履歴書の「本人希望欄」。何を書くべき? 「特になし」はNG? 正しい書き方
履歴書の最後にある「本人希望欄」とは
履歴書を作成する際、一番最後(あるいは最後の方)に「本人希望記入欄」(または「本人希望欄」)という項目があります。転職活動(中途採用)において、この欄に何を書けばよいのか、あるいは何も書かなくてよいのか、悩む方は少なくありません。
採用担当者は、この欄に書かれた「希望」の内容から、
- 応募者の「絶対に譲れない労働条件」は何か
- その条件が、自社の募集要項や規定とマッチしているか
- 応募者の「協調性」や「柔軟性」はどうか
といった点を読み取ろうとしています。
書き方一つで、あなたの印象が大きく変わる可能性もある、重要な項目なのです。
【原則】書く希望が「ない」場合の「正解」の書き方
多くの場合、応募の段階では「特に希望はない」という方がほとんどでしょう。
その際、この欄を**「空欄」のまま提出したり、「特になし」**と書いたりするのは、避けた方が賢明です。
「空欄」は、単純な「記入漏れ」と見なされる可能性があります。「特になし」は、少し突き放したような、あるいは意欲が低いような印象を与えてしまうリスクがゼロではありません。
この欄に特に書くことがない場合の、最も無難で、かつ「協調性」や「柔軟性」を示すことができる定型句(じょうとうく)があります。
書き方:「貴社の規定に従います。」
この一文を記載することで、「勤務条件(職種、勤務地、給与、時間など)に関しては、御社のルールに全てお任せします」という意思表示となり、採用担当者に安心感を与えることができます。
「希望」を具体的に書くべきケース(例文)
「本人希望欄」は、原則として「貴社の規定に従います。」と書くのがマナーですが、**「どうしても譲れない、最低限の条件」**があり、それを事前に伝えておかなければ入社後にミスマッチが起こる、と判断される場合にのみ、簡潔に記載します。
1. 「職種」の希望
企業が、応募の窓口を一つにして、複数の職種(例:営業職、事務職、企画職)を同時に募集している場合。
(例文)
- 「営業職を希望します。」
2. 「勤務地」の希望
企業が、複数の勤務地(例:東京本社、大阪支社)で募集をかけている場合。
(例文)
- 「大阪支社での勤務を希望します。」
3. 「勤務時間」に関する制約
育児や介護、通院など、やむを得ない事情で、勤務時間に明確な制約がある場合。
(※選考に影響する可能性もあるため、伝え方は慎重に)
(例文)
- 「家族の介護の都合により、週2回の在宅勤務を希望します。」
- 「持病の通院のため、月1回、平日に休暇(または時間休)を取得したく存じます。業務に支障が出ないよう調整します。」
4. 「入社可能日」の連絡
これが、転職(中途採用)において、この欄が最も有効に使われるケースです。
現在も在職中の場合、採用担当者は「この人は、いつからウチで働けるのか」を非常に気にしています。
(例文)
- 「現在在職中のため、内定をいただけた場合、〇ヶ月後(または〇月〇日以降)の入社が可能です。」
- 「〇〇年〇月〇日に退職予定のため、〇月〇日以降の入社が可能です。」
「本人希望欄」に書くべきではないNG内容
この欄に書くと、かえってあなたの評価を下げてしまう「NGな希望」があります。
NG例1:給与(給料)や待遇、福利厚生の希望
- (NG例):「希望年収は〇〇〇万円です。」
- (NG例):「家賃補助を希望します。」
給与や待遇は、あなたのスキルや経験を評価した上で、面接の場などを通じて「交渉」するものです。応募の段階で、履歴書という一方的な書類で金額を提示するのは、ビジネスマナーとしてふさわしくありません。「条件面ばかりを気にする人だ」というマイナスの印象を与えます。
NG例2:「残業なし希望」「転勤なし希望」
やむを得ない事情(上記の介護など)がないにも関わらず、一方的に「残業はできません」「転勤は絶対に嫌です」といった希望を記載すると、「協調性がない」「働く意欲が低い」と見なされるリスクが非常に高いです。
NG例3:志望動機や自己PRと混同する
- (NG例):「貴社で学びたいです。」「やりがいのある仕事がしたいです。」
これらの「熱意」や「ポテンシャル」は、「志望動機」や「自己PR」の欄に記載すべき内容です。
結論。「希望欄」は、譲れない「最低条件」を伝える場所
履歴書の「本人希望欄」は、あなたの「わがまま」を伝える場所ではありません。
原則は**「貴社の規定に従います。」**と記載し、協調性を示しましょう。
そして、もし「入社可能日」や「勤務地・職種」など、応募の前提としてどうしても伝えておくべき「最低限の条件」がある場合にのみ、その事実を「簡潔」に記載する。
この正しい使い方をマスターすることが、採用担当者との円滑なコミュニケーションの第一歩となります。





