履歴書の「保育士資格」。正式名称での正しい書き方とアピール術
転職活動において、応募者のスキルを客観的に証明する「資格」は、非常に重要なアピールポイントとなります。その中でも「保育士資格」は、保育や福祉の業界はもちろん、一般企業への転職においても、あなたの「専門性」や「人柄」を伝える強力な武器となります。
しかし、その価値ある資格も、履歴書に「正しい書き方」で記載できていなければ、採用担当者に正確に伝わりません。
ここでは、履歴書の「免許・資格」欄における「保育士資格」の正しい書き方と、そのアピール方法について詳しく解説します。
1. 「保育士資格」の正式名称とは?
履歴書は公的な応募書類です。そのため、「免許・資格」欄には、略称ではなく「正式名称」で記載するのがビジネスマナーです。
「保育士」や「保育士免許」といった言葉で記載する方もいますが、厳密には「保育士資格」が正しい呼称です(※平成15年の法改正により、それまでの「保母資格」から名称変更され、国家資格となりました)。
2. 履歴書への具体的な「書き方」
履歴書の「免許・資格」欄には、取得した年月順に記載するのが基本です。
保育士資格の場合、「試験に合格」した後、都道府県の保育士登録簿に「登録」されて、初めて「保育士資格取得」となります。
したがって、履歴書には「合格」ではなく**「取得(しゅとく)」**と記載するのが、最も正確な書き方です。
【正しい記載例】
〇〇年〇月 保育士資格 取得
「取得日(登録日)」はどこで確認する?
履歴書に記載する「年月」は、お手持ちの**「保育士証」に記載されている「登録年月日」**を確認し、その日付を記載します。
「登録番号」は書くべきか?
履歴書への登録番号の記載は、必須ではありません。
ただし、保育園や福祉施設など、保育業界に直接応募する場合は、記載しておくと「すぐにでも働ける有資格者である」ことの証明となり、より丁寧で信頼性が増します。
(保育業界に応募する場合の例)
〇〇年〇月 保育士資格 取得(登録番号:〇〇-〇〇〇〇号)
3. 「幼稚園教諭免許」など、類似資格の書き方
保育士資格とあわせて、「幼稚園教諭」の免許を持っている方も多いです。その場合も、時系列に沿って両方を記載します。
幼稚園教諭の場合は「免許状」ですので、「取得」と記載します。
【書き方 例(両方持っている場合)】
〇〇年〇月 幼稚園教諭一種免許状 取得
〇〇年〇月 保育士資格 取得
(※取得した年月が早い方を先に記載します)
4. 「取得見込み」や「勉強中」の場合はどう書くか
まだ資格を取得していない(試験には合格したが登録申請中、あるいは勉強中)場合はどうでしょうか。
「免許・資格」欄は、すでに取得したものを記載する欄ですので、**「自己PR」欄や「本人希望欄」**を活用して、その意欲をアピールします。
【例文1:試験合格後、登録申請中の場合】
- 〇〇年〇月 保育士試験 合格(〇月 資格取得見込み)(※「免許・資格」欄にこのように記載しても構いません)
【例文2:現在、勉強中の場合】
- (本人希望欄や自己PR欄に)「現在、保育士資格の取得を目指し、〇月の試験に向けて勉強中です。」
5. 【異業種転職】保育士資格は、どうアピールになるか?
「保育業界以外(例:一般企業の事務職、サービス業)への転職で、この資格はアピールになる?」と不安に思う必要は全くありません。
採用担当者は、保育士資格から、以下のような「ビジネススキル」を読み取ることができます。これらは、履歴書の「自己PR」欄でアピールしましょう。
- 高い「コミュニケーション能力」→ 子どもだけでなく、多様な背景を持つ「保護者(大人)」と日常的に折衝・調整してきた経験。
- 高い「責任感」と「危機管理能力」→ 子どもの安全や命を預かるという、非常に高いレベルの責任感と、不測の事態に備える危機管理能力。
- 「計画性」と「実行力」→ 保育計画(カリキュラム)を立案し、チームで実行してきた経験。
- 「体力」と「忍耐力」→ ハードな業務にも耐えうる体力と、根気強く子どもと向き合う忍耐力。
- 「事務処理能力」→ 保育日誌や連絡帳、各種報告書の作成といった、日々の事務作業の経験。
自己PR欄でのアピール例文(異業種向け)
「前職の保育業務では、子どもたちだけでなく、様々な保護者の方とのコミュニケーションを大切にしてきました。相手の要望や不安を正確に『傾聴』し、信頼関係を築く調整力を培いました。また、子どもの安全を守るために、常にリスクを先読みし、冷静に対応する危機管理能力も身につけています。この『傾聴・調整力』と『責任感の強さ』は、貴社の〇〇(例:営業事務、カスタマーサポート)業務においても、必ず活かせると確信しております。」
6. 結論。保育士資格は、あなたの「信頼の証」
保育士資格は、単なる専門知識の証明ではありません。それは、あなたが「責任感」や「高いコミュニケーション能力」といった、ビジネスパーソンとして非常に重要なヒューマンスキルを併せ持っていることの「信頼の証」でもあります。
履歴書には「保育士資格 取得」と正しく記載し、その経験を通じて得た「強み」を、自信を持ってアピールしましょう。





