履歴書の「抜け字（脱字）」。その一文字が命取りになる理由と正しい対処法

履歴書の「抜け字（脱字）」が与える致命的な印象

転職活動で使用する履歴書は、あなたの経歴やスキルを伝えるための「公的な応募書類」です。どれほど素晴らしい内容が書かれていても、そこにたった一文字の「抜け字（脱字）」があるだけで、あなたの評価は大きく下がってしまう可能性があります。

採用担当者は、日々多くの応募書類に目を通しています。その中で「抜け字」のある履歴書は、非常に目立ちます。

「たった一文字くらい」という油断が、書類選考の通過を妨げる大きな原因となるのです。

なぜ「抜け字（脱字）」が選考に不利になるのか

採用担当者が「抜け字」のある履歴書を見た場合、その書類（ひいては応募者本人）に対して、以下のようなネガティブな印象を抱きます。

• 「注意力が不足している」履歴書という重要な書類でミスを犯すということは、「入社後の実際の業務でも、重要な確認を怠り、ミスをするのではないか」という不安に直結します。
• 「仕事が雑である」書類作成の最終確認（見直し）を怠ったと判断され、仕事全般に対する姿勢が雑であると評価されます。
• 「入社意欲（志望度）が低い」「自社への応募はこの程度の準備なのか」と、熱意が低いと見なされる可能性があります。

「抜け字」を発見した場合の対処法

では、もし履歴書に「抜け字」を発見した場合、どう対処するのが正解でしょうか。これは、発見した「タイミング」によって異なります。

1. 提出前（作成中・印刷後）に発見した場合

これが最も幸運なケースです。

この場合の正しい対処法は、ただ一つです。

「新しい用紙に、最初からすべて書き直す（または、データを修正して印刷し直す）」

どれだけ作成が進んでいたとしても、その履歴書は破棄し、完璧な状態のものを一から準備し直す必要があります。

2. 郵送・提出した「後」に発見した場合

すでに相手の手元に渡ってしまった（または配送中）の場合は、対処が難しくなります。

「抜け字」が、応募者の氏名や連絡先、あるいは応募先企業名といった「致命的な間違い」でない限りは、連絡せずに静観するのが一般的です。

わざわざ「一文字抜けていました」と連絡を入れることで、かえってそのミスを強調してしまうことになるからです。

面接の機会が得られた際に、もしその話題が出たら謝罪する、という心構えでいましょう。

絶対にNG！ 「抜け字の書き足し」という対処法

手書きの履歴書で「抜け字」を発見した際、やってはいけないのが、行間や文字の横に、**小さな文字で「書き足す」**行為です。

これは、一見すると「訂正」しているように見えますが、採用担当者から見れば、「修正液」や「二重線」による訂正、あるいは「塗りつぶし」と同様に、最もマナー違反な行為の一つです。

「抜け字の書き足し」は、書類全体のレイアウトバランスを著しく崩し、非常に読みにくく、見苦しいものにします。

「書き直す手間を惜しんだ」「その場しのぎでごまかした」という印象しか与えず、あなたの評価を確実に下げることになります。

履歴書の「抜け字（脱字）」を防ぐための具体的な方法

「抜け字」は、本人が気づかないうちにしがちなミスです。以下の方法で、提出前に徹底的にチェックしましょう。

• 声に出して「音読」する黙読（目で追うだけ）では、勢いで読み飛ばしてしまい、抜け字に気づかないことが多いです。一文字ずつ「音読」することで、文章としてのおかしさや、抜けている文字に気づきやすくなります。
• 一晩（または数時間）寝かせてから見直す作成直後は、脳が「書いた内容」を記憶しており、間違いに気づきにくい状態です。時間をおいて、新鮮な目でチェックすることで、ミスを発見しやすくなります。
• パソコン（PC）で作成し、校正ツールを使う現代の転職活動では、パソコンでの履歴書作成が主流です。Wordなどのソフトには「スペルチェック・校正機能」が搭載されており、単純な抜け字や誤字を機械的にチェックしてくれます。
• 第三者（家族や友人）に見てもらうご自身の目では見つけられないミスも、他人の目なら簡単に見つかることがあります。可能であれば、他の人にも読んでもらいましょう。

結論。「抜け字」のない完璧な書類が、信頼の第一歩

履歴書は、あなたの「仕事の丁寧さ」を証明する最初の作品です。

「抜け字」や「誤字脱字」といった、注意すれば防げるはずのミスをなくすこと。

その「当たり前」をきちんと実行できる姿勢こそが、採用担当者に「この人は信頼できるビジネスパーソンだ」という最初の安心感を与える鍵となります。

もし書き間違えたり、抜け字を発見したりした場合は、手間を惜しまず、必ず「完璧な状態」に作り直してから提出しましょう。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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