営業職の書類選考を突破する履歴書志望動機の書き方とパターン別例文集
企業の売上を直接左右する営業職は、求人数が多い一方で、実力主義の側面が強く、採用担当者の目も厳しい職種です。「売れる営業」としてのポテンシャルを感じさせるためには、履歴書の志望動機において、単なる熱意だけでなく、論理的な思考力や成果への執着心をアピールする必要があります。ここでは、営業職への転職を目指す方が書類選考を確実に通過するために知っておくべき志望動機の構成テクニックと、経験者・未経験者それぞれの具体的な例文について詳しく解説します。
営業職の採用担当者が志望動機で重視する3つのポイント
営業職の選考において、採用担当者は志望動機から「この人は自社の商材を売ることができるか」を判断しようとしています。具体的には以下の3つの要素が含まれているかが重要になります。
1. 目標達成への意欲とプロセス
営業職の本質は数字を作ることです。そのため、過去の実績(売上達成率や順位など)はもちろんのこと、その数字を達成するためにどのような工夫や努力をしたかという「プロセス」が重視されます。困難な状況でも諦めずに目標を追いかける姿勢があるかどうかがチェックされます。
2. 顧客との信頼関係構築能力
モノやサービスが溢れる現代において、単なる物売りでは通用しません。顧客の課題を聞き出し、解決策を提案するヒアリング能力や、長期的な信頼関係を築くためのコミュニケーション能力があるかどうかが評価の対象となります。
3. なぜ「その商材」を売りたいのか
数ある企業の中で、なぜその会社の商品やサービスを扱いたいのかという理由は、志望度や定着性を測る重要な指標です。商材への愛着や理解度が深ければ、顧客への説得力も増すと判断されるため、企業研究に基づいた納得感のある理由が必要です。
説得力を生む志望動機の基本構成(PREP法)
営業職の志望動機は、論理的で分かりやすい構成であることが求められます。ビジネス文書の基本である「PREP法(結論・理由・具体例・結論)」を意識して組み立てると効果的です。
- 結論(Point): なぜその会社を志望したのかを簡潔に述べる。
- 理由(Reason): その志望理由に至った背景やきっかけを説明する。
- 具体例(Example): 自分の過去の経験や実績を提示し、どう貢献できるかを示す。
- 結論(Point): 入社後の抱負や決意で締めくくる。
この流れで書くことで、「話が分かりやすい=営業トークも上手そう」という印象を与えることができます。
【経験者向け】実績を武器にする志望動機例文
営業経験者の場合、具体的な数字を用いた実績のアピールが最も強力です。同業界への転職であれば即戦力性を、異業界であれば応用可能な営業スタイルを強調します。
同業界・同職種への転職(キャリアアップ)
例文
現職ではITソリューションの法人営業として5年間従事し、直近3年は年間売上目標の120%を継続して達成いたしました。顧客の潜在的な課題を引き出すヒアリング力を武器に、深耕営業を得意としておりますが、より規模の大きなプロジェクトで提案力を試したいと考え、業界最大手である貴社を志望いたしました。貴社の幅広いプロダクトラインナップであれば、顧客に対してより本質的な解決策を提示できると確信しております。これまでの経験を活かし、即戦力として貴社の事業拡大に貢献いたします。
異業界・同職種への転職(新たな挑戦)
例文
前職では不動産営業として個人のお客様への提案を行ってまいりました。人生の大きな決断に立ち会う責任感と、信頼関係を構築する粘り強さを培い、トップセールス賞を受賞した経験もございます。その中で、企業の経営課題に直結する無形商材の提案に挑戦したいという思いが強くなり、人材業界を牽引する貴社を志望いたしました。商材は異なりますが、顧客のニーズを的確に捉え、信頼を勝ち取る営業スタイルは貴社においても必ず活かせると考えております。早期に商品知識を習得し、目標達成に邁進いたします。
【未経験者向け】ポータブルスキルを活かす志望動機例文
営業未経験者の場合、前職で培った「対人スキル」や「目標への取り組み方」をアピールします。販売職や接客業などの経験は、営業職との親和性が高いため有利に働きます。
接客・販売職から営業職への転職
例文
前職ではアパレル販売員として3年間勤務し、お客様一人ひとりのライフスタイルに合わせたコーディネート提案を行ってまいりました。単に商品を売るのではなく、お客様の悩みに寄り添い解決することで信頼を得ることに大きなやりがいを感じておりました。より深く顧客の課題解決に関わり、長期的な信頼関係を築ける法人営業職に挑戦したいと考え、貴社を志望いたしました。販売職で培った傾聴力と提案力、そして目標数字に対する責任感を活かし、貴社の営業として成果を出せるよう全力で取り組みます。
事務職から営業職への転職
例文
前職では営業事務として、見積書作成や納期管理を通じて営業担当をサポートしてまいりました。間近で営業活動を見る中で、自らの提案でお客様に喜んでいただき、会社の売上に直接貢献できる営業職の仕事に強い魅力を感じるようになりました。事務職で培った正確な業務遂行能力と、社内外の関係者と円滑に連携するコミュニケーション能力は、営業活動においても強みになると確信しております。未経験ではありますが、持ち前の行動力と学習意欲で一日も早く戦力となれるよう尽力いたします。
営業職の志望動機で避けるべきNG表現
営業職志望において、以下のような表現は「営業に向いていない」と判断されるリスクがあるため避けるべきです。
- 「ノルマが厳しくないから」:目標達成意欲が低いとみなされます。「高い目標に挑戦したい」とポジティブに変換しましょう。
- 「人と話すのが好きだから」:これだけでは弱いです。話すことが好きなのではなく、「対話を通じて課題を解決することが好き」または「利益を生み出すことが好き」というビジネス視点を加える必要があります。
- 「教えていただきたい」:受け身の姿勢は敬遠されます。特に営業職は自ら動くことが求められるため、「自ら学び取りに行く」姿勢を示してください。
営業職の履歴書は、あなたという商品を売り込むための最初の提案書です。相手企業(顧客)が何を求めているかを分析し、自分の強み(商品価値)がいかにそのニーズを満たすかを論理的かつ情熱的に伝えることで、面接への切符を勝ち取ってください。





