履歴書の「ずっと」。そのNG表現を「強み」に変える正しい言い換え術
「ずっと〇〇を続けています」が履歴書でNGな理由
転職活動で履歴書(特に「自己PR」や「趣味・特技」欄)を作成する際、ご自身の「継続力」や「一貫性」をアピールしたい場面は多くあります。
その時、「私はずっと〇〇を大切にしてきました」「ずっと野球を続けています」といった表現を使っていないでしょうか。
「ずっと」という言葉は、私たちの日常生活では非常に便利な言葉ですが、履歴書という公的な応募書類において、この表現はNGです。
採用担当者は、履歴書に「ずっと」という言葉が書かれていると、以下のようなマイナスの印象を抱く可能性があります。
- 「幼稚・稚拙(ちせつ)な印象」→ 「ずっと」は、非常にカジュアルな「話し言葉」です。ビジネス文書(書き言葉)としてふさわしくなく、社会人としての文章力(ビジネスマナー)を疑われる可能性があります。
- 「具体性・客観性の欠如」→ 「ずっと」とは、具体的にどのくらいの期間なのでしょうか? 1年でしょうか、10年でしょうか。採用担当者が知りたいのは、あなたの「感覚」ではなく、客観的な「事実」です。
ここでは、この「ずっと」というNGワードを、採用担当者に響く「強み」として伝えるための、正しい「言い換え術」について詳しく解説します。
採用担当者が知りたいのは「継続力」という「強み」
採用担当者は、あなたの「ずっと」という感覚を知りたいわけではありません。
その言葉の裏にある、**「継続力(物事を長く続ける力)」「一貫性(ブレない姿勢)」「忍耐力」**といった、ビジネスパーソンとしての「強み」を知りたいのです。
「ずっと」という曖昧(あいまい)な言葉を、以下の3つのパターンで「言い換える」ことで、あなたの強みは具体的かつ魅力的なアピールに変わります。
「ずっと」の言い換えテクニック3選
ご自身のアピールしたい内容に合わせて、以下の言葉に置き換えてみましょう。
1. 「具体的な期間(数字)」で言い換える
最も客観的で、説得力のある言い換え方です。「ずっと」という曖昧な言葉を、具体的な「数字」に変えます。
【言い換えの例】
- ずっと続けています→ 「〇年間、継続しています」→ 「大学入学時から、約〇年間続けています」
- ずっと〇〇しています→ 「週に〇回、〇〇を実践しています」→ 「毎朝欠かさず、〇〇を行っています」
2. 「姿勢・頻度」を示すビジネスワードで言い換える
「常にそうしている」という一貫した「姿勢」をアピールしたい場合は、以下の言葉が適しています。
【言い換えの例】
- ずっと(いつも)意識しています→ 「常に(つねに)〇〇を意識しています」
- ずっと(しっかり)行っています→ 「〇〇(例:安全確認)を徹底しています」
- ずっと(変わらず)→ 「〇〇(例:入社以来)、一貫(いっかん)して〇〇に取り組んでいます」
3. 「能力」を示す言葉で言い換える
「ずっと」続けてきた結果、それが「強み」になっていることを直接アピールする方法です。
【言い換えの例】
- ずっと頑張ってきました→ 「〇〇の(例:スキル習得)に、継続的に取り組んできました」
- 私の強みは「ずっと」続けられることです→ 「私の強みは『継続力(けいぞくりょく)』です」
【例文】「ずっと」を「強み」に変えるビフォー・アフター
履歴書の各欄で、「ずっと」をどのように言い換えればよいか、具体的な例文(ビフォー・アフター)で見ていきましょう。
1. 「趣味・特技」欄での言い換え
【NG例文】
- 特技:野球(ずっと続けています)
- 特技:ランニング(ずっと健康のために走っています)
【OK例文(期間・数字で具体化)】
- 特技:野球(補足:小学校から大学まで約12年間継続してきました。体力と忍耐力には自信があります。)
- 特技:ランニング(補足:健康管理のため、週3回のジョギングを5年間続けています。自己管理能力が強みです。)
2. 「自己PR」欄での言い換え
【NG例文】
「私は、ずっとお客様の立場に立って考えることを大切にしてきました。ずっと丁寧な接客を心がけてきたので、貴社でも頑張ります。」
【OK例文(姿勢・一貫性でアピール)】
「私は、常にお客様の潜在的なニーズを先読みし、行動することを信条としています。
現職では〇年間、一貫して『〇〇(例:顧客満足度の向上)』という目標に取り組み、〇〇(実績)に貢献しました。この『相手の立場に立つ姿勢』は、貴社の〇〇業務でも必ず活かせると確信しております。」
3. 「志望動機」欄での言い換え
【NG例文】
「私は、ずっと貴社の製品のファンでした。ずっと憧(あこが)れていた貴社で働きたいです。」
【OK例文(「好き」を「分析」と言葉に変換)】
「私は、貴社の〇〇(商品名)を〇年間愛用しています。
特に、〇〇という他社にはない点(=好きな理由の分析)に、一貫した開発思想を感じ、魅力を抱いてきました。
前職で培った〇〇(強み)を活かし、今度は「愛用者」としてではなく、「提供者」として、その価値を広める一員となりたく、強く志望いたします。」
4. 結論。「ずっと」という「感覚」を、「事実」に翻訳しよう
履歴書における「ずっと」という言葉は、便利ですが、思考停止の表れでもあります。
転職(中途採用)で求められるのは、あなたの「感覚」ではなく、採用担当者が評価できる「客観的な事実」です。
ご自身の「ずっと」を、
- 「〇年間」「週〇回」という**「数字(期間・頻度)」**に
- 「常に」「一貫して」という**「姿勢(ビジネスワード)」**に
- 「継続力」「忍耐力」という**「強み(能力)」**に
正しく「翻訳(言い換え)」すること。
その「ひと手間」こそが、あなたの「ビジネススキル」と「入社意F欲」を、採用担当者に最も強く伝える鍵となります。





