履歴書の「汚れ」。その一枚が合否を分ける理由と絶対NGな対処法

転職活動において、応募書類（履歴書・職務経歴書）はあなたの「顔」とも言える重要なものです。しかし、どれほど内容を完璧に仕上げても、その書類に「汚れ」や「シミ」があったとしたら、どうでしょうか。

「少しコーヒーが跳ねただけだから…」

「雨でにじんでしまったが、読めるから大丈夫だろう」

こうした「少しの汚れ」に対する甘い認識が、実はあなたの書類選考通過のチャンスを、大きく遠ざけている可能性があります。

ここでは、履歴書が汚れてしまった場合の正しい対処法と、採用担当者がその「汚れ」から何を読み取っているのかについて、詳しく解説します。

1. なぜ「汚れた履歴書」を提出してはいけないのか

結論から言いますと、シミ、インクのにじみ、食べ物のカスなど、いかなる「汚れ」がある履歴書も、そのまま提出するのは絶対にNGです。

採用担当者は、履歴書の内容だけでなく、「書類がどのように作成・処理されているか」も見て、応募者の仕事に対する姿勢を評価しています。

汚れた履歴書は、採用担当者に以下のような致命的なマイナスイメージを与えます。

• 「仕事が雑である」→ 応募書類という重要な書類の扱いが雑であることは、「入社後の実際の業務（資料作成、顧客対応など）も雑なのではないか」という不安に直結します。
• 「注意力が不足している」→ 汚れに気づかない、あるいは気づいてもそのまま提出する姿勢は、「確認を怠る」「細部に気を配れない」人物だと判断されます。
• 「自己管理能力が低い」→ きれいな状態で書類を準備・管理できないことは、「自己管理能力が低い」という評価に繋がります。
• 「入社意欲（志望度）が低い」→ 「自社への応募はこの程度の準備なのか」と、熱意が低いと見なされる可能性が非常に高いです。「書き直す（印刷し直す）手間すら惜しんだ」と判断されるのです。

2. 絶対NG！ 「汚れ」のごまかし方（修正液など）

「汚れた部分だけを修正すれば良いのでは？」と考える方もいるかもしれませんが、それもNGです。

• 修正液、修正テープの使用→ 履歴書という公的な応募書類において、「修正」は原則としてマナー違反です。「塗りつぶし」と同様に、見栄えが悪く、準備不足の印象を与えます。
• 砂消しゴムやカッターで削る→ 紙が毛羽立ったり、薄くなったりして、かえって修正跡が汚く目立ちます。

「汚れ」も「修正跡」も、採用担当者にとっては「完璧ではない書類」という点では同じです。

3. 汚れ・シミを発見した場合の「唯一の正しい対処法」

履歴書が汚れてしまった場合の、正しい対処法はただ一つです。

「新しい用紙に、最初からすべて書き直す（または、データを修正して印刷し直す）」

手書きで作成していた場合

非常に手間がかかりますが、諦めて新しい用紙に、最初からすべて書き直すしかありません。これが、応募書類という公的書類に対する正しい向き合い方です。

手書きで履歴書を作成する場合は、失敗を見越して、必ず履歴書用紙の「予備」を複数枚準備しておくことを強くお勧めします。

パソコン（PC）で作成していた場合

現代の転職活動で、パソコン作成が推奨される最大の理由が、こうしたトラブルへの対応力です。

汚れてしまった紙は破棄し、保存してある**データを再度、新しい綺麗な紙に「印刷し直す」**だけで解決します。

4. 履歴書を「汚さない」ための予防策が何より重要

トラブルが起きた時の対処法も大切ですが、それ以上に「汚さない」ための予防策を講じておくことが、社会人としての危機管理です。

• 飲食しながらの作業は厳禁履歴書を作成する、あるいは封筒に入れる作業は、飲み物や食べ物が一切ない、清潔な机の上で行いましょう。
• 「クリアファイル」への封入は必須これは、雨対策だけでなく、カバンの中で書類が折れたり汚れたりするのを防ぐための基本マナーです。履歴書や職務経歴書は、完成したらすぐに**「無色透明の新品のクリアファイル」**に入れましょう。
• 「封筒」に入れて持ち運ぶ面接に持参（手渡し）する場合でも、クリアファイルに入れた書類は、さらに**「封筒（A4が折らずに入る白封筒）」**に入れて持ち運びます。この封筒が、雨や汚れから書類を守る「第二の盾」となります。
• 天候が悪い日の「＋α」の備え雨や雪の予報の日は、封筒ごとビニール袋に入れるなど、さらなる防水対策を講じると万全です。

5. 結論。「書類の扱い」は「仕事の丁寧さ」そのもの

履歴書の「汚れ」は、単なる不運なアクシデントではありません。採用担当者にとっては、あなたの「仕事の質」を判断する材料の一つです。

「少しだから大丈夫だろう」と楽観視し、汚れたまま提出してしまうか、「完璧な状態で提出すべきだ」と判断し、手間をかけて作り直すか。

その小さな判断の一つひとつが、あなたの「仕事に対する姿勢」として、採用担当者に伝わっています。完璧な状態の書類を準備することが、書類選考を通過するための第一歩です。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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