履歴書の「行が足りない」。職歴・資格欄あふれる時の正しい書き方と対処法
転職活動(中途採用)で履歴書を作成する際、これまでの経験や取得した資格が多いと、「職歴欄の行が足りない」「資格欄に書ききれない」といった問題に直面することがあります。
アピールしたいことが多いのは良いことですが、その「書き方」や「収め方」には、採用担当者への「配慮」とビジネスマナーが問われます。
ここでは、履歴書の行が足りなくなった場合の、正しい対処法と、やってはいけないNG例について詳しく解説します。
1. 【NG】絶対にやってはいけない「行が足りない」時の対処法
まず、採用担当者に「配慮が足りない」「仕事が雑だ」という致命的なマイナスイメージを与えてしまう、NGな対処法から確認しましょう。
NG1:欄外(らんがい)に記入する
これが最もやってはいけないNG例です。
履歴書のフォーマット(枠線)を無視して、枠の外の余白(欄外)に文字を書き足すのは、ビジネスマナー違反です。採用担当者にとっては非常に読みにくく、「ルールを守れない人だ」と判断されます。
NG2:極端に小さな文字で、枠内にぎっしり詰め込む
欄外にはみ出していなくても、アピールしたい一心で、枠内に余白がなくなるほど小さな文字でぎっしり詰め込むのも逆効果です。
採用担当者は「読みにくい」と感じた瞬間に、読む意欲を失ってしまいます。「要約能力がない」「読み手への配慮がない」と、マイナスの評価に繋がります。
NG3:職歴の一部を「省略」する
転職回数を少なく見せようと、短期間の職歴などを意図的に「省略(記載しない)」することは、**「経歴詐称(けいれきさしょう)」**にあたります。
入社手続き(雇用保険の履歴確認など)で必ず発覚するため、絶対にやってはいけません。
2. 履歴書の「役割」を再確認する(なぜ行が足りなくなるか)
転職(中途採用)の応募書類は、「履歴書」と「職務経歴書」の2点セットで提出するのが基本です。この「役割分担」を理解することが、行が足りない問題を解決する鍵となります。
- 履歴書あなたの「プロフィール」や「索引(インデックス)」です。採用担当者が「概要」を把握する書類です。
- 職務経歴書あなたの「具体的な実績」や「スキル」をアピールする「プレゼンテーション資料」です。
履歴書の行が足りなくなる最大の理由は、履歴書の「職歴」欄に、職務経歴書で書くべき「詳細な業務内容」まで詰め込もうとしているケースがほとんどだからです。
履歴書の職歴欄は、あくまで「いつ、どの会社に在籍していたか」という「事実」を簡潔に示す場所です。
3. 【解決策1】パソコン(PC)で作成し、行を増やす(最強の解決策)
現代の転職活動において、最も合理的で、最も推奨される解決策です。
職歴欄の行が足りない場合
手書きの履歴書用紙では行数が固定されていますが、パソコン(PC)で作成する場合、テンプレート(雛形)の「行を増やす」ことは自由自在です。
転職回数が多く、職歴欄の行数が物理的に足りない場合は、WordやExcelの「行の挿入」機能を使って、必要な分だけ行を足して作成すれば、何の問題もありません。
転職(中途採用)は「A4サイズ・PC作成」が標準
転職活動では、職務経歴書とサイズを合わせるため「A4サイズ」の履歴書を使うのが一般的です。
インターネット上で無料ダウンロードできる、職歴欄が多めに設定された「転職者用」のテンプレート(雛形)を活用するのも良い方法です。
4. 【解決策2】「手書き」の場合の対処法
もし、企業から「手書き指定」がある場合や、手書きで作成していて行が足りなくなった場合は、以下の対処法があります。
1. 職歴欄が多い「転職者用」の用紙を買い直す
これが、手書きにおける最も正しい対処法です。
市販の履歴書用紙には、JIS規格のもの(職歴欄が少なめ)と、職歴欄が2ページにわたって設けられているような「転職者用」があります。「転職者用」の用紙を買い直しましょう。
2. 業務内容の記載を「最小限」にする
履歴書の職歴欄には、「株式会社〇〇 入社」「株式会社〇〇 一身上の都合により退社」といった、「事実」だけを時系列で記載します。
「〇〇の業務に従事」といった詳細な業務内容の記載は、履歴書では省略(または最小限に)し、その詳細は全て「職務経歴書」の方でアピールする、という「役割分担」を徹底します。
5. 【解決策3】「免許・資格」欄が足りない場合
職歴欄とは異なり、「免許・資格」欄は「別紙参照」というテクニックが使いやすい項目です。
1. 業務に「関連する資格」を優先的に書く
まず、応募先の業務内容(例:不動産なら宅建、経理なら簿記)や、必須スキル(例:普通自動車運転免許)を優先して、欄の上から記載します。
2. 書ききれない資格を「別紙参照」にする
欄の最後に、以下のように記載し、詳細は「職務経歴書」でアピールします。
【書き方 例】
(欄の最後の行に)
その他、保有資格は職務経歴書(別紙)に記載
そして、職務経歴書に「保有資格」という項目を設け、履歴書に書ききれなかった資格一覧を記載します。
6. 【解決策4】「学歴」欄が足りない場合
もし「学歴」欄が足りなくなっている場合、小・中学校から記載している可能性があります。
転職(中途採用)の履歴書では、学歴は**「最終学歴の一つ前」**から記載するのが一般的です。(例:大学卒業なら、高校卒業から)。
義務教育(小・中学校)は省略して問題ありません。
7. 結論。履歴書は「読みやすさ」が命
履歴書の行が足りなくなった際、最もやってはいけないのは、「読み手(採用担当者)の読みやすさ」を無視して、欄外に書いたり、小さな文字で詰め込んだりすることです。
あなたの「要約能力」や「配慮」が問われています。
PC作成でフォーマット(行数)を調整するか、手書きの場合は「職務経歴書」との役割分担を徹底し、すっきりと見やすい書類を作成することを心がけましょう。





