履歴書の送付状、例文から学ぶ正しい書き方。丸写しは危険?
履歴書の送付状(添え状)とは?
履歴書や職務経歴書を郵送する際、応募書類の一番上に添える「挨拶状」が「送付状(そうふじょう)」、または「添え状(そえじょう)」です。これは、採用担当者が封筒を開けて最初に目にする書類であり、あなたの第一印象を決める「顔」の役割を果たします。
応募書類を郵送する場合には、この送付状を同封するのが社会人としてのビジネスマナーです。ただし、応募書類をメールで送付する(メール本文が送付状の役割を果たします)場合や、面接会場で直接手渡しする場合(挨拶と同時に渡すため)は、送付状は不要です。
送付状は、履歴書や職務経歴書に合わせて「A4サイズ1枚」に、パソコン(Wordなど)で作成するのが一般的です。
「例文」の丸写しが危険な理由
送付状の書き方に悩んだ際、「履歴書 送付状 例文」と検索し、見本を探す方は多いと思います。しかし、インターネット上にある例文をそのまま、あるいは少し変えただけで使用することには、大きな危険が伴います。
採用担当者は、日々多くの応募書類を見ています。そのため、「どこかで見たような」例文をそのまま使った送付状は、すぐに見抜かれてしまいます。その結果、「熱意が低い」「手間を惜しんでいる」と判断され、肝心の履歴書や職務経歴書を読んでもらう前に、マイナスの印象を与えてしまうリスクもあります。
例文は、あくまで「書き方の型(構成)」を学ぶための参考資料であり、ご自身の言葉で作成することが重要です。
例文から学ぶ送付状の基本構成(A4・1枚)
採用担当者に丁寧な印象を与え、内容を正確に伝えるための送付状は、決まった構成(型)があります。この「型」こそが、例文から学ぶべき点です。
① 日付・宛名・差出人
まず、書類の右上(右寄せ)に、投函する日付を記載します(例:2025年11月6日)。
次に、左上(左寄せ)に、応募先の宛名を記載します。会社名は「(株)」などと略さず、「株式会社〇〇」と正式名称で書きます。部署名まで分かっていれば「人事部 御中」、担当者名まで分かっていれば「人事部 〇〇様」とします。担当者名が不明な場合は「採用ご担当者様」とするのが一般的です。
最後に、日付の下、右側(右寄せ)に、ご自身の郵便番号、住所、電話番号、氏名を記載します。
② 件名・本文(頭語・挨拶)
中央に「応募書類の送付について」といった件名を記載すると、何の書類かが一目で分かり親切です。
本文の書き出しは「拝啓」という頭語から始めます。時候の挨拶(季節の挨拶)は省略しても問題ありません。「貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」といった、ビジネス文書としての簡潔な挨拶を続けます。
③ 応募の経緯と自己PR(簡潔に)
ここが、例文を丸写ししてはいけない最も重要な部分です。
まず、「〇〇(求人媒体名)にて貴社の〇〇職の募集を拝見し、応募いたしました。」といった形で、応募の経緯を明確にします。
続けて、ご自身の経験やスキルが、応募先でどのように活かせるのかを「一文程度」で簡潔にアピールします。履歴書や職務経歴書への「導入」として、採用担当者の興味を引くための大切な部分です。
④ 結びの挨拶・結語
本文の最後は、書類選考と面接の機会を依頼する言葉で締めくくります。
「ご多忙のところ恐縮ではありますが、応募書類をご査収の上、ぜひ面接の機会をいただけますと幸いです。」といった内容が一般的です。
最後に「何卒よろしくお願い申し上げます。」と結びの挨拶を入れ、行の右下に「敬具」と記載します。
⑤ 同封書類(記書き)
結びの挨拶(敬具)の後、一行空けて中央に「記」と記載します。
その下に、同封した書類の内容と部数を箇条書きで記載します(例:「履歴書 1通」「職務経歴書 1通」など)。
そして、すべての書類を書き終えたら、行の右下に「以上」と記載して締めくくります。
送付状の例文を活用する際の心構え
送付状の「例文」は、あくまでビジネス文書としての「型(テンプレート)」を学ぶためのものです。特に「③ 応募の経緯と自己PR」の部分は、ご自身の経験と応募先企業の研究に基づいた、あなた自身の言葉でなくてはなりません。
丁寧な「型」と、ご自身の「熱意」が組み合わさって、初めて採用担当者の心に響く送付状が完成します。





