履歴書の「業務委託」。契約「終了」の正しい書き方
転職活動で履歴書を作成する際、「業務委託」として働いていた期間の「終了」を、職歴欄にどう書けばよいか、悩む方は少なくありません。
「『退社』や『退職』と書いても良いのか?」
「契約が終わったことを、どう表現するのが適切か?」
こうした疑問は、あなたの経歴を正確に伝える上で非常に重要です。業務委託は「雇用契約」とは異なるため、その「終了」の仕方にも、正しいビジネスマナーが存在します。
ここでは、採用担当者に誤解を与えず、あなたの経歴を誠実に伝えるための「業務委託 終了」の書き方を詳しく解説します。
1. 「業務委託」で「退社」「退職」は使わないのが原則
まず、これが最も重要なルールです。
「入社」「退社」「退職」といった言葉は、企業と「雇用契約」を結んでいる**従業員(正社員、契約社員、アルバイトなど)**が使うものです。
「業務委託」は、雇用契約ではなく、対等な立場での「業務(仕事)に関する契約」です。
したがって、職歴欄に**「退社」や「退職」と記載するのは、厳密には不正確です。**
もし「退社」と記載してしまうと、採用担当者は「正社員(または契約社員)として雇用されていた」と誤解する可能性があります。
その結果、入社手続き(雇用保険の履歴確認など)の段階で話の辻褄(つじつま)が合わなくなり、「経歴詐称」として信頼を失うリスクがあります。
2. 【最重要】業務委託の「終了」を示す正しい言葉
では、「退社」の代わりに何と書けばよいのでしょうか。
それは、客観的な事実を示す、以下の言葉です。
- 「契約期間満了により終了」→ 契約で定められた期間が終わり、契約を終了(更新しなかった)した場合。これが最も一般的で、角が立たない書き方です。
- 「契約終了」→ 期間の定めがない契約などを、双方合意の上で終了した場合など。
- 「業務終了」→ プロジェクト単位の契約で、その業務が完了したことによって契約が終わった場合。
3. ケース別:「業務委託 終了」の履歴書・職歴欄への書き方(例文)
職歴欄には、契約の「開始」と「終了」をセットで記載します。
ケース1:特定の企業と「業務委託契約」をしていた場合
「入社」の代わりに「契約締結」、「退社」の代わりに「契約満了により終了」などを使います。
【書き方 例文1:契約期間満了】
2020年 4月 株式会社〇〇と業務委託契約を締結
(Webデザイナーとして、△△(サイト名)の運用・保守業務に従事)
2024年 3月 契約期間満了により終了
【書き方 例文2:自己都合で契約を終了】
もし、契約期間の途中などで、ご自身の都合(例:転職活動のため)で契約を終了した場合は、「一身上の都合」という言葉を使うことも可能です。
(ただし、雇用契約ではないため、「退社」ではなく「終了」とします)
2020年 4月 株式会社〇〇と業務委託契約を締結
2024年 3月 一身上の都合により契約終了
ケース2:フリーランス(個人事業主)として活動していた場合
「開業」という言葉で始まり、活動を終了した場合は**「廃業(はいぎょう)」**という言葉を使うのが、最も正式な書き方です。
【書き方 例文3:フリーランスの廃業】
2021年 5月 フリーランスWebライターとして開業(または、活動開始)
(主な業務内容:IT系コラム執筆、SEO記事作成、取材・インタビュー業務)
2025年 3月 一身上の都合により廃業
(※「転職活動に専念するため活動終了」といった、事実に基づいた書き方でも問題ありません)
4. 「契約終了」の記載が、転職で不利になることはない
「契約期間満了」や「契約終了」と書くと、「何か問題があって契約を切られたのでは?」と不安に思う必要は、全くありません。
採用担当者も、「業務委託」とは、プロジェクトや期間に応じて契約し、それが終われば「終了」するのが通常(当たり前)の働き方であると理解しています。
「契約期間満了」は、ネガティブな退職理由ではなく、**「任された契約を、最後まで全(まっと)うした」**という、むしろポジティブな「職務完了」の証です。
5. 結論。「終了」の事実は、正確かつ誠実に記載しよう
転職活動において、最も避けるべきは、履歴書に「説明のつかない空白期間(ブランク)」を作ってしまうことです。
「業務委託」の経験は、あなたの「専門性」や「自己管理能力」を証明する、立派なキャリアです。
「退社」といった誤解を招く言葉は使わず、「契約期間満了により終了」といった「客観的な事実」を正確に記載すること。
その誠実な姿勢が、採用担当者からの信頼を得るための鍵となります。





