履歴書の「ハンコ(押印)」は必要? 押す場合の正しいマナーと注意点
転職活動で履歴書を作成する際、「ハンコ(印鑑)は押すべきか?」「押すならどのハンコ?」と悩む方は少なくありません。
かつての履歴書には、氏名欄の横に押印(おういん)欄があるのが一般的でした。しかし、デジタル化の推進や行政手続きの見直しに伴い、履歴書におけるハンコの扱いも大きく変わってきています。
ここでは、現代の転職活動における履歴書のハンコの必要性と、押す場合の正しいマナーについて詳しく解説します。
結論:履歴書へのハンコは「原則不要」に
まず結論から言いますと、現在の転職活動において、履歴書へのハンコ(押印)は「原則不要」です。
その最大の理由は、履歴書の「様式(フォーマット)」そのものが変化しているためです。
近年、厚生労働省が推奨する履歴書様式など、新しく作成・配布されているテンプレートの多くは、そもそも「押印欄(「印」マーク)」が設けられていません。
また、パソコン(PC)で履歴書を作成し、Eメール(PDF)やWebフォームから「ネット提出」することが主流となったため、物理的な押印の文化自体が薄れてきています。
押印がないからといって、選考で不利になることは、まずありません。
「押印欄(印)」がある履歴書の場合はどうする?
とはいえ、市販の履歴書用紙や、会社から指定されたフォーマットに、まだ「押印欄(「印」マーク)」が残っているケースもあります。
この場合は、どう対処すべきでしょうか。
答えは、「欄があるなら、押すのがマナー」です。
押印欄が設けられているにも関わらず、そこが空欄になっていると、採用担当者によっては「押印忘れ(ミス)」あるいは「マナー違反」と受け取る可能性がゼロではありません。
不要なマイナスイメージを避けるためにも、押印欄がある履歴書を使用した場合は、ハンコを押しておくのが最も安全な対応です。
履歴書に押すハンコの「正しい種類」
押印欄がある場合に押すハンコは、何でも良いわけではありません。使用する印鑑には、明確なルールがあります。
【OK】認印(みとめいん)
履歴書に使用するのは、**「認印(みとめいん)」です。
認印とは、役所に登録していない、日常的な確認や受け取り(例:宅配便の受領など)に使うハンコのことです。
必ず、「朱肉(しゅにく)」**を使って押すタイプのものを使いましょう。
【NG】シャチハタ(インク浸透印)
シャチハタ(インク浸透印)は、履歴書には絶対に使用してはいけません。
シャチハタは、朱肉を使わずインクが内蔵されているため手軽ですが、公的な書類やビジネス上の重要な書類には「不向き」とされています。(※印影がゴム製で変形しやすいため)
履歴書も公的な応募書類ですので、シャチハタの使用は「ビジネスマナーを知らない」と判断されるリスクがあります。
【NG】実印・銀行印
これらは、あなたの財産に関わる、最も重要な印鑑です。履歴書に押す必要は一切ありませんし、万が一の紛失や印影の盗難リスクを考えると、持ち出すべきではありません。
ハンコを「きれい」に押すコツと、失敗した場合の対処法
せっかくハンコを押すなら、きれいに押したいものです。
- 押し方のコツ
- 押す前に、印面にゴミがついていないか確認します。
- 朱肉は、印面に均一に、軽くポンポンと叩くようにつけます。(強く押し付けすぎない)
- 履歴書の下に「捺印マット(なついんマット)」(なければ、コピー用紙を数枚重ねたもの)を敷くと、ムラなく押せます。
- 押印欄の枠に対して、印影がまっすぐになるように狙いを定め、真上から垂直に力を加えて押します。
もし、押印に「失敗」したら?(かすれ・傾き・二重)
手書きの履歴書と同様、ハンコの押し直し(二重押し)や、修正液・訂正印での修正は、絶対にNGです。
押印に失敗した履歴書は、それだけで「準備不足」「雑な仕事」という印象を与えてしまいます。
どれだけ本文が完璧に書けていたとしても、その履歴書は破棄し、**必ず「新しい用紙に、最初からすべて書き直す(または印刷し直す)」**のが、唯一の正しい対処法です。
パソコン作成・データ提出の場合のハンコ
1. パソコン作成 → 印刷して提出する場合
パソコンで履歴書を作成し、それを「印刷」して郵送・持参する場合。もし使用したテンプレートに「押印欄」があるなら、印刷した「紙」の上に、朱肉の認印を直接押します。
2. パソコン作成 → データ(PDF)でネット提出する場合
これが現在の主流ですが、この場合は押印は一切不要です。
押印欄があるフォーマットであったとしても、データ提出の場合は、その欄は空欄のままで問題ありません。
わざわざハンコを押したものをスキャンしたり、ハンコの画像(印影データ)を作成して画像として貼り付けたりする応募者もいますが、かえって不自然であり、そこまでする必要は全くありません。
結論。押印欄の「有無」で判断しよう
履歴書のハンコについては、以下の3点を押さえておけば問題ありません。
- 「押印欄」がなければ、ハンコは一切不要。
- 「押印欄」があるフォーマットを使った場合は、朱肉の「認印」を押すのがマナー。
- データ(PDF)でネット提出する場合は、押印欄があっても「押印不要」。
採用担当者は、ハンコの有無そのものよりも、「フォーマットの指示(押印欄の有無)に従って、適切に対処できるか」という「丁寧さ」を見ています。ルールに従って、自信を持って提出しましょう。





