履歴書の「名前だけ手書き」はアリ? パソコン作成時の正しいマナー
履歴書作成と「名前だけ手書き」という疑問
現代の転職活動において、履歴書はパソコン(PC)で作成するのが一般的です。その方が効率的で読みやすく、PCスキルも示せるため、企業側からも好まれる傾向にあります。
しかし、その一方で、「全てパソコン作成だと、熱意が伝わらないのではないか」「せめて名前(署名)だけでも手書きにした方が良いのでは?」という疑問を持つ方も少なくありません。
この「履歴書はパソコン作成で、名前だけ手書きにする」という方法。果たしてビジネスマナーとして適切なのか、採用担当者はどう見るのか、そのメリットとリスクについて解説します。
「名前だけ手書き」とは、具体的にどういう状態か
「名前だけ手書き」とは、一般的に、履歴書のテンプレート(WordやExcel)で氏名欄以外の全ての項目を入力し、氏名欄だけを空欄にして印刷します。そして、その印刷した紙の氏名欄に、ご自身の名前を手書きで署名する、という方法を指します。
パソコン作成の「効率性」と、手書きの「熱意」を両立させようという、一見すると合理的なテクニックのようにも思えます。
採用担当者はどう見る? 「名前だけ手書き」のリスク
結論から言いますと、履歴書をパソコンで作成した場合、「名前だけ手書き」にするという方法は、推奨されません。
その理由は、メリットよりもデメリット(リスク)の方が大きいと考えられるからです。
1. 書類全体に「統一感」がなく、不自然
採用担当者が目にするのは、履歴書全体です。
本文や学歴・職歴がすべて整った「活字(フォント)」で記載されている中で、氏名欄だけが「手書き」になっていると、その部分だけが浮き上がり、非常にアンバランスで不自然な印象を与えてしまいます。
2. かえって「読みにくく」なる可能性がある
パソコン作成の最大のメリットは「読みやすさ」です。しかし、手書きの文字には癖(くせ)があります。最も重要な「名前」という情報が、もし読みにくい文字で書かれていた場合、パソコン作成のメリットを自ら打ち消してしまうことになります。
3. 「中途半端」な印象を与えるリスク
「全て手書き」であれば、作成にかけた時間と熱意が伝わる(と考える採用担当者もいます)。「全てパソコン作成」であれば、読みやすさとPCスキル、効率性が伝わります。
しかし、「名前だけ手書き」という方法は、どちらのメリットも中途半端にしか伝わらず、「なぜ、ここだけ?」という違和感や、「統一性のない仕事の進め方をする人だ」というマイナスの印象を持たれるリスクもゼロではありません。
転職活動(中途採用)での「正解」とは
では、どうするのが正解なのでしょうか。
答えは、「作成方法を統一する」ことです。
- パソコンで作成すると決めた場合→ 氏名欄、ふりがな欄も含め、**全ての項目をパソコンで入力し、そのまま印刷(またはPDF化)**します。これが、現代の転職活動における最も一般的で、合理的かつマナーとしても問題のない方法です。
- 手書きで作成すると決めた場合→ (企業の指定がある場合など)手書きで作成すると決めたなら、全ての項目(日付、学歴、職歴、志常動機など)を手書きで丁寧に作成します。
押印(印鑑)欄がある場合の「署名」は?
氏名欄の横に「印」という押印欄がある履歴書テンプレートの場合、その横に手書きで署名(サイン)する必要があるのでは、と考える方もいます。
しかし、これも不要です。パソコン作成の場合、氏名欄にパソコンで入力(印字)された名前が、「署名」の代わりとなります。
押印欄自体、現在の厚生労働省推奨様式などでは廃止されており、必須ではありません。もし欄がある場合にのみ、朱肉の印鑑を押印します(データ提出の場合は押印も不要です)。
結論。「名前だけ手書き」のリスクは冒さない
履歴書は、奇(き)をてらったり、独自のルールを試したりする場所ではありません。採用担当者に「正確な情報」を「読みやすく」伝えることが最優先です。
「名前だけ手書き」にするというテクニックは、採用担当者に「丁寧だ」と評価される可能性よりも、「不自然だ」「読みにくい」「中途半端だ」と違和感を持たれるリスクの方が高いと言えます。
転職活動の履歴書は、パソコンで作成すると決めたなら、名前も含めて全てパソコンで統一する。これが、最も安全で、誰からもマイナス評価を受けない、確実な「作り方」です。あなたの熱意は、名前の書き方ではなく、「志望動機」や「自己PR」の「内容」そのもので伝えましょう。





