履歴書の「飲み屋」経験の書き方。職歴欄で不利にならない伝え方
転職活動で履歴書を作成する際、過去の「飲み屋」での勤務経験(居酒屋、バー、スナック、ラウンジなど)をどう書けばよいか、悩む方は少なくありません。「職歴として書いても良いのか」「一般企業への応募で、不利にならないか」といった不安は当然です。
しかし、その経験を記載しないことで履歴書に「空白期間(ブランク)」が生まれてしまうと、それはそれで採用担当者に「この期間、何をしていたのだろうか」という別の懸念を与えてしまいます。
結論から言うと、「飲み屋」の経験も、書き方次第で立派な「職歴」としてアピールすることが可能です。
ここでは、採用担当者にマイナスの印象を与えず、あなたの「強み」として伝えるための正しい書き方を解説します。
1. 職歴として「書くべき」か「隠すべき」か
まず、その経験が**雇用契約(アルバイト・正社員など)に基づいた「労働」**である以上、それは「職歴」です。
空白期間(ブランク)を作るより、書く方が良い
採用担当者が最も気にするのは、「説明のつかない空白期間」です。例えば、1年間「飲み屋」で働いていた事実を隠して職歴を空欄にすると、その1年間は「何もしていなかった」と見なされます。それよりは、「接客業に従事していた」と誠実に記載する方が、遥かにポジティブです。
経歴詐称のリスクを避ける
もし、正社員や長期のアルバイトとして雇用保険などに加入していた場合、その履歴は入社手続きなどで発覚する可能性があります。意図的に職歴を隠すことは「経歴詐称(けいれきさしょう)」を疑われるリスクもあり、絶対に避けるべきです。
2. 【最重要】「飲み屋」という言葉を使わない「職名」のルール
履歴書は公的な応募書類です。「飲み屋」といったカジュアルな俗語は、ビジネスマナーとしてふさわしくありません。必ず、「業種」や「職種」が伝わる、フォーマルな言葉に置き換える必要があります。
また、応募先の企業がどのような社風か分からない以上、あえて「スナック」「ラウンジ」といった、「水商売」を強く連想させる言葉を積極的に使うのは、リスク管理の面でお勧めできません。
3. ケース別:「飲み屋」経験の具体的な書き方
運営形態(居酒屋か、スナックか)や、雇用形態(アルバイトか)によって、書き方は異なります。
ケース1:居酒屋、ダイニングバー、レストランバーの場合
これは最も書きやすいケースです。一般的な「飲食店」の職歴として、堂々と記載しましょう。
- 会社名:「(株)」などと略さず、運営会社の「正式名称」を書きます。(例:株式会社〇〇)
- 職種:「ホールスタッフ」「接客・調理」など、事実を記載します。
- 雇用形態:必ず明記します。(例:アルバイトとして入社)
【書き方 例(居酒屋・アルバイト)】
2023年 4月 株式会社〇〇(店舗名:居酒屋△△) 入社(アルバイトとして)
ホールスタッフとして、接客、配膳、レジ業務、新人スタッフの指導を担当
2025年 3月 一身上の都合により退社
ケース2:スナック、ラウンジ、ガールズバーの場合
これが、多くの方が悩むケースです。ポイントは、**「事実を、客観的かつ中立的な言葉で記載する」**ことです。
- 会社名:
- 運営会社が「株式会社」や「有限会社」であれば、その正式名称を書きます。(例:株式会社〇〇)
- 個人経営のお店の場合は、**「店名」**を記載します。(例:ラウンジ〇〇)
- 職種(これが最重要):「ホステス」といった言葉は使わず、業務内容が伝わる中立的な言葉に置き換えます。
- 推奨される職名:「フロアスタッフ」「接客業務」「接客・応対業務」
- 雇用形態:「アルバイト」または「業務委託」など、実態に合わせて記載します。
【書き方 例(スナック・ラウンジ)】
2023年 5月 ラウンジ〇〇 入職(アルバイトとして)
フロアスタッフとして、お客様の応対、ドリンク提供、会計業務に従事
2025年 2月 一身上の都合により退職
(※「入社/退社」ではなく「入職/退職」を使うのも、会社組織でない場合に使える丁寧な表現です)
4. 「強み」に変換するアピール術(自己PR欄)
「飲み屋」での経験は、職歴欄に事実を書くだけでなく、「自己PR」欄で「ビジネススキル」に翻訳してアピールすることが非常に重要です。
「飲み屋」経験から得られる「強み」一覧
- 高いコミュニケーション能力→ 多様な顧客と円滑な関係を築ける
- 傾聴力(けいちょうりょく)→ 相手のニーズを正確に引き出し、理解する力
- 顧客管理能力(リピート率向上)→ 顧客の顔、名前、会話内容、好みを記憶し、再来店に繋げる力(CRMの基礎)
- 営業力・提案力→ 顧客の好みに合わせて、ドリンクやフードを推薦(アップセル)した経験
- ストレス耐性・柔軟な対応力→ 予期せぬトラブルや、難しい要求にも冷静に対応できる
自己PR欄での書き方(例文)
「前職では約2年間、接客業に従事し、特にお客様との信頼関係構築に力を入れてきました。お客様一人ひとりの好みや、以前お話しした会話の内容を記憶し、心地よい空間を提供することを心がけた結果、多くのお客様からご指名をいただき、店舗のリピート率向上に貢献しました。この『相手のニーズを先読みする傾聴力』と『関係構築力』は、貴社の営業職においても、顧客との長期的な関係構築に必ず活かせると確信しております。」
5. 結論。隠すより「強み」として「翻訳」しよう
採用担当者が懸念するのは、「飲み屋」という言葉の「イメージ」だけです。
しかし、その実態が「高い対人スキル」や「売上への貢献意欲」であるならば、それはどんな業界でも通用する立派な「ビジネススキル」です。
履歴書に「空白期間」を作ってしまうことは、それ自体が大きなマイナス評価に繋がります。
「飲み屋」での経験を隠すのではなく、**「接客業のプロフェッショナルな経験」**として、ご自身の言葉で「翻訳」し、強みとしてアピールしましょう。





