履歴書の「パート」志望動機。採用担当者(店長)に響く書き方と例文
パートの履歴書。「志望動機」がなぜ重要か
パート・アルバイトの応募で履歴書を作成する際、最も悩むのが「志望動機」欄かもしれません。「家が近いから」「時給が良いから」「シフトが合うから」というのが本音(ほんね)であることも多いでしょう。
しかし、採用担当者(主に店長やオーナー)は、志望動機から**「この人は、すぐに辞めずに、真面目に働いてくれるか?」**という「継続性」と「人柄(まじめさ)」を厳しくチェックしています。
「家が近い」という事実は、「長く続けてくれそう」という最強のアピールポイントですが、それ「だけ」を理由に書くのはNGです。
ここでは、採用担当者に「この人を採用したい」と思わせる、パート応募の志望動機の正しい書き方を、例文付きで詳しく解説します。
1. 絶対NG! パート応募で避けるべき「志望動機」
採用担当者は、日々多くの履歴書を見ています。以下のような志望動機は、「働く意欲が低い」「誰でも良いのでは」と判断され、マイナスの印象を与えてしまいます。
- NG例1:「家が近い」だけ「自宅から近いため、通勤しやすいと思いました。」(→ 理由としては分かりますが、それだけでは「仕事への意欲」が一切伝わりません)
- NG例2:「時給・条件」だけ「時給が〇〇円と、条件が良かったため応募しました。」(→ 「もっと時給が良いところが見つかったら、すぐに辞めるのでは?」と不安にさせます)
- NG例3:「シフトが合う」だけ「子どもが保育園に行っている、平日の9時〜14時で働けるため志望しました。」(→ 応募者側の「都合」だけを伝えており、「なぜ、ウチの店で?」への答えになっていません)
2. 採用担当者に響く「志望動機」の“型”(組み立て方)
「本音(家が近い、など)」を、「熱意」や「強み」に変える「書き方の型」があります。
それは、**「① きっかけ(本音の理由)」+「② ポジティブな理由(強み・意欲)」**の2つの要素を組み合わせることです。
- ① きっかけ(本音)「自宅から近いため、」「以前から貴店(商品)を利用しており、」「〇〇(職種)に興味があり、」
- ② ポジティブな理由(強み・意欲)「(だから)長く貢献できると考えています。」「(だから)私も〇〇のように、明るい接客で貢献したいと思いました。」「(だから)前職(または主婦経験)の〇〇の経験が活かせると考えました。」
3. 【例文】「本音の理由」別。パート志望動機の書き方
ご自身の「本音」に合わせて、「+α」の理由を付け加える例文を紹介します。
例文1:「家が近い」が理由の場合(最も推奨)
(※「家が近い」=「交通費がかからない」「急なシフト変更にも対応できるかも」「長く続けてくれそう」と、採用側にもメリットが大きいため、最強の志望動機になります)
【書き方(例文)】
「自宅から近く、以前から貴店(〇〇店)を利用しておりました。
いつもスタッフの方がテキパキと、かつ笑顔で接客されているのが印象的で、私も地域のお客様が快適に過ごせるお店作りの一員として働きたいと思い、志望いたしました。
自宅から近いため、長期的に勤務することで貢献したいと考えております。」
例文2:「シフト(時間帯)が合う」が理由の場合
(※主婦(主夫)の方など。応募者側の「都合」だけでなく、「貢献」の意思を加えます)
【書き方(例文)】
「現在、子どもを保育園に預けており、〇時~〇時までの勤務が可能です。
貴店の募集時間(〇時~〇時)であれば、私の強みである『〇〇(例:前職の接客経験、家事で培った段取り力など)』を活かし、即戦力として貢献できると考え、志望いたしました。」
例文3:「仕事内容(職種)への興味」が理由の場合
(※事務パート、調理補助、アパレル販売など)
【書き方(例文)】
「前職(または学生時代)に〇〇(例:飲食店)でのアルバイト経験があり、お客様に喜んでいただくことにやりがいを感じておりました。
貴店(貴社)の〇〇(例:こだわりの調理法、丁寧な接客)という点に魅力を感じ、私の経験を活かして即戦力として貢献できると考え、志望いたしました。」
例文4:「未経験」だが、やる気をアピールしたい場合
(※コンビニ、飲食店、軽作業など、未経験OKの求人の場合)
【書き方(例文)】
「〇〇(応募職種)は未経験ですが、人と接することが好きで、地域の方々の役に立つ仕事がしたいと考え、志望しました。
(※もし近ければ)自宅からも近く、長期的に勤務が可能です。
一日も早く業務を覚え、貴店の戦力となれるよう、真面目に(誠実に)取り組む所存です。」
4. 履歴書と「職務経歴書」。自己PRの役割分担
転職(中途採用)の応募者が、履歴書の自己PR欄で悩むもう一つの理由が、「職務経歴書」との書き分けです。この「役割分担」を理解することが、書類選考を通過する鍵となります。
- 履歴書の「自己PR」欄→ スペースが限られています。ここには、あなたの強みの**「見出し」であり「要約(結論)」**を記載します。(目安:200〜300文字程度)
- 職務経歴書(しょくむけいれきしょ)→ こちらが「本番」です。履歴書で示した「強み(結論)」が、いかに本物であるかを**「具体的なエピソード」や「実績(数字)」**で裏付けし、詳細にアピールします。
履歴書の自己PRは、採用担当者に「お、この人の経験をもっと詳しく知りたい」と思わせ、職務経歴書へと誘導する**「フック(掴み)」**の役割を担っているのです。
5. 採用担当者に響く「自己PR」の構成(3ステップ)
履歴書の限られたスペースで、あなたの強みを論理的に伝えるには、以下の3つの要素で構成するのが鉄則です。
- 【結論】あなたの「強み」「私の強みは〇〇です。」と、アピールしたい「強み(ビジネススキル)」を断定的に述べます。
- 【根拠】強みを裏付ける「簡潔なエピソード(実績)」その強みが、前職(現職)で「どのように発揮されたか」を、簡潔なエピソード(可能であれば数字)で示します。
- 【貢献】入社後の「活かし方」その強みを、応募先企業で「どう活かして貢献できるか」という未来への意欲で締めくくります。
6. 履歴書「自己PR」欄の書き方(例文)
上記の3ステップ構成に基づいた、具体的な「例文」を紹介します。
例文1:(営業職・企画職 応募)「課題解決力」をアピール
私の強みは「課題解決力」です。現職の営業活動では、単に商品を売るのではなく、顧客の潜在的な課題をヒアリングすることを徹底しました。その結果、顧客のニーズに即した〇〇(商品・企画)を提案し、担当エリアの売上を前年比120%に引き上げることに貢献しました。この「課題を発見し、解決する力」は、貴社の〇〇業務においても必ず活かせると確信しております。
例文2:(事務職・管理部門 応募)「正確性・効率化」をアピール
私の強みは「業務の正確性」と「効率化への意識」です。前職の営業事務では、月間〇〇件の受発注管理を担当し、ダブルチェックの徹底で3年間ミスゼロを継続しました。また、Excelの関数(VLOOKUPなど)を活用した管理表を独自に作成し、従来の入力作業時間を月間〇時間削減しました。この正確性と改善意識を活かし、貴社の業務をサポートします。
例文3:(未経験職種 応募)「学習意欲・順応性」をアピール
〇〇(応募職種)は未経験ですが、私の強みは「目標達成に向けた学習意欲」です。貴社の業務に活かせると考え、独学で〇〇(資格名、またはプログラミング言語など)の学習を開始し、〇ヶ月で〇〇(資格取得、ポートフォリオ作成など)を達成しました。前職で培った〇〇(ポータブルスキル)と、この学習意欲を活かし、一日も早く貴社の戦力として貢献します。
7. 「自己PR」に書くことがない、と悩む場合
「役職もなかったし、華々しい実績(数字)もない」という方も、心配する必要はありません。
採用担当者は、「すごい実績」だけを見ているわけではありません。
**「日々の業務で、何を考え、どう工夫して行動したか」**という、「仕事への取り組み姿勢」も、立派な自己PRとなります。
- (例)「後輩の指導(OJT)を担当し、マニュアルを整備した」 → 指導力、伝達能力
- (例)「他部署からの依頼に、常に迅速かつ正確に対応するよう心がけた」 → 協調性、サポート力
- (例)「小さなミスも見逃さないよう、独自のチェックリストを作成した」 → 正確性、几帳面さ
これらの「当たり前」にやってきたことこそが、あなたの「信頼性」を証明する、強力な自己PRの「種」なのです。
8. 結論。自己PRは「貢献できる強み」の“要約”
履歴書の「自己PR」欄は、あなたの自慢話を書く場所ではありません。
それは、**「あなたの強みが、応募先企業でどう役立つか」**を、論理的にアピールする場所です。
- 強み(結論)
- 簡潔なエピソード(根拠)
- 入社後の貢献(未来)
この構成を守り、履歴書にはその「要約」を記載すること。
そして、その「詳細」を職務経歴書で展開する。
この「役割分担」こそが、採用担当者の「会ってみたい」という気持ちを引き出す、書類選考通過の鍵となります。





