履歴書のマナーとは? 転職者が押さえるべき「常識」と「配慮」の基本
転職活動(中途採用)において、履歴書はあなたの第一印象を決定づける、非常に重要な「公的な応募書類」です。採用担当者は、そこに書かれた内容(職務経歴やスキル)だけでなく、その**「作成・提出のマナー」**も厳しくチェックしています。
新卒採用とは異なり、中途採用では応募者に「社会人としての常識」や「ビジネスマナー」が備わっていることが前提とされます。
履歴書に誤字脱字が多かったり、体裁が整っていなかったりするだけで、「仕事が雑なのでは」「入社意欲が低い」といった致命的なマイナス評価に繋がる可能性があります。
ここでは、転職者が「常識がない」と判断されないために、必ず押さえておくべき履歴書のマナーを、作成から提出まで徹底的に解説します。
1. 作成手段のマナー。「手書き」と「パソコン」はどちらが正解か
まず、作成手段のマナーです。かつては手書きが主流でしたが、現代の転職活動では企業から「手書き指定」がない限り、パソコン(PC)で作成するのが一般的であり、推奨されます。
- パソコン作成のメリット
- 読みやすさ:誰が読んでも判読しやすく、採用担当者の負担を減らせます。
- 効率性・正確性:修正が容易なため、ミスをなくせます。一度データを作れば、応募先ごとに志望動機などを修正するだけで対応できます。
- PCスキルのアピール:体裁の整ったビジネス文書を作成できること自体が、基本的なPCスキル(文書作成能力)の証明になります。
手書きの場合の「絶対マナー」
もし「手書き指定」がある場合や、手書きで作成する場合は、以下のマナーが必須です。
- 筆記具:必ず「黒色」のボールペン(油性またはゲルインク)を使います。「消せるボールペン」は、公的書類には絶対に使用してはいけません。
- 修正の禁止:「修正液」や「修正テープ」、「二重線と訂正印」による修正は、ビジネスマナー違反です。一文字でも間違えたら、必ず**「新しい用紙に、最初から書き直す」**のが鉄則です。
2. サイズとフォーマット(様式)のマナー
サイズは「A4」が標準マナー
履歴書には「A4サイズ」と「B5サイズ」(一般的なノートの大きさ)があります。
どちらでも間違いではありませんが、転職活動では**「A4サイズ」を選ぶ**ことを強く推奨します。
(理由)
転職活動では、履歴書とセットで「職務経歴書」の提出が必須です。この職務経歴書は、ビジネス文書の標準である「A4サイズ」で作成するのが一般的です。
応募書類全てのサイズを「A4」で統一することは、採用担当者が書類を管理しやすくするための「配慮」であり、これが現在の転職活動における「標準的なマナー」です。
様式は「転職者向け」を選ぶ
履歴書は「新卒用」や「アルバイト用」ではなく、**「職歴」欄や「自己PR」「志望動機」の欄が広く設けられている、「転職者(中途採用)向け」**のフォーマット(雛形)を選びましょう。
3. 記載内容における「正確性」と「統一性」のマナー
誤字脱字・抜け字は「致命的」なマナー違反
どれほど素晴らしい経歴が書かれていても、誤字脱字や抜け字があるだけで、「注意力が不足している」「仕事が雑だ」という印象を与えます。提出前に、声に出して読み返すなど、入念なチェックが必須です。
年号(西暦・和暦)の「統一」は必須
履歴書全体で、年号の表記は**「西暦(例:2025年)」か「和暦(例:令和7年)」のどちらか一方に、必ず「統一」します。**
(例:生年月日は和暦、職歴は西暦、といった「混在」はNGです)
職務経歴書とも表記を統一する必要があり、PC作成が主流の現代では「西暦」での統一をお勧めします。
「空欄」を作らないマナー
記入することがない項目(例:「免許・資格」欄)を、空欄のまま提出するのは「記入漏れ」を疑われます。
必ず**「特になし」**と記載します。
ただし、**「本人希望欄」だけは例外です。ここに「特になし」と書くと、意欲が低いと見なされる可能性があります。
特に希望がない場合の「正解」は、「貴社の規定に従います。」**と記載することです。
4. 証明写真のマナー。「第一印象」のルール
履歴書の証明写真は、あなたの「顔」です。TPOをわきまえた、清潔感のある写真が必須です。
- 撮影時期:3ヶ月以内に撮影した、現在の姿と相違ないもの。
- 服装:スーツ・ジャケット着用が基本です。シャツの第一ボタンまで留め、ネクタイを締めます。(「ネクタイなし」は、だらしない印象を与えるリスクがあります)
- 表情:「真顔(無表情)」は暗い印象を与えます。「歯を見せない、穏やかな微笑み」が最適です。
- NG例:「スナップ写真」や「自撮り」の切り抜き、プリクラ、古い写真の使用は、社会人としての常識を疑われるため論外です。
5. 「提出方法」のマナー。相手への配慮が問われる
書類の「提出方法」にも、ビジネスマナーが表れます。
郵送する場合のマナー
- 封筒の色:事務的な「茶封筒」は避け、フォーマルな「白色」を選びます。
- 封筒のサイズ:書類を折らずに入れられる「角形A4号」または「角形2号」を使います。
- クリアファイル:応募書類一式は、郵送中の雨濡れや折れを防ぐため、必ず「無色透明のクリアファイル」に入れてから封筒に入れます。
- 宛名書き:「(株)」などと略さず、「株式会社〇〇 人事部 御中」のように正式名称で丁寧に書きます。
- 赤字:封筒の表面、左下に「履歴書在中」と赤色のペンで記載し、四角く囲います。
メール(ネット提出)の場合のマナー
これが、現代の転職活動で最も重要なマナーの一つです。
- ファイル形式は「PDF」が絶対WordやExcelのファイル(.docx や .xlsx)のまま送付するのは、厳禁です。採用担当者のPC環境によっては、レイアウトが崩れたり、文字化けしたりするリスクがあります。必ず**「PDF形式」**に変換(エクスポート)してから提出します。PDFは、環境に関わらず作成時のレイアウトのまま表示できる、ビジネス文書の標準形式です。
- ファイル名「履歴書.pdf」では不親切です。「履歴書(氏名)_20251107.pdf」のように、「何の書類か」「誰の書類か」が一目で分かるファイル名にします。
- メール本文メール本文が「送付状」の役割を果たします。本文なしでファイルだけを添付するのは論外です。丁寧な挨拶、応募の経緯、添付ファイルの内容、簡潔な自己PR、結びの挨拶、署名を記載します。
手渡し(持参)する場合のマナー
- 面接などに持参する場合も、**封筒(白・A4サイズ)**に入れて持ち運びます。これは書類を保護するためです。
- ただし、郵送ではないため、封筒に「封(のり付け)」はしません。
- 渡す際は、受付で預ける場合は「封筒ごと」、面接官に直接渡す場合は「封筒からクリアファイルごと取り出して」、相手が読みやすい向きで両手で差し出します。
結論。履歴書のマナーとは「相手への配慮」そのもの
履歴書作成における「マナー」とは、単なる堅苦しい「決まりごと」ではありません。
その一つひとつが、**「読み手(採用担当者)への配慮」であり、「私は、あなたのために、これだけ丁寧な準備(仕事)ができる人間です」**という、あなたの信頼性を示す最初のアピールなのです。
この「配慮」の積み重ねが、書類選考の通過率を確実に高めることに繋がります。





