履歴書の「昔と今」。常識は変わった! 転職で評価される今の書き方
転職活動で履歴書を準備する際、「昔、就職活動で習った書き方で合っているだろうか?」と不安に思うことはありませんか。
「履歴書は手書きで熱意を伝えるもの」「サイズはB5が基本」といった、かつての「常識」は、現代の転職(中途採用)市場では通用しない可能性があります。
知らずに「昔」のマナーで履歴書を作成すると、「ビジネスマナーを理解していない」「古いやり方に固執している」といった、マイナスの印象を与えかねません。
ここでは、履歴書の「昔と今」で大きく変わったポイントを比較し、書類選考を通過するために「今」求められる正しい書き方を解説します。
1. 【作成方法】「手書き」から「パソコン作成」へ
昔:手書きが常識
「履歴書は手書きで、丁寧に書くことで熱意を伝えるもの」とされていました。一文字間違えたら、最初から書き直すのが当たり前でした。
今:パソコン(PC)作成が主流
現代の中途採用では、企業から「手書き指定」がない限り、パソコン(PC)で作成するのが一般的であり、むしろ推奨されます。
【なぜ変わったか】
- 読みやすさ:採用担当者は日々多くの書類を見ます。誰が読んでも判読しやすい活字は、内容が正確に伝わります。
- 効率性:応募者も、一度データを作れば、志望動機などを修正するだけで効率的に応募できます。
- PCスキルの証明:体裁の整ったビジネス文書を作成できること自体が、基本的なPCスキル(文書作成能力)の証明になります。
- ネット提出の普及:メール(PDF)やWebフォームでの提出が主流となり、データでの作成が合理的になりました。
2. 【用紙サイズ】「B5」から「A4」へ
昔:B5サイズが一般的
かつてはJIS規格(日本産業規格)の様式として、「B5サイズ」(一般的なノートの大きさ)の履歴書が広く使われていました。
今:A4サイズが標準マナー
現代のビジネスシーンでは、全てのビジネス文書(資料、契約書など)は**「A4サイズ」**で統一されるのが標準です。
【なぜ変わったか】
転職活動(中途採用)では、履歴書とセットで「職務経歴書」の提出が必須です。この職務経歴書は、A4サイズで作成するのが一般的です。
応募書類全てのサイズを「A4」で統一することは、採用担当者が書類を管理しやすくするための「配慮」であり、これが現在の転職活動における「標準的なマナー」です。
3. 【証明写真】「真顔」から「穏やかな微笑み」へ
昔:「真顔(無表情)」が基本
「証明写真は笑ってはいけない」とされ、緊張した硬い表情や、無表情(真顔)で撮影するのが常識とされていました。
今:「歯を見せない、穏やかな微笑み」が好印象
もちろん、歯を見せるような「大笑い」はNGです。しかし、現代では「真顔」は、「暗い」「覇気がない」「怖そう」といったネガティブな印象を与えるリスクがあります。
**「歯は見せずに、口角(こうかく)を少しだけ上げた、穏やかな微笑み」**で撮影する方が、「人柄の良さ」「明るさ」「精神的な余裕」が伝わり、採用担当者に好印象を与えます。(※服装は、今も昔もスーツ着用が基本です。)
4. 【様式(フォーマット)】「JIS規格」から「多様化」へ
昔:JIS規格が「標準」
履歴書といえば「JIS規格」の様式が一般的で、文房具店などでもそれが主流でした。
今:JIS規格は廃止。厚生労働省推奨様式などが普及
JIS規格の履歴書様式は2020年に廃止されました。
現在では、厚生労働省が「公正な採用選考」の観点から推奨する、「性別欄が任意」、**「扶養家族欄や配偶者欄がない」**など、応募者の能力や適性とは関係のない情報で選考が左右されることを防ぐための様式も普及しています。
「標準」にこだわるより、**「職歴」欄や「自己PR」欄が広く設けられている、「転職者(中途採用)向け」**のフォーマットを選ぶことが重要です。
5. 【ハンコ(押印)】「必須」から「原則不要」へ
昔:氏名欄の横に「押印」するのが必須
履歴書には押印(おういん)欄があり、ハンコを押すのが当たり前のマナーでした。
今:押印欄自体がない様式が主流
デジタル化の推進や行政手続きの見直しに伴い、履歴書におけるハンコの扱いは大きく変わりました。
厚生労働省推奨様式など、そもそも「押印欄(「印」マーク)」が設けられていないテンプレートが主流です。欄がなければ、押印は一切不要です。(※もし、古い様式などで押印欄がある場合にのみ、押すのが無難です)
6. 【提出方法】「郵送」から「ネット提出」へ
昔:郵送(送付状同封)が当たり前
作成した履歴書は、送付状(添え状)と共に、A4が折らずに入る封筒(角形2号など)に入れ、郵送するのが基本でした。
今:Eメール(PDF添付)やWebフォームでの「ネット提出」が主流
現在、多くの企業が応募書類を「データ」で受け付けています。
【なぜ変わったか】
企業側にとっては、応募者の管理が効率的になり、ペーパーレス化にも繋がります。応募者側も、郵送費や手間を削減できるメリットがあります。
【今のマナー】
ネット提出が主流になったことで、「WordやExcelのまま送らず、必ずPDF形式に変換する」、**「ファイル名に『履歴書(氏名)』と入れる」**といった、新しい「データ提出のマナー」の理解が必須となっています。
結論:「今」の履歴書マナーとは、「相手(読み手)への配慮」
履歴書の「昔と今」を比較すると、現代のマナーがいかに**「効率性」と「合理性」、そして「採用担当者(読み手)への配慮」**を重視しているかが分かります。
- 「パソコン作成」や「A4統一」は、読みやすく、管理しやすくするため。
- 「ネット提出(PDF)」は、レイアウトを崩さず、スピーディーに届けるため。
昔の常識に囚(とら)われて、知らず知らずのうちに「配慮が足りない」応募者だと評価されてしまうのは、非常にもったいないことです。
「今」のビジネススタンダードに合わせた履歴書を準備することが、書類選考を通過するための確実な第一歩となります。





