履歴書の「正社員」経験。基本的な書き方とアピール術

転職活動における「正社員」経歴の記載

転職活動で使用する履歴書において、「職歴」欄はあなたのキャリアと実務能力を伝える上で最も重要な項目の一つです。特に「正社員」としての勤務経験は、あなたのキャリアの根幹をなす情報となります。採用担当者にこれまでの経歴を正確かつ誠実に伝えるため、その正しい書き方を理解しておくことは非常に大切です。

正社員の職歴。基本的な記載方法

履歴書の職歴欄は、学歴欄の後に一行空け、中央に「職歴」と見出しを書いてからスタートします。正社員としての勤務経験は、以下の形式で時系列に沿って記載するのが基本です。

1. 入社：入社した年月と、会社名を正式名称で記載します。「（株）」などと略さず、「株式会社〇〇」と書きます。その次の行に「入社」と記します。
2. 退社：退職した年月と、退職理由を記載します。自己都合の場合は「一身上の都合により退社」、会社都合の場合は「会社都合により退社」と書くのが一般的です。

例：

〇〇年〇月　株式会社〇〇 入社

〇〇年〇月　一身上の都合により退社

あえて「正社員」と書く必要はあるか

ここで多くの方が迷うのが、「『正社員として』と明記する必要があるか」という点です。

結論から言うと、あえて「正社員」と記載する必要は、原則としてありません。

日本の採用慣行において、履歴書の職歴欄に雇用形態（例：契約社員、アルバイトなど）に関する特別な記載がなければ、採用担当者はその経歴を「正社員」として解釈するのが一般的です。上記の例のように、入社・退社のみを記載すれば、それが正社員としての経歴であると伝わります。

契約社員など、他の雇用形態と区別する場合

もし、あなたの職歴の中に「正社員」の期間と、「契約社員」や「アルバイト」の期間が混在している場合は、雇用形態を明記するのが親切です。この場合、正社員の経歴は何も書かず、契約社員などの経歴の方に「（契約社員として入社）」と書き加えることで、正社員の経歴との対比が明確になります。

例：

〇〇年〇月　株式会社〇〇 入社

〇〇年〇月　一身上の都合により退社

〇〇年〇月　株式会社△△ 入社（契約社員として）

〇〇年〇月　契約期間満了により退社

在職中（正社員）の場合の書き方

現在も正社員として勤務している（在職中である）場合は、退職の記載はせず、最後の職歴に「現在に至る」と記載します。

例：

〇〇年〇月　株式会社〇〇 入社

現在に至る

そして、職歴全体の最後の行の右端に「以上」と記載して締めくくります。

正社員登用された場合の書き方（重要アピール）

もし、契約社員やアルバイトとして入社した後、勤務実績が評価されて正社員に登用された経験がある場合は、その事実を必ず職歴欄に記載してください。これは、あなたの能力や勤務態度が社内で高く評価されたことを示す、非常に強力なアピールポイントとなります。

例：

〇〇年〇月　株式会社〇〇 入社（契約社員として）

〇〇年〇月　正社員登用（〇〇部へ配属）

現在に至る

結論。正社員の経歴は簡潔かつ正確に

履歴書において、正社員の経歴はあえて「正社員」と強調する必要はなく、入社・退社（あるいは「現在に至る」）を簡潔に記載すれば十分です。ただし、他の雇用形態が混在する場合や、正社員登用といった特筆すべきステップアップがあった場合は、その事実を明確に記載することで、あなたのキャリアをより正確に、かつ魅力的に採用担当者へ伝えることができます。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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