履歴書の「テンプレート」。転職活動での賢い選び方と正しい使い方
履歴書作成とテンプレートの活用
転職活動を始める際、まず必要になるのが履歴書です。現在は、手書きよりもパソコン(PC)で作成する方が一般的となり、その際に非常に便利なのが「履歴書テンプレート(雛形)」です。
履歴書テンプレートとは、履歴書のフォーマット(形式)があらかじめ作成されているファイル(Word, Excel, PDFなど)のことです。これを利用することで、一から枠線(セル)を作る手間なく、効率的に応募書類の作成を進めることができます。
転職活動でテンプレートを使っても不利にならないか?
「テンプレートを使った履歴書は、手抜きだと思われないか」「選考で不利にならないか」と不安に思う方がいるかもしれませんが、その心配は一切ありません。
採用担当者が重視しているのは、履歴書のフォーマットがJIS規格か、特定のサイトのものかといった「出所」ではなく、そこに記載されている「内容」です。
むしろ、パソコン作成で体裁が整ったテンプレートを使用することは、「基本的なPCスキル(文書作成能力)がある」「読み手への配慮ができる」という、ビジネスパーソンとしての評価にも繋がります。大切なのは、どのテンプレートを使うかよりも、「何を書くか」です。
履歴書テンプレートの入手方法と形式
履歴書テンプレートは、インターネット上で、その多くが無料で提供されています。
- 入手先:転職サイト(タウンワークなど)、ハローワーク、厚生労働省のウェブサイト、WordやGoogleドキュメントに標準搭載されているものなど。
- 形式:
- Word(ワード):文章の入力・編集がしやすく、志望動機などの長文作成に向いています。
- Excel(エクセル):セルごとに入力・管理がしやすいのが特徴です。
- PDF:手書きで作成する場合に、印刷して使用します。
【重要】履歴書テンプレートの選び方
どのテンプレートを使っても問題はありませんが、転職活動(中途採用)において、より適切とされる「選び方の基準」があります。
A4サイズかB5サイズか
履歴書には「A4」と「B5」の2種類のサイズが一般的です。
かつてはB5が主流でしたが、現代のビジネス文書の標準は「A4」です。転職活動では、履歴書とセットで「職務経歴書」を提出しますが、この職務経歴書はA4で作成するのが基本です。
応募書類全てのサイズを「A4」で統一することで、採用担当者が管理しやすくなるため、転職活動ではA4サイズのテンプレートを選ぶことを強く推奨します。
様式(フォーマット)の選び方
JIS規格(日本産業規格)が有名でしたが、この規格は2020年に廃止されています。現在は、厚生労働省が「公正な採用選考」の観点から推奨する様式(性別欄が任意、通勤時間や扶養家族欄がないなど)も普及しています。
選ぶべきは「規格」ではなく、「ご自身の経歴をアピールしやすい項目が揃っているか」です。転職者(中途採用)向けに、「自己PR」欄や「志望動機」欄が広く設けられているテンプレートを選ぶと、ご自身の強みをより具体的に伝えられます。
テンプレート使用時の最大の注意点
履歴書テンプレートは非常に便利ですが、その使い方を間違えると、かえって評価を下げる原因となります。
志望動機や自己PRは「使い回し」しない
これが最大の注意点です。テンプレートを使って基本情報(氏名、学歴、職歴、資格など)を「流用」するのは、効率化のために問題ありません。
しかし、複数の企業に同じ「志望動機」や「自己PR」をそのまま「使い回し」することは、絶対にしてはいけません。
例文の丸写しは厳禁
テンプレートに付属している「例文」をそのままコピー&ペーストするのも同様です。採用担当者は日々多くの履歴書を見ており、「どこかで見たような使い回しの文章だ」とすぐに見抜かれます。その瞬間に、あなたの入社意欲は低いと判断されます。
テンプレートは「型」として利用し、「中身」は必ず、応募先企業一社一社の研究に基づいた、ご自身の言葉で作成してください。
提出は必ず「PDF形式」で行う
テンプレートがWordやExcelであっても、作成した履歴書をそのまま(.docx や .xlsx)メール添付などで送付するのはマナー違反です。
相手の閲覧環境(OSやソフトのバージョン違い)によって、レイアウトが崩れたり、文字化けしたりするリスクがあります。また、簡単に編集できてしまう点も問題です。
必ず、**「PDF形式」に変換(エクスポート)**してから提出してください。PDFは、環境に関わらず作成時のレイアウトのまま表示され、編集も困難なため、応募書類の提出形式として最適です。
ファイル名にも配慮する
提出するPDFのファイル名も、「履歴書.pdf」や「名称未設定.pdf」では不親切です。
「履歴書(氏名)_20251106.pdf」「履歴書_山田太郎.pdf」
このように、「何の書類か」「誰の書類か」が一目で分かるファイル名に設定することが、社会人としての配慮です。
結論。テンプレートは「器」。中身の充実に時間をかけよう
履歴書のテンプレートは、あくまで書類作成の「時間」を短縮し、「体裁」を整えるための便利な道具(ツール)です。採用担当者の心を動かすのは、整った「器」ではなく、その中に込められた、あなた自身の「経験」と「熱意」という「中身」です。
テンプレートを賢く活用し、それによって生み出された貴重な時間を、企業研究やご自身のキャリアの棚卸しといった、「中身」を充実させるために使いましょう。





