履歴書の「打ち込み」。パソコン作成の基本と利点

転職活動において、応募書類の準備は最初の重要なステップです。かつては手書きが主流だった履歴書も、現在ではパソコンで作成し、「打ち込み」によって仕上げることが一般的になりました。この「打ち込み」、すなわちパソコンでの履歴書作成は、単に文字を入力する作業ではなく、ご自身の経歴を読みやすく、かつ正確に伝えるための技術でもあります。ここでは、履歴書をパソコンで打ち込む際の基本的な考え方、利点、そして注意点について解説いたします。

履歴書の「打ち込み」（パソコン作成）は主流か

まず、履歴書をパソコンで作成し、文字を打ち込むこと自体が選考で不利になるのではないかと心配されるかもしれませんが、その必要はほとんどありません。現代のビジネスシーンにおいて、多くの企業ではパソコンで作成された履歴書を標準として受け入れています。手書きの文字には人柄が表れるという側面もありますが、採用担当者にとっては、誰が読んでも判読しやすい、整ったレイアウトの履歴書の方が、内容を迅速かつ正確に把握できるという利点があります。むしろ、読みやすさへの配慮や、基本的なPCスキル（文字入力）の証明として、好意的に受け取られることの方が多いでしょう。

履歴書を打ち込むための主なツール

履歴書をパソコンで打ち込む際、主に使われるソフトウェアやツールにはいくつかの選択肢があります。Word（ワード）のような文書作成ソフト、Excel（エクセル）のような表計算ソフト、あるいはインターネット上にある履歴書作成支援サービスなどです。Wordは文章のレイアウトがしやすく、Excelはマス目が決まっているため入力しやすいという特徴があります。Webのサービスは、フォーマットに従って入力するだけで完成するため手軽です。どのツールを使っても構いませんが、最終的に採用担当者が読みやすい形で出力できることが重要です。

パソコンで打ち込むことの具体的な利点

履歴書をパソコンで打ち込むことには、多くの利点があります。第一に、前述の通り「読みやすさ」です。誰にとっても判読が容易であることは、書類選考における大前提です。第二に、「効率性」が挙げられます。手書きの場合、一箇所でも書き損じると最初からすべて書き直す必要がありますが、パソコンであれば修正は瞬時に完了します。また、一度作成した基本情報を保存しておけば、応募先企業ごとに志望動機や自己PRの部分だけを打ち込み直すことで、複数の応募書類を効率的に準備できます。

打ち込みの際に最も注意すべきこと

パソコンでの作成は便利な反面、手書き以上に注意しなければならない点があります。それは「誤字脱字」です。整ったフォントで印刷された書類では、誤字脱字は手書きの場合よりもかえって目立ちやすく、応募者の注意不足や確認漏れといったマイナスの印象を強く与えてしまいます。打ち込みが完了したら、必ずスペルチェック機能や校正ツールを利用し、最後はご自身の目で何度も読み返すことが不可欠です。

フォントや文字サイズへの配慮

履歴書を打ち込む際は、使用するフォント（書体）や文字の大きさにも配慮が必要です。奇抜なフォントや装飾的なフォントは、ビジネス文書である履歴書にはふさわしくありません。「明朝体」や「ゴシック体」といった、標準的で読みやすいフォントを選びましょう。文字サイズも、小さすぎて読みにくい、あるいは大きすぎて間延びして見えるといったことがないよう、全体のバランスを見て適切な大きさに調整することが求められます。

提出時のファイル形式

作成した履歴書をデータとしてWeb提出（メール添付やフォームからのアップロード）する場合、そのファイル形式は非常に重要です。WordやExcelのまま提出すると、受け取った相手の環境によってはレイアウトが崩れてしまう可能性があります。特別な指示がない限り、作成した履歴書は必ず「PDF形式」に変換してから提出してください。PDFは、作成時の見た目をそのまま相手に伝えることができる、ビジネス文書の標準的な形式です。

手書きが指定された場合の対応

パソコン作成が主流とはいえ、企業によっては（特に伝統的な業界や、特定の職種で）「手書きの履歴書」を指定してくる場合もあります。募集要項にそのように明記されている場合は、必ずその指示に従ってください。この場合、企業側は文字の丁寧さなどから、応募者の人柄や誠実さを見ている可能性があります。

まとめ。丁寧な「打ち込み」が伝わる

履歴書の「打ち込み」は、単なる文字入力作業ではありません。採用担当者という読み手を意識し、いかに正確な情報を、いかに読みやすく、丁寧な形式で伝えられるかを試されるプロセスです。誤字脱字のない正確な内容、読みやすいレイアウト、そして適切なファイル形式といった細部への配慮が、ご自身の真剣さやビジネスマナーへの理解度を静かに伝えてくれるのです。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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