履歴書の「フォント」選び。転職で好印象を与える文字の基本
履歴書の「フォント」が第一印象を左右する
転職活動(中途採用)において、履歴書をパソコン(PC)で作成するのが主流となった現代、多くの方がその「内容」には細心の注意を払います。しかし、その内容を伝えるための「フォント(書体)」や「文字の大きさ」を、無意識のまま初期設定で済ませてはいないでしょうか。
採用担当者は、日々多くの応募書類に目を通しています。その中で、読みにくいフォントや、小さすぎる文字で作成された履歴書は、「読み手への配慮が足りない」「ビジネスマナーを理解していない」といった、マイナスの印象を与えてしまう可能性があります。
フォント選びは、あなたの「丁寧さ」や「信頼性」を伝える、重要な第一印象の一部なのです。
転職(中途採用)で推奨される「標準フォント」
では、履歴書にはどのようなフォントを選べばよいのでしょうか。結論から言いますと、奇(き)をてらったフォントは不要です。ビジネス文書として最も一般的で、「読みやすい」とされる標準フォントを選ぶのが正解です。
最も推奨されるフォント:「明朝体(みんちょうたい)」
履歴書(および職務経歴書)において、最も推奨されるフォントは「明朝体」です。
(例:MS 明朝、ヒラギノ明朝、游明朝 など)
明朝体は、線の太さに強弱があり、可読性(かどくせい)が高く、フォーマルな印象を与えます。「丁寧さ」や「知的さ」が伝わりやすく、公的な応募書類に最もふさわしい書体とされています。
次点として許容されるフォント:「ゴシック体」
「ゴシック体」も、ビジネス文書で広く使われるフォントです。
(例:MS ゴシック、ヒラギノ角ゴ、游ゴシック など)
ゴシック体は、線の太さが均一で、力強くはっきりとした印象を与えます。Web上のエントリーシートの入力などでは見やすいですが、紙に印刷した履歴書の場合、多用すると少しカジュアルな印象や、圧迫感を与える可能性もあります。
もし使用する場合は、氏名や見出しなどの目立たせたい部分に限定し、本文は明朝体にするか、全体をゴシック体で統一するのであれば、線が細め(ウェイトが細い)のゴシック体を選ぶと良いでしょう。
フォントと合わせて重要な「文字の大きさ(サイズ)」
フォント選びと同じくらい重要なのが、「文字の大きさ(フォントサイズ)」です。
採用担当者にとって「読みやすい」と感じる文字の大きさには、明確な目安があります。
最適な文字の大きさは「10.5pt〜11pt」
履歴書をパソコンで作成する場合、本文(学歴、職歴、志望動機など)の文字の大きさは、**「10.5ポイントから11ポイント」**の範囲で設定するのが、最も一般的で読みやすい「標準」とされています。
小さすぎる文字はNG
アピールしたい内容が多いからといって、文字の大きさを9ポイントや8ポイントに設定して、枠内に大量の文字数を詰め込むのは逆効果です。採用担当者は「読みにくい」と感じた瞬間に、読む意欲を失ってしまいます。それは「熱意」ではなく、「要約能力がない」「自己中心的だ」というマイナスの印象を与えます。
大きすぎる文字もNG
逆に、12ポイントを超える大きな文字で作成すると、全体的に間延びした印象になり、「内容が薄い」「幼稚だ」と受け取られる可能性があります。
メリハリをつけることも大切
全ての文字を同じ大きさにする必要はありません。最も目立たせたい「氏名」欄は、本文よりも大きく(例:14ポイントから18ポイント程度)設定します。
また、「学歴」「職歴」といった見出しの部分を、本文より1ポイント程度大きくする(例:本文11pt、見出し12pt)と、書類全体にメリハリが生まれ、読みやすさが向上します。
履歴書で絶対に避けるべき「NGフォント」
フォント選びであなたの「個性」をアピールする必要は一切ありません。以下のフォントは、ビジネスシーンにふさわしくないと判断されるため、絶対に使用しないでください。
- POP体、丸ゴシック体→ カジュアルすぎ、幼稚な印象を与えます。
- 行書体(ぎょうしょたい)、教科書体→ 崩し字や、デザイン性の高い書体は、読みにくく、公的書類には不向きです。
- 奇抜(きばつ)なデザインフォント→ 論外です。社会人としての常識を疑われます。
結論。「フォント」は、読み手への「配慮」である
履歴書は、ご自身の経歴を伝える「コミュニケーションツール」です。
そのフォント選びは、単なるデザインの問題ではありません。それは、採用担当者という「読み手」の立場に立って、「いかに読みやすく、内容を正確に伝えるか」を考えた「配慮」の表れです。
特別なフォントを探す必要はありません。「明朝体」を「10.5pt〜11pt」で設定する。
この「当たり前」をきちんと実行できる姿勢が、採用担当者に「この人は信頼できるビジネスパーソンだ」という最初の安心感を与える鍵となります。





