履歴書の志望動機で学びたいという言葉は通用するか。採用担当者に評価されるための言い換えテクニックと意識改革

転職活動において新しい業界や職種に挑戦する際、新しい知識やスキルを学びたいという意欲は非常に強力な原動力となります。しかし履歴書の志望動機欄にそのまま学びたいからですと書いてしまうと、採用担当者にマイナスの印象を与えてしまうリスクがあります。学ぶという行為自体は尊いものですが、ビジネスの場においては表現方法に注意が必要です。ここでは学びたいという純粋な熱意を、企業側が求める貢献意欲というポジティブな志望動機に変換するための考え方と、具体的な書き換えテクニックについて詳しく解説します。

学びたいという言葉が採用担当者に敬遠される理由

採用担当者が求職者の履歴書を見たとき、学びたい、勉強させていただきたいという言葉に対して警戒心を抱くケースは少なくありません。その最大の理由は、会社は学校ではないからです。企業は利益を追求する組織であり、従業員に対して給与を支払う代わりに成果や貢献を求めています。そのため、学びたいという動機が前面に出すぎると、会社から与えてもらうこと（テイク）ばかりを期待し、会社に対して何を提供できるか（ギブ）という視点が欠けていると判断されかねません。

また、学びたいという表現は、どうしても受け身の姿勢に見えてしまいます。教えてもらうのを待つのではなく、自ら情報を掴み取りに行く主体性がビジネスでは求められます。中途採用においては即戦力性や自律性が特に重視されるため、教育コストがかかるだけの人材だと思われないよう、表現を工夫する必要があります。学びたいという意欲そのものは素晴らしいことですので、それを自己成長のためだけでなく、企業の利益につなげるための手段として伝えることが重要です。

学ぶ姿勢を貢献への意志に変える思考の転換

学びたいという本音を評価される志望動機に変えるためには、学ぶことを目的とするのではなく、あくまで手段として位置づけることが大切です。知識やスキルを身につけた結果、会社にどのようなメリットをもたらすことができるのかというゴールを明確にします。例えば、専門知識を学びたいという動機であれば、専門知識を早期に習得し、御社の事業拡大に貢献したいと言い換えます。

また、未経験の分野に挑戦する場合は、これまでの経験を活かしつつ、不足している知識は自ら補うという姿勢を示します。未経験なので教えてくださいではなく、未経験ですがこれまでの経験を活かし、新しい知識も貪欲に吸収して早期に戦力となりますと伝えることで、頼もしさが生まれます。自分自身が成長することが、結果として会社の成長につながるというロジックを組み立てることが、採用担当者を納得させるポイントです。

学びたいをポジティブに変換する具体的な言い換え表現

学びたいという言葉を使わずに、向上心や成長意欲を伝えるためのビジネスライクな表現はいくつかあります。状況に合わせてこれらの言葉を使い分けることで、履歴書の印象はぐっと引き締まります。

知識や技術を身につけたい場合は、吸収する、習得するという言葉を使います。貴社の高い技術力を吸収し、質の高い製品開発に尽力したいといった表現です。これにより、能動的に自分のものにしようとする意志が伝わります。

自分自身を成長させたい場合は、高める、磨くという言葉が適しています。営業スキルをさらに高め、売上目標の達成に貢献したいと伝えます。既存の能力をベースにして、さらに上を目指すというニュアンスが含まれます。

新しい環境で経験を積みたい場合は、挑戦する、発揮するという言葉を選びます。新しいフィールドで自身の可能性に挑戦し、事業の発展に寄与したいと表現することで、前向きなエネルギーをアピールできます。

未経験職種へ応募する場合の志望動機構成

未経験の職種に応募する場合、どうしても学びたい気持ちが強くなりがちですが、ポータブルスキル（持ち運び可能な能力）とセットで伝えることで説得力が増します。まずは、なぜその職種に興味を持ったのかというきっかけを述べます。次に、前職での経験の中で、新しい職種でも活かせる強み（コミュニケーション能力や管理能力など）を提示します。そして最後に、不足している知識については自習していることや、入社後にいち早く習得して貢献したいという決意で締めくくります。

例えば、事務職からエンジニアを目指す場合であれば、業務効率化のためにPCスキルを磨いた経験からIT技術への関心が高まりました。現在は独学でプログラミングを学習しており、持ち前の探究心を活かして早期に技術を習得し、貴社の開発プロジェクトに貢献したいと考えておりますといった構成にします。これならば、単に教えてほしいだけの人材ではなく、自ら道を切り開こうとする有望な人材として映ります。

経験者がスキルアップを目指す場合の志望動機構成

経験者がさらなるスキルアップを目指して転職する場合も、学ぶことだけを強調するのは避けるべきです。現状のスキルで貢献できることを前提とし、さらに高度な業務に関わることで、より大きな成果を出したいというスタンスで書きます。

例えば、現職では定型的な業務が中心ですが、貴社では企画提案から携われる点に魅力を感じました。これまでの実務経験を活かして即戦力として貢献しつつ、より上流工程のノウハウを吸収することで、貴社の事業価値の向上に努めますといった書き方です。ギブアンドテイクのバランスを意識し、会社にとってもメリットがある採用であることをアピールします。

常に能動的な姿勢で書くことが採用への近道になります

履歴書の志望動機において最も重要なのは、主体性と貢献意欲です。学びたいという気持ちは、裏を返せば現状に満足せず成長し続けたいという高い意欲の表れでもあります。その素晴らしいエネルギーを、自分の中だけで完結させるのではなく、会社のために使いたいというメッセージに変換して届けてください。受け身の言葉を能動的な言葉に置き換えるだけで、あなたの履歴書はプロフェッショナルな輝きを放つようになります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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