履歴書の「本人希望欄」:「在職中で退職予定日未定」の正しい書き方
転職活動(中途採用)において、現在の会社に「在職中」のまま活動を進めるのは、今や一般的です。しかし、まだ退職の意思を伝えておらず、「退職予定日が決まってない」という状況は、履歴書にどう書けばよいか、非常に悩ましいポイントです。
特に、履歴書下部にある**「本人希望記入欄」**の扱いは、採用担当者にあなたの「入社意欲」や「計画性」を伝える上で、非常に重要な役割を果たします。
ここでは、採用担当者にマイナスの印象を与えず、「在職中・退職予定日未定」の状況を誠実に伝えるための、本人希望欄の正しい書き方を解説します。
1. なぜ「本人希望欄」への記載が重要なのか
採用担当者が履歴書を見るとき、職務経歴と同じくらい気にしているのが、**「この応募者は、いつから入社可能なのか?」**という点です。
「在職中」であることは、キャリアが継続している証拠としてプラスに働くこともありますが、もし「本人希望欄」に何も記載がないと、採用担当者は「いつ辞められるのか分からない」「入社までに何ヶ月もかかるのでは?」と、選考を進める上で懸念(けねん)を抱いてしまいます。
この「退職予定日未定」という状況を、「本人希望欄」で明確に補足することこそが、採用担当者の不安を払拭(ふっしょく)し、あなたの「誠実さ」や「計画性」を示す鍵となります。
2. 「本人希望欄」のNGな書き方
まず、この状況で絶対にやってはいけない「NGな書き方」を確認しましょう。
NG例1:「空欄」のまま提出する
- なぜNGか:採用担当者が、あなたの入社可能時期を一切判断できません。「配慮が足りない」「注意不足だ」と見なされるリスクがあります。
NG例2:「特になし」と記載する
- なぜNGか:「特になし」ではありません。「現在、在職中である」という、採用担当者が知るべき「重要な前提条件」があるからです。「意欲が低い」と誤解される可能性もあります。
NG例3:「貴社の規定に従います。」とだけ記載する
- なぜNGか:これは、勤務条件(勤務地や給与など)に特に希望がない場合に使う「定型句(じょうとうく)」です。「在職中(=すぐに入社できない)」という、勤務開始時期に関する明確な「条件」があるにも関わらず、この一文だけを記載するのは、状況と矛盾しています。
3. 「在職中・退職予定日未定」の場合の正しい書き方(例文)
「本人希望欄」には、「現在在職中であること」と、「内定をいただいてから、どのくらいの期間で入社可能か」という**「目安」**を、簡潔かつ丁寧に記載するのが正解です。
例文1:最も一般的で無難な書き方
在職中である事実と、一般的な退職交渉・引継ぎ期間(1ヶ月〜2ヶ月程度)を伝える、最も標準的な書き方です。
(本人希望欄 例文)
「現在在職中ですが、内定をいただけた場合、業務の引き継ぎ(引継ぎ)を行い、〇ヶ月程度(または〇週間〜〇ヶ月)での入社が可能です。」
例文2:入社可能日を具体的に伝える書き方
ご自身の会社の就業規則(例:「退職は1ヶ月前に申告」など)が分かっており、引継ぎ期間の目安が立っている場合は、より具体的に記載すると親切です。
(本人希望欄 例文)
「現在在職中です。
業務の引き継ぎ(引継ぎ)に約1ヶ月半ほど要するため、内定をいただいてから、1ヶ月半~2ヶ月後を目安に入社可能となります。」
例文3:「相談可能」という柔軟性を見せる書き方
具体的な期間が読めないが、できるだけ調整する、という柔軟性をアピールする書き方です。
(本人希望欄 例文)
「現在在職中ですが、入社可能日につきましては、内定をいただけた段階で速やかに退職交渉・引き継ぎ(引継ぎ)を行い、柔軟にご相談させていただきたく存じます。」
4. 【重要】「連絡希望時間」もセットで記載する
「在職中」ということは、**「平日の日中は電話に出られない」**ということです。
この配慮の一文を「本人希望欄」に書き添えることは、「退職予定日」を伝えることと同じくらい重要です。
これを書いておかないと、採用担当者からの重要な電話(面接日程の調整など)に出られず、機会損失に繋がる可能性があります。
連絡希望時間の記載例
「現在在職中のため、平日の日中(9:00〜18:00)は電話に出ることが難しい場合があります。
ご連絡は、平日の12時〜13時、または18時以降にお電話いただけますと幸いです。
(または、Eメールにてご連絡いただけますと、確認次第、折り返しご連絡いたします)」
5. 本人希望欄の「完成形」の例文
上記の2つの要素を組み合わせた、丁寧な「本人希望欄」の完成例です。
(本人希望欄 完成例)
「現在在職中ですが、内定をいただけた場合、業務の引き継ぎ(引継ぎ)のため、1ヶ月半~2ヶ月程度での入社が可能です。
また、在職中のため、平日の日中(9:00〜18:00)は電話に出ることが難しい場合があります。
ご連絡は、Eメール、または平日18時以降にお電話いただけますと幸いです。」
6. 結論。「未定」の状況を「誠実」に伝えることが鍵
「在職中で、退職予定日が決まってない」ことは、転職活動において全く不利なことではありません。
採用担当者が不安に思うのは「いつ入社できるか分からない」という「不透明さ」です。
履歴書の「本人希望欄」を正しく活用し、
- 「在職中である」という事実
- 「入社可能時期の“目安”」
- 「連絡がつきやすい時間帯」
この3点を「誠実」に伝えること。その「配慮」こそが、採用担当者からの信頼を得て、書類選考を通過するための鍵となります。





