看護師の履歴書志望動機で採用担当者の心を掴む書き方とケース別例文集
看護師の転職市場は依然として売り手市場と言われていますが、好条件の病院や人気のあるクリニック、企業看護師などの求人は競争率が高く、書類選考で不採用となるケースも少なくありません。採用担当者は、数多くの応募書類の中から「自院に定着し、活躍してくれる人材」を見極めようとしています。その判断材料として最も重視されるのが、履歴書の志望動機です。ここでは、看護師としての経験やスキルを効果的にアピールし、書類選考を確実に通過するための志望動機の書き方と、状況別の具体的な例文について詳しく解説します。
看護師の採用担当者が志望動機でチェックしている3つの視点
看護師の選考において、採用担当者が志望動機から読み取りたいことは明確です。以下の3つのポイントを網羅することで、説得力のある文章を構成できます。
- なぜ当院(当施設)でなければならないのか数ある病院や施設の中で、なぜそこを選んだのかという理由は、志望度の高さを測るバロメーターです。「理念に共感した」「専門的な〇〇治療に力を入れている点に惹かれた」「地域医療への貢献姿勢に感銘を受けた」など、その病院ならではの特徴を挙げることが不可欠です。
- 即戦力として活躍できる経験やスキルがあるか中途採用では、教育コストをかけずに即戦力となれる人材が好まれます。これまでの診療科での経験、委員会活動、プリセプター経験などを具体的に示し、入職後にどう貢献できるかをイメージさせる必要があります。
- 長く働いてくれるか(定着性)早期離職は採用側にとって大きなリスクです。「キャリアプランが一貫しているか」「前職の退職理由と志望動機に矛盾がないか」を確認し、長く腰を据えて働いてくれる人物かどうかを判断しています。
書類選考を突破する志望動機の基本構成
読みやすく熱意が伝わる志望動機には、鉄板の構成があります。以下の3段構成を意識して文章を組み立ててください。
- 結論(書き出し): 「貴院の〇〇という点に魅力を感じ、志望いたしました」と、応募のきっかけを簡潔に述べます。
- 根拠(エピソード): その理由に至った背景として、これまでの看護経験や、そこで感じた課題、自身の看護観などを具体的に記述します。
- 結び(貢献の意思): 「これまでの経験を活かし、貴院の看護の質向上に貢献したい」といった、入職後の抱負で力強く締めくくります。
【ケース別】そのまま使える看護師の志望動機例文
急性期病院から慢性期・療養型へ転職する場合の例文
患者様とじっくり向き合う看護がしたいというポジティブな理由に変換することがポイントです。
例文
前職では急性期病棟にて5年間勤務し、迅速な処置や重症患者様の全身管理などのスキルを磨いてまいりました。多忙な業務の中でやりがいを感じる一方、患者様一人ひとりの退院後の生活や、精神的なケアにもっと深く寄り添いたいという思いが強くなりました。貴院は長期療養型の専門病院として、患者様とそのご家族に寄り添った温かい看護を実践されており、その姿勢に深く共感いたしました。急性期で培った観察力と判断力を活かしつつ、患者様のQOL向上に貢献できる看護を提供したいと考え志望いたしました。
同規模の病院・クリニックへスキルアップ転職する場合の例文
専門性を高めたいという向上心をアピールし、その病院でしか学べないことがあると伝えます。
例文
現在は総合病院の外科病棟に勤務しておりますが、より専門性の高い緩和ケアの分野でスキルを磨きたいと考え、地域の中核として緩和ケア病棟を有する貴院を志望いたしました。前職では、がん患者様の疼痛コントロールや精神的ケアに携わる機会があり、終末期看護の重要性を痛感いたしました。貴院の「最期までその人らしく生きることを支える」という理念のもと、認定看護師の取得も視野に入れながら、質の高い看護を提供できるよう尽力したいと考えております。
ブランクあり・復職を目指す場合の例文
ブランク期間中の経験も糧にしつつ、復帰への強い意欲と謙虚な姿勢を示します。
例文
出産・育児のため5年間のブランクがありますが、子育てを通じて忍耐力や視野の広さを養うことができました。現在は子供の手が離れ、再び看護師として地域医療に貢献したいという強い思いがあり、復職を決意いたしました。貴院の充実した復職支援プログラムや、子育て中のスタッフが多く活躍されている環境に魅力を感じております。ブランクはありますが、前職の内科病棟で培った5年間の経験を思い出しながら、一日も早く感覚を取り戻し、即戦力として貢献できるよう努力いたします。
美容クリニックへ転職する場合の例文
臨床経験だけでなく、接遇スキルや美容への関心の高さをアピールします。
例文
病棟勤務を通じて患者様のケアに携わる中で、心身の健康だけでなく「美しくありたい」という願いを叶えることが、患者様の自信や活力につながることを実感しました。美容医療の最先端を行く貴クリニックの、高い技術力とホスピタリティあふれる接客に感銘を受け、私もその一員としてお客様の美をサポートしたいと強く志望いたしました。臨床で培った正確な手技と、相手のニーズを汲み取る傾聴力を活かし、お客様に信頼される看護師を目指します。
訪問看護ステーションへ転職する場合の例文
在宅医療への関心と、一人で判断して行動できる自律性をアピールします。
例文
病棟勤務時代、退院後の生活に不安を抱える患者様を多く目の当たりにし、住み慣れた自宅で安心して療養生活を送るための支援がしたいと考えるようになりました。貴ステーションは24時間体制で地域の在宅医療を支えており、その手厚いサポート体制とスタッフの方々の熱意に惹かれ志望いたしました。病棟で培ったアセスメント能力と、多職種と連携するコミュニケーション能力を活かし、利用者様とそのご家族に寄り添った訪問看護を実践したいと考えております。
志望動機で避けるべきNG表現と注意点
看護師の志望動機において、「給与が高いから」「残業が少なそうだから」「託児所があるから」といった条件面のみを強調するのは避けるべきです。働く環境は重要ですが、そればかりを主張すると「条件が悪くなれば辞める」「仕事への意欲が低い」と判断されかねません。条件面はあくまで付随的な理由とし、メインは「看護観の一致」や「貢献意欲」に置くようにしてください。また、「勉強させていただきたい」という受け身の姿勢も、教育コストがかかると思われてしまうため、「自ら学び貢献する」という能動的な表現に変換することが大切です。自分の言葉で誠実に思いを伝え、採用担当者に「一緒に働きたい」と思わせる履歴書を作成してください。





