介護職の履歴書志望動機「グループホーム編」！採用担当者に響く書き方と経験別例文集

介護職の中でも、認知症ケアに特化し、家庭的な雰囲気で利用者様を支える「グループホーム（認知症対応型共同生活介護）」は、転職市場において非常に人気のある職場です。しかし、特養や老健とは役割が異なるため、履歴書の志望動機において「なぜグループホームなのか」を明確に伝えられなければ、採用担当者の心を動かすことはできません。

採用担当者は、応募者がグループホームの特性を理解し、認知症の利用者様に寄り添える適性があるかを厳しくチェックしています。ここでは、グループホームへの転職を目指す方が書類選考を確実に通過するために知っておくべき志望動機の書き方と、未経験者や経験者など状況に合わせた具体的な例文について詳しく解説します。

グループホームの採用担当者が履歴書で重視する3つの視点

グループホームの採用選考において、採用担当者が志望動機欄から読み取りたい要素は明確です。他の介護施設ではなく、グループホームでなければならない理由を以下の3つの視点からアピールすることが重要です。

1. 認知症ケアへの関心と理解度

グループホームは認知症の方を専門とする施設です。そのため、「認知症ケアのスキルを深めたい」「一人ひとりの症状や行動心理（BPSD）に寄り添ったケアがしたい」という専門性への意欲が最重要視されます。認知症の方を一人の人間として尊重し、その人らしい生活を支えたいという熱意が必要です。

2. 生活リハビリ（自立支援）への共感

「何でもしてあげる介護」ではなく、掃除や洗濯、料理などを利用者様と共に行う「生活リハビリ」がグループホームの特徴です。利用者様の残存能力を引き出し、「できること」を奪わずに見守る忍耐強さや、一緒に生活を楽しむ姿勢があるかどうかが評価されます。

3. 少人数ケアにおける協調性とコミュニケーション能力

1ユニット5名〜9名という少人数制であるため、スタッフと利用者様、またスタッフ同士の距離が非常に近くなります。アットホームな雰囲気を大切にし、家族のように接することができる温かみや、狭いコミュニティでも円滑に連携できる協調性が求められます。

「特養」や「訪問介護」との違いを明確にする書き方

多くの応募者が「お年寄りが好きだから」という理由を書きますが、それだけでは「特養でもいいのでは？」と思われてしまいます。グループホームならではの志望動機にするためには、他施設との違いを意識した書き方が効果的です。

• 大規模施設（特養・老健）との比較「流れ作業的なケアではなく、少人数の環境で一人ひとりのペースに合わせた個別ケアを実践したい」と伝えます。
• 訪問介護との比較「訪問時の限られた時間だけでなく、共同生活を通じて24時間寄り添い、生活の流れ全体を支えたい」と伝えます。

【経験者向け】より深い個別ケアを目指す志望動機例文

すでに介護職の経験がある場合は、前職で感じた課題（時間が足りない、集団ケアの限界など）を挙げ、グループホームでなら理想のケアが実現できるというポジティブな理由で構成します。

例文（特養からグループホームへ）

前職では特別養護老人ホームにて3年間、介護業務に従事し実務者研修を修了いたしました。多くの利用者様の生活を支えることにやりがいを感じておりましたが、業務効率が優先される環境下で、認知症の方一人ひとりの声に十分に耳を傾けられないことに葛藤を感じておりました。貴ホームは「ゆっくり、一緒に、楽しく」を理念に掲げ、利用者様の主体性を尊重したケアを実践されています。これまでの介護技術を活かしつつ、利用者様のペースに合わせたきめ細やかな認知症ケアを提供し、穏やかな生活を支えたいと考え志望いたしました。

【未経験者向け】人柄とポータブルスキルを活かす志望動機例文

未経験からグループホームを目指す場合、介護技術はありませんが、認知症ケアに必要な「優しさ」「観察力」「家事能力」などは、異業種での経験からアピールできます。

例文（接客業からグループホームへ）

祖母が認知症を患った際、グループホームのスタッフの方々が家族のように温かく接してくださり、祖母が笑顔を取り戻した姿に感銘を受け、介護職を志望いたしました。前職では飲食店で接客業務に従事しており、お客様の表情から要望を察する観察力や、臨機応変な対応力を培ってまいりました。また、料理や掃除などの家事も得意としております。未経験ではありますが、貴ホームの家庭的な雰囲気の中で、利用者様と共に生活を作り上げる一員として、心に寄り添うケアを実践できるよう努力いたします。

【料理が得意な場合】生活支援力をアピールする例文

グループホームでは調理業務が必須となることが多いため、料理が得意であることは大きな強みになります。

例文（調理スキルをアピール）

私は料理を作ることが好きで、食事を通じて人が笑顔になる瞬間に喜びを感じます。グループホームでは、スタッフと利用者様が一緒に食事を作ったり、盛り付けを行ったりすることで生活機能を維持すると伺い、私の特技を活かして利用者様の自立支援に貢献したいと考え志望いたしました。栄養バランスはもちろん、季節を感じられる献立作りなどを通じて、利用者様にとって楽しみとなる豊かな食卓を提供できるよう尽力いたします。

グループホームの志望動機で避けるべきNG表現

グループホームの志望動機において避けるべきなのは、「楽そうだから」という誤解に基づいた理由です。

• 「ゆったり働けそうだから」少人数とはいえ、認知症の方への対応は根気が必要であり、夜勤などもあるため決して楽な仕事ではありません。仕事の厳しさを理解していないと思われる表現はマイナス評価となります。
• 「お世話をしてあげたい」グループホームはあくまで「自立支援」の場です。「やってあげる」のではなく、「自分でできるように支援する」という視点を持つことが大切です。

認知症という病気への理解と、一人の人間として尊重する誠実な姿勢を履歴書に込め、採用担当者に「この人なら安心して任せられる」と思わせる志望動機を作成してください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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