履歴書の「JIS規格」はダウンロードできる? 転職で使う「標準」様式の今
転職活動を始めるにあたり、履歴書をパソコン(PC)で作成するため、「JIS規格(じすきかく)」の履歴書をダウンロードしたい、と考える方は多くいます。
「JIS規格」とは「日本産業規格(Japanese Industrial Standards)」の略で、長らく日本の履歴書における「標準的な様式(フォーマット)」として広く使われてきたためです。
しかし、「JIS規格の履歴書は、今も転職(中途採用)で使って良いのだろうか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
ここでは、JIS規格の履歴書の現在の位置づけと、ダウンロードして使用する際の注意点について詳しく解説します。
1. JIS規格の履歴書は、今もダウンロードできるか?
まず、JIS規格(または、それに準拠した)履歴書のテンプレート(雛形)は、現在もインターネット上で、多くの転職サイトなどから無料でダウンロードすることが可能です。
Word(ワード)やExcel(エクセル)、手書き用のPDF形式などで提供されており、入手すること自体は非常に簡単です。
「履歴書 テンプレート JIS規格」などで検索すれば、すぐに見つかるでしょう。
2. 【重要】JIS規格の履歴書は「廃止」されている
ここで、転職(中途採用)の応募者として知っておくべき「重要な事実」があります。
それは、長らく「標準」とされてきたJIS規格の履歴書様式は、2020年(令和2年)7月に、その規格が「廃止」されているという点です。
これは、働き方や個人の多様性を尊重する社会的な流れの中で、従来の様式が実態に合わなくなってきたことが背景にあります。
3. JIS規格廃止後の「今の履歴書」とは?
JIS規格が廃止されたからといって、JIS規格の履歴書テンプレートを使ってはいけない、あるいは選考で不利になる、ということは(現時点では)ありません。
多くの企業では、現在もJIS規格のフォーマットでの応募を受け付けています。
しかし、JIS規格廃止の流れの中で、国(厚生労働省)は、公正な採用選考(応募者の能力や適性とは関係のない情報で判断しない)の観点から、新しい履歴書の様式例を推奨しています。
厚生労働省推奨様式の特徴
- 性別欄:従来の「男・女」を選択する欄ではなく、「任意記載」となっているか、欄自体が設けられていません。
- 扶養家族欄、配偶者欄:応募者の職務能力とは直接関係がないため、これらの項目が削除されています。
4. 結局、転職(中途採用)では、どの様式をダウンロードすべきか?
「JIS規格」「厚生労働省推奨様式」など、いくつかの選択肢がありますが、転職(中途採用)において、様式(フォーマット)の「出所」が選考に影響することは、まずありません。
採用担当者が重視しているのは、「様式」ではなく、あなたの**「職務経歴」や「スキル」、「志望動機」といった「中身」**です。
ただし、「中身」を効果的にアピールするために、**ダウンロードする雛形(ひながた)を選ぶ「基準」**は存在します。
基準1:サイズは「A4」を選ぶ
JIS規格は「B5サイズ」(一般的なノートの大きさ)も多くありました。
しかし、現代の転職活動では、セットで提出する「職務経歴書」も、ビジネス文書の標準である**「A4サイズ」**で作成するのが一般的です。
応募書類全てのサイズを「A4」で統一することは、採用担当者が管理しやすくするための「配慮」であり、これが現在の転職活動における「標準的なマナー」です。
基準2:様式は「転職者(中途採用)向け」を選ぶ
JIS規格の様式は、人によっては「趣味・特技」欄や「本人希望欄」が広すぎる場合があります。
転職活動では、**「職歴」欄や「自己PR」「志望動機」の欄が広く設けられている、「転職者(中途採用)向け」**のフォーマットを選ぶ方が、あなたの「強み」を具体的にアピールしやすいです。
5. ダウンロードした履歴書(PC作成)の「提出マナー」
JIS規格であれ、厚生労働省推奨様式であれ、パソコンで作成(入力)した履歴書を「ネット提出(メール添付など)」する際には、絶対に守るべきマナーがあります。
1. 提出は「PDF形式」が絶対のルール
WordやExcelのファイル形式(.docx や .xlsx)のまま送付するのはマナー違反です。
採用担当者のPC環境によっては、レイアウトが崩れたり、文字化けしたりするリスクがあります。
必ず、**「PDF形式」**に変換(エクスポート、またはPDFとして保存)してから提出します。PDFは、環境に関わらず作成時のレイアウトのまま表示できる、ビジネス文書の標準形式です。
2. ファイル名にも配慮する
PDF化したデータのファイル名も重要です。「履歴書.pdf」や「名称未設定.pdf」では不親切です。
「履歴書(氏名)_20251108.pdf」「履歴書_山田太郎.pdf」
このように、「何の書類か」「誰の書類か」が一目で分かるファイル名に変更することが、社会人としての最後の配慮です。
6. 結論。「JIS規格」にこだわる必要は、もうない
JIS規格の履歴書をダウンロードして使用しても、何の問題もありません。
しかし、「JIS規格でなければならない」という「昔の常識」に、こだわる必要も全くありません。
採用担当者の視点に立ち、
- 「A4サイズ」
- 「転職者向け(職歴・自己PR欄が広い)」
という2つの基準で、ご自身が最もアピールしやすいフォーマット(雛形)をダウンロードして活用する。
そして、その「中身」を充実させることに全力を注ぐ。それが、書類選考を通過するための最も確実な方法です。





