのケアではなく、変化や回復を目標とした動的なケアに関わりたいという視点を盛り込むと説得力が増します。

急性期病院から老健へ転職する場合の志望動機例文

急性期病院から初めて施設看護に挑戦する場合の例文です。治療中心の看護から、生活を支える看護への意識変革をアピールします。

例文

前職では総合病院の脳神経外科病棟にて5年間勤務し、急性期治療や術後管理に携わってまいりました。多忙な業務の中で、治療を終えた患者様がご自宅に戻ることに不安を感じている姿を目の当たりにし、退院直後から在宅復帰までの期間を支える看護の重要性を痛感いたしました。貴施設は在宅復帰率が高く、リハビリ専門職との連携も活発である点に強く惹かれました。病院で培った急変時対応のアセスメント能力を活かしつつ、利用者様が自信を持ってご自宅へ帰れるよう、生活に寄り添った看護を提供したいと考えております。

介護施設経験者がスキルアップを目指す場合の志望動機例文

すでに特養や有料老人ホームでの経験がある場合は、より医療的な視点やリハビリ連携を深めたいという向上心を伝えます。

例文

現在は特別養護老人ホームにて3年間、看護業務に従事しております。利用者様の穏やかな生活を支えることにやりがいを感じておりますが、より医療依存度の高い方へのケアや、在宅復帰に向けた集中的なリハビリテーションの過程に関わりたいという思いが強くなり、老健への転職を決意いたしました。貴施設は認知症ケアにも注力されており、その専門性の高さに魅力を感じております。これまでの施設経験で培った介護職との連携力を活かし、利用者様の機能回復と在宅復帰を医療面から力強くサポートできる看護師を目指します。

ブランクからの復職や家庭との両立を目指す場合の志望動機例文

子育て中の方やブランクがある方にとって、老健は比較的働きやすい環境ですが、楽だからという理由ではなく、限られた時間の中でプロとして貢献したいという意欲を伝えます。

例文

出産と育児のため4年間のブランクがありますが、以前は内科病棟にて看護師として勤務しておりました。子育てを通じて地域社会の中で支え合うことの大切さを学び、地域医療の拠点である老健で復職したいと考えるようになりました。貴施設は子育て中のスタッフへの理解が深く、長く働ける環境が整っていると伺い志望いたしました。ブランクはありますが、現在は知識のアップデートに努めており、病棟経験で培った観察力を活かして利用者様の体調変化を早期に発見し、安心安全な生活をサポートできるよう尽力いたします。

志望動機で避けるべきNG表現と注意点

老健の志望動機において避けるべきなのは、医療行為が少なくて楽そうだから、夜勤がない（少ない）からといった消極的な理由をメインにすることです。老健には医師が常にそばにいないプレッシャーや、介護業務の手伝いなど、病院とは違った大変さがあります。仕事の厳しさを理解していないと思われる表現はマイナス評価となります。

また、勉強させていただきたいという受け身の姿勢も控えるべきです。即戦力を求められる中途採用においては、自ら学び貢献するという能動的な姿勢を示すことが大切です。医療の視点だけでなく、生活と自立支援の視点を持っていることをアピールし、採用担当者にこの人なら利用者様の在宅復帰を任せられると思わせる履歴書を作成してください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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