履歴書の「民間資格」。国家資格との違いと、転職でアピールする書き方
転職活動で履歴書の「免許・資格」欄を埋める際、「この資格は民間資格だけど、書いても良いのだろうか?」「アピールになるのか?」と悩む方は少なくありません。
結論から言いますと、民間資格であっても、応募先の仕事内容と関連性があれば、積極的に記載すべきです。
採用担当者は、「国家資格か、民間資格か」という“格”を見ているのではなく、「その資格が、自社の業務でどう役立つか」という「実務との関連性」を見ています。
ここでは、履歴書における民間資格の正しい書き方と、転職でアピールするための判断基準について詳しく解説します。
1. 「民間資格」と「国家資格」の違い
まず、言葉の違いを整理しましょう。
- 国家資格法律に基づいて、国や国から委託された機関が認定する資格です。(例:普通自動車運転免許、宅地建物取引士、保育士、看護師など)
- 民間資格民間の団体や企業が、独自の基準で認定する資格です。(例:TOEIC、日商簿記検定、マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)、秘書技能検定など)
履歴書の「免許・資格」欄には、これらを区別なく記載して問題ありません。どちらもあなたのスキルを客観的に証明する大切な情報です。
2. 民間資格を履歴書に「書くべきか」の判断基準
「持っている資格を全て書けば良い」というわけではありません。資格欄が煩雑(はんざつ)になり、本当にアピールしたい重要な資格が埋もれてしまうリスクもあります。
記載すべきかの判断基準は、以下の2点です。
基準1:応募先の「職務内容」と強く関連しているか
これが最も重要な判断基準です。たとえ民間資格でも、応募先の業務に直結するものは、強力なアピールになります。
- (例)事務職・経理職に応募する場合
- 「日本商工会議所簿記検定試験(日商簿記)」
- 「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)」
- 「秘書技能検定」
- (例)ITエンジニア職に応募する場合
- 各種ベンダー資格(シスコ技術者認定、オラクルマスターなど)
- ITパスポート試験(※厳密には国家試験)
- (例)英語を使う職種に応募する場合
- 「TOEIC公開テスト 〇〇点 取得」
基準2:あなたの「ビジネス基礎能力」や「学習意欲」を証明できるか
職務内容と直接の関連が薄くても、ビジネスパーソンとしての素養や、自己研鑽(じこけんさん)の姿勢を示すことができる資格は、記載する価値があります。
- (例)TOEIC(英語力)→ 英語を使わない職種でも、「基礎学力」「学習意欲」として評価されます。(一般的に600点以上が目安)
- (例)秘書技能検定→ 事務職以外でも、「ビジネスマナーの基礎を学んでいる」という証明になります。
3. 「書かない方が良い」民間資格とは?
応募先の業務と全く関連性がなく、趣味性が高すぎる資格は、あえて記載しない方が賢明な場合もあります。
(例)「〇〇ご当地検定」「〇〇ソムリエ(飲食業以外の場合)」「スポーツ〇〇検定」など
これらを記載すると、資格欄に統一感がなくなり、採用担当者が「本当にアピールしたいのは何か」を見失ってしまう可能性があるからです。
4. 【最重要】民間資格の「正しい書き方」
民間資格を記載すると決めたら、国家資格と同様に「正式名称」で記載するのが絶対のルールです。
NGな書き方(略称・通称)
- (NG)簿記2級
- (NG)英検準1級
- (NG)MOS Excel
- (NG)TOEIC 800点
OKな書き方(正式名称)
履歴書には、主催団体名も含めて、合格証書に記載されている「正式名称」を書きます。また、「合格」「取得」といった言葉も正しく使い分けます。(検定は「合格」、スコアや認定は「取得」が一般的です)
【正しい記載例】
〇〇年〇月 日本商工会議所簿記検定試験2級 合格
〇〇年〇月 実用英語技能検定 準1級 合格
〇〇年〇月 マイクロソフト オフィス スペシャリスト Excel 2019 合格
〇〇年〇月 TOEIC公開テスト 800点 取得
(※TOEICは「IPテスト」か「公開テスト」かも明記すると、より正確です)
5. 現在「勉強中」の場合のアピール方法
「免許・資格」欄は、すでに合格・取得したものを記載する欄です。
もし、現在応募先の業務に関連する民間資格の取得に向けて勉強中である場合は、その「熱意」と「学習意欲」をアピールするために、履歴書下部の**「本人希望欄」や「自己PR」欄**を活用します。
(本人希望欄や自己PR欄での例文)
- 「現在、貴社の業務に活かすため、〇〇(資格名)の取得に向け勉強中です。(〇月受験予定)」
6. 結論。民間資格は「関連性」があれば強力な武器
履歴書における資格の価値は、「国家資格か、民間資格か」で決まるのではありません。
「応募先の仕事で、その知識が活きるか」
これに尽きます。
応募先の業務内容をしっかりと研究し、関連性の高い民間資格を持っているのであれば、それはあなたの「専門性」と「学習意欲」を証明する強力な武器です。
「正式名称」で正しく記載し、自信を持ってアピールしましょう。





