保険営業の書類選考を突破する履歴書志望動機の書き方と経験別例文集

実力主義で高収入を目指せるだけでなく、顧客の人生を支えるという社会貢献性の高さから、保険営業は転職市場において常に注目される職種です。未経験からでも挑戦しやすい間口の広さがある一方で、離職率も高い業界であるため、採用担当者は「本当に長く続けられるのか」「成果を出せる覚悟があるのか」を履歴書の志望動機から厳しく見極めています。

単に「稼ぎたいから」「人と話すのが好きだから」という理由だけでは、厳しいノルマや専門知識の習得が必要な保険営業の世界では通用しないと判断されかねません。ここでは、保険営業への転職を目指す方が書類選考を確実に通過するために知っておくべき志望動機の書き方と、未経験者や経験者など状況に合わせた具体的な例文について詳しく解説します。

保険営業の採用担当者が志望動機で重視する3つの視点

保険業界の採用選考において、採用担当者が履歴書の志望動機欄から読み取りたい要素は明確です。以下の3つのポイントを意識して文章を構成することで、説得力が格段に向上します。

1. なぜ「保険」という無形商材を選んだのか

保険は目に見えない商品であり、顧客にとって「万が一」に備えるためのものです。数ある営業職の中で、なぜあえて難易度の高い保険営業を選んだのかという理由が重要です。「自身が病気になった際に保険に助けられた」「ライフプランの重要性を痛感した」といった原体験や、顧客の人生に長く寄り添いたいという使命感を伝えます。

2. 目標達成への執着心と行動力

保険営業は成果が数字として明確に表れる仕事です。そのため、高い目標に対して臆せず挑戦できる向上心や、断られても諦めずに提案を続ける粘り強さがあるかどうかが評価されます。過去の経験から、困難な目標を達成したエピソードなどを交えると効果的です。

3. 顧客との深い信頼関係を築く人間力

保険契約は担当者への信頼があって初めて成立します。誠実さ、傾聴力、相手の立場に立って考える想像力など、顧客に安心感を与えられる人間性を持っているかどうかがチェックされます。

未経験から保険営業へ挑戦する場合の書き方と例文

未経験から保険営業を目指す場合、保険知識の有無よりも、これまでのキャリアで培ったポータブルスキル（営業力や対人スキル）と、なぜ保険業界に挑戦するのかという熱意をアピールします。

接客業・販売職から転職する場合の例文

前職ではホテルスタッフとして3年間勤務し、お客様一人ひとりの状況に合わせたきめ細やかな対応を心がけ、顧客満足度の向上に貢献してまいりました。その中で、一時的なサービス提供だけでなく、お客様の人生の節目に立ち会い、長期的な安心をサポートできる仕事に就きたいという思いが強くなり、保険業界を志望いたしました。貴社の「一生涯のパートナー」という理念に深く共感しております。接客で培ったホスピタリティと傾聴力を活かし、お客様の不安に寄り添った提案を行うことで、信頼されるライフパートナーとして貢献したいと考えております。

異業種の営業職から転職する場合の例文

前職では不動産賃貸の営業職として、お客様の住まい探しをサポートしてまいりました。ヒアリングを通じて潜在的なニーズを引き出し、最適な提案を行うことで成約率トップの実績を上げることができました。しかし、一度契約すれば関係が希薄になる点に物足りなさを感じ、契約後もお客様の人生を長く支え続けられる保険営業に魅力を感じ志望いたしました。貴社の充実した教育体制のもとで専門知識を習得し、持ち前の提案力と行動力を活かして、早期に目標を達成できる営業担当として活躍したいと強く願っております。

経験者がキャリアアップや環境変化を目指す場合の書き方と例文

すでに保険営業の経験がある場合は、具体的な実績（保有契約高や表彰歴など）を提示し、即戦力であることをアピールします。その上で、なぜ会社を変える必要があるのかを前向きな理由で説明します。

国内生保から外資系生保・代理店へ転職する場合の例文

現職では国内生命保険会社の営業として5年間従事し、個人のお客様を中心にコンサルティング営業を行ってまいりました。丁寧なアフターフォローを徹底することで、既存顧客からの紹介率30％を維持しております。しかし、自社商品の枠を超えて、よりお客様のニーズに合致したオーダーメイドの提案を行いたいという思いが強くなり、複数社の保険商品を取り扱う貴社を志望いたしました。これまでの営業経験とFP2級の知識を活かし、より公正で質の高いコンサルティングを提供することで、貴社の事業拡大に即戦力として貢献いたします。

「稼ぎたい」という本音をポジティブな意欲に変換するテクニック

保険営業を志望する理由として、「インセンティブで稼ぎたい」「年収を上げたい」という本音を持つ方も多いでしょう。しかし、これをそのまま書くと「お金のためなら強引な営業をしそうだ」と懸念されるリスクがあります。これをビジネスライクな表現に変換します。

変換例

• NG： 「給料が良いので、たくさん稼ぎたいです。」
• OK： 「年齢や社歴に関わらず、個人の成果を正当に評価する貴社の実力主義の方針に魅力を感じました。高い目標に挑戦し、実績を上げることで自身の市場価値を高めるとともに、貴社の売上拡大に貢献したいと考えております。」

このように、「成果を出して評価されたい」という向上心として伝えることで、採用担当者に意欲的な人材として評価されます。

志望動機で避けるべきNG表現と注意点

保険営業の志望動機において避けるべきなのは、「勉強させていただきたい」という受け身の姿勢です。特にフルコミッション（完全歩合制）に近い雇用形態の場合、会社は教育機関ではなく、自律して稼ぐ個人事業主のようなマインドを求めます。「自ら学び、成果を出す」という能動的な姿勢を示してください。

また、「ノルマが厳しくなさそうだから」といった消極的な理由も厳禁です。保険営業には多かれ少なかれ目標数字がつきものです。プレッシャーから逃げたいという姿勢は、適性がないと判断されてしまいます。厳しい環境であることを理解した上で、それでも顧客のために挑戦したいという覚悟を履歴書に込めることが、採用を勝ち取るための鉄則です。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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