履歴書の「健康状態」欄。正しい書き方と採用担当者への伝わり方
履歴書における健康状態の重要性
履歴書に設けられている「健康状態」の欄は、記入スペースこそ小さいものの、採用担当者が応募者の就労の可否を判断する上で重要な項目の一つです。企業側は、応募者が入社後にその職務を安定して遂行できるか、長期的に活躍してもらえるかを知りたいと考えています。この欄の書き方一つで、自己管理能力や誠実さの印象も変わる可能性がございます。ここでは、履歴書の健康状態欄への適切な記入方法について、具体的な状況別に解説いたします。
健康状態欄の基本的な記入方法
現在の健康状態に全く問題がなく、業務の遂行に何ら支障がない場合、最も一般的な書き方は「良好」の二文字です。「良好」と記載されていれば、採用担当者は「業務に支障はない」と判断いたします。もし、風邪を引きやすい、時折頭痛があるといった日常的な体調の変化程度であれば、それらは業務遂行に影響する持病とはみなされませんので、「良好」と記載して差し支えございません。
「良好」と記載する具体的な基準
どこまでを「良好」としてよいか迷われる方もいらっしゃるかもしれません。基準は、「応募する企業の業務内容を、健康上の理由による制限なく遂行できるかどうか」です。例えば、花粉症や軽い近視(眼鏡などで矯正している)、あるいは完治している過去の病気や怪我などは、現在の業務に影響を与えません。これらの場合、健康状態は「良好」と判断して問題ございません。
持病や通院歴がある場合の書き方
何らかの持病がある場合や、現在も定期的に通院している場合に、履歴書の健康状態欄にどう書くべきかは、多くの方が悩まれる点です。ここで重要なのは、「業務に支障があるかないか」を明確に伝えることです。
もし持病があったとしても、それが業務に全く影響しないのであれば、「良好」と記載しても構いません。ただし、例えば「月1回の定期通院が必要」といった事実がある場合は、補足として「良好(持病のため月1回通院しておりますが、業務に支障はございません)」のように記載すると、誠実な印象を与えられます。
業務に配慮が必要な場合の記載例
もし持病の影響で、特定の業務(例えば重い荷物の運搬、長時間の立ち仕事など)を避ける必要がある場合は、その事実を正直に記載することが賢明です。隠して入社された場合、後々業務に支障が出てしまい、ご自身も会社側も苦しい状況になりかねません。
その際は、できないことだけを書くのではなく、「〇〇の持病により重量物の運搬は困難ですが、デスクワークおよび通常の業務は問題なく遂行可能です」といった形で、できることと必要な配慮を具体的に記載しましょう。
メンタルヘルスに関する既往歴の扱い
精神的な疾患に関する既往歴は、非常にデリケートな情報です。まず、現在は完治しており、業務に全く支障がない状態であれば「良好」と記載して問題ございません。もし現在も通院中であったり、寛解(かんかい)状態であったりする場合は、業務への影響度合いをご自身で判断し、必要に応じて記載を検討します。例えば、「良好(定期的な通院により安定しており、業務に支障なく勤務可能です)」といった記載が考えられます。無理に詳細を書く必要はありませんが、面接で質問された際に、ご自身の状況と業務への影響について誠実に説明できるように準備しておくことが大切です。
健康状態欄がない履歴書の場合
近年、JIS規格以外の履歴書や、企業独自の応募フォームでは、「健康状態」欄が設けられていないケースも増えております。その場合は、特に記載する必要はございません。ただし、前述のように業務上何らかの配慮を必要とする場合は、「本人希望欄」や「特記事項」などを活用し、簡潔にその旨を記載しておくことをお勧めいたします。
誠実な記載が信頼につながる
履歴書の健康状態欄は、企業側がリスクを把握するためだけではなく、入社後に必要な配慮を検討するための情報源でもあります。嘘の記載は避け、現在の状況を誠実に伝えることが、結果として採用担当者との信頼関係構築につながります。ご自身の健康状態と、応募先での業務内容を照らし合わせ、適切な記載を心がけてください。





