履歴書の「文字数」に正解は? 枠を埋める最適なボリュームとアピールのコツ
転職活動で履歴書を作成する際、特に「志望動機」や「自己PR」の欄で、「いったい何文字くらい書けば良いのだろうか?」と悩む方は少なくありません。「文字数が少なすぎると熱意が低いと思われないか」「逆に、文字数を詰め込みすぎても読みにくいのでは?」といった不安は当然のことです。
採用担当者は、履歴書の文字数そのものを数えているわけではありません。しかし、その「ボリューム(量感)」から、応募者の「熱意」や「読みやすさへの配慮」を無意識のうちに判断しています。
ここでは、採用担当者に好印象を与える履歴書の「最適な文字数(ボリューム)」の目安と、その書き方のルールについて詳しく解説します。
1. 履歴書の「文字数」における大原則
まず結論から言いますと、履歴書の各項目に「〇〇文字以上、〇〇文字以内」といった厳密な文字数制限はありません。
しかし、採用担当者に「熱意」と「配慮」を伝えるための、最適な「ボリューム(埋まり具合)」の目安は存在します。
「枠(欄)の8割〜9割以上」を埋めるのが基本
これが、履歴書作成における最も重要な「ボリュームの目安」です。
- なぜ「8割以上」か志望動機や自己PRの欄がスカスカ(例:5割程度)だと、採用担当者は「志望度が低いのではないか」「自己分析が不足しているのでは」と、あなたの熱意を疑ってしまいます。枠をしっかりと埋めることは、「これだけ伝えたいことがある」という熱意の表れとなります。
- なぜ「10割(ギチギチ)」ではダメか枠内に余白が全くないほど文字を詰め込むと、採用担当者にとっては「読みにくい」書類になってしまいます。適度な余白(行間)は、読みやすさを担保するために必要です。「読み手への配慮」も、ビジネスマナーとして評価されています。
2. パソコン作成の場合、「文字数」より「文字の大きさ(フォントサイズ)」
「文字数」というキーワードは、パソコン(PC)で履歴書を作成する場合に、特に意識されます。
「枠に収まらないから、文字を小さくして詰め込もう」と考える方がいますが、これは最も避けるべきNGな対処法です。
最適な文字の大きさは「10.5pt〜11pt」
履歴書をパソコンで作成する場合、本文(学歴、職歴、志望動機など)の文字の大きさは、**「10.5ポイントから11ポイント」**の範囲で設定するのが、最も一般的で読みやすい「標準」とされています。フォント(書体)は「明朝体」が基本です。
小さすぎる文字は「読まれない」
アピールしたい内容が多いからといって、文字の大きさを9ポイントや8ポイントに設定して、枠内に大量の文字数を詰め込むのは逆効果です。採用担当者は「読みにくい」と感じた瞬間に、その履歴書を読む意欲を失ってしまいます。
それは「熱意」ではなく、「要約能力がない」「自己中心的だ」というマイナスの印象を与えます。
文字の大きさを変えずに、枠の8〜9割に収まるように、伝えるべき内容を「要約」することこそが、転職(中途採用)では求められます。
3. 各項目の「文字数」の目安(PC作成・A4サイズの場合)
「枠の8割」と言われてもピンとこない方のために、一般的な履歴書のフォーマットにおける、おおよTPOな文字数の目安を紹介します。
- 志望動機欄比較的スペースが大きな項目です。目安として**「200文字〜300文字程度」**(8〜9割を埋めるボリューム)で、なぜその企業でなければならないのか、どう貢献できるのかを論理的にまとめます。
- 自己PR欄志望動機欄と同様、目安として**「200文字〜300文字程度」**で、ご自身の強みと、それを裏付ける簡潔なエピソードを記載します。
- 趣味・特技欄「〇〇(単語)」だけで終わらせるのはNGです。「特になし」は論外です。(例:「ランニング(週3回継続しており、体力には自信があります)」)といった形で、補足説明を加えて50文字〜100文字程度で記載し、あなたの人柄や継続力をアピールします。
4. 転職者は「職務経歴書」との役割分担を意識する
「文字数がどうしても多くなって、履歴書に収まらない」
中途採用(転職)の応募者がこの悩みに陥る最大の理由は、履歴書に「職務経歴書」で書くべき内容まで詰め込もうとしているからです。
この二つの書類の「役割分担」を明確に意識しましょう。
- 履歴書あなたの「プロフィール」や「索引(インデックス)」です。志望動機や自己PR欄に書く内容は、アピールの**「結論」や「要約」**です。
- 職務経歴書あなたの「具体的な実績」や「スキル」をアピールする「プレゼンテーション資料」です。履歴書の自己PRで書いた「結論」を裏付ける、**「具体的なエピソード」や「数字(実績)」**は、こちらで詳細に展開します。
履歴書の文字数が多くなりすぎる場合は、「この詳細は、職務経歴書で伝えるべき内容ではないか?」と、一度立ち止まって考えることが重要です。
5. 結論。「文字数」は「熱意」と「読みやすさ」のバランス
履歴書の「文字数」に、絶対の正解はありません。
採用担当者の視点に立ち、「熱意が伝わる十分なボリューム(枠の8割以上)」を確保しつつ、「読みやすい文字の大きさと余白(詰め込みすぎない)」を維持すること。
この2つのバランスこそが、書類選考を通過するために必要な「最適な文字数」の答えとなります。文字数(量)を稼ぐことよりも、その一文一文の「質」を高めることに注力しましょう。





