転職活動における履歴書の基本的な書き方
履歴書は、転職活動においてご自身の経歴やプロフィールを採用担当者に伝え、最初の選考を通過するための「公式な応募書類」です。採用担当者は、履歴書に記載された内容だけでなく、その作成の丁寧さやビジネスマナーへの理解度からも、応募者の人柄や仕事に対する姿勢を判断しようとしています。ここでは、書類選考を通過するために押さえておきたい、履歴書の基本的な書き方と各項目のポイントについて、順を追って詳しく解説いたします。
履歴書作成の基本姿勢。正確性と丁寧さ
履歴書を作成する上で最も大切な心構えは、「正確性」と「丁寧さ」です。記載する内容に一切の虚偽があってはならないのはもちろんのこと、学校名や会社名、資格名などはすべて正式名称を用い、略称や通称は避けるのが鉄則です。また、誤字脱字がないよう、作成後には何度も見返すことが重要です。丁寧な文字やレイアウトで作成された履歴書は、それだけで応募者の誠実さや真剣な応募意欲を伝えることにつながります。
履歴書作成の形式。パソコンか手書きか
まず、履歴書を「パソコン」で作成するか「手書き」で作成するかという選択があります。応募先企業から「手書き指定」がある場合を除き、現代の転職活動においては「パソコン作成」が主流であり、推奨されます。パソコンで作成する利点は、誰が読んでも判読しやすいこと、修正や複製が容易であること、そして基本的なPCスキル(文字入力)の証明にもなることです。作成ソフトはWordやExcelなどが一般的ですが、最終的にPDF形式に変換して提出するのがマナーです。
基本情報欄(氏名・住所・連絡先)の書き方
履歴書の冒頭にある基本情報欄は、応募者を特定し、連絡を取るために不可欠な項目です。まず「日付」は、履歴書を提出する日(郵送なら投函日、持参なら当日、メールなら送信日)を記載します。「氏名」は戸籍上の正しい漢字で丁寧に記載し、「ふりがな」は履歴書の様式に合わせて「ひらがな」か「カタカナ」かを間違えないようにします。「印鑑」は、押印欄がある場合のみ、朱肉を使うタイプの認印で、かすれたり曲がったりしないよう鮮明に押します。「現住所」は都道府県から省略せず、アパートやマンション名、部屋番号まで正確に記載します。「電話番号」は日中に最も連絡が取りやすい番号(携帯電話番号)を記載し、「Eメールアドレス」は、転職活動専用の、ご自身の氏名を使ったようなシンプルなアドレスを記載するのが望ましいです。
学歴・職歴欄の書き方
学歴と職歴は、応募者の経歴を示す中心的な項目です。まず「学歴」と中央に見出しを書き、その次の行から時系列で記載します。一般的に、高等学校卒業から記載することが多いです。学校名や学部・学科名は「〇〇高等学校」のように、必ず正式名称で記載します。次に、学歴から一行空けて「職歴」と中央に見出しを書き、同様に時系列で記載します。会社名は「株式会社〇〇」のように正式名称で書き、所属部署や簡単な業務内容も添えると分かりやすくなります。退職した場合は「一身上の都合により退職」と記載し、現在も在職中の場合は「現在に至る」と記載します。すべての職歴を書き終えたら、その一行下の右端に「以上」と記して締めくくります。
免許・資格欄の書き方
免許や資格は、応募者のスキルを客観的に証明するものです。取得した年月順に、正式名称で記載するのがルールです。例えば、運転免許であれば「普通自動車第一種運転免許(AT限定)」、英検であれば「実用英語技能検定 2級 合格」といった形です。応募する職務に直接関連する資格や、ご自身の強みをアピールできる資格を優先的に記載すると効果的です。特に記載する資格がない場合は、「特になし」と記載します。
志望動機欄の書き方
志望動機は、採用担当者が「なぜ他社ではなく、自社を選んだのか」を知るために最も重視する項目の一つです。他の企業にも使い回しができるような一般的な内容ではなく、その企業の事業内容、製品、サービス、社風などに具体的に触れ、ご自身がどこに魅力を感じたのかを明確にします。その上で、ご自身のこれまでの経験やスキルが、その企業でどのように活かされ、貢献できるのかを具体的に結びつけて説明することが、熱意を伝える上で非常に重要です。
自己PR・趣味・特技欄の書き方
自己PR欄は、職務経歴書で詳述するご自身の強み(スキルや実績)の要約や、人柄を伝える場として活用します。履歴書のスペースは限られているため、最もアピールしたいポイントを簡潔にまとめることが求められます。「趣味・特技」欄も、意外と採用担当者が見ている項目です。単に「読書」や「音楽鑑賞」と書くだけでなく、「(月〇冊程度の)ビジネス書の読書」や「(〇〇というジャンルの)音楽鑑賞」のように具体性を持たせることで、ご自身の人柄を伝える一助となります。
本人希望欄の書き方
本人希望欄は、原則として「貴社の規定に従います」と記載するのがビジネスマナーです。給与や待遇面での具体的な希望を、選考の初期段階である履歴書に詳細に記載することは、一般的にあまり良い印象を与えません。ただし、複数の職種を募集している場合に応募職種を明記したり、在職中のため連絡可能な時間帯が限られる場合や、どうしても譲れない勤務地がある場合などに限り、その旨を簡潔に記載します。
提出前の最終確認。誤字脱字のチェック
すべての項目を書き終えたら、提出前に必ず最初から最後まで通して読み返し、誤字脱字や記載漏れがないかを徹底的に確認してください。西暦と和暦が混在していないか、日付に間違いはないか、会社名や資格名は正式名称で書かれているかなど、細部にまで注意を払います。完璧な状態で提出することが、書類選考を通過するための最後の、そして最も重要なステップとなります。





