履歴書の「コピー」に関する疑問。提出時のマナーと控えの重要性
履歴書のコピー。二つの異なる意味
転職活動において「履歴書のコピー」という言葉が使われる際、実は二つの全く異なる場面が想定されます。一つは「企業に提出するために、作成した履歴書をコピーする」ケース、そしてもう一つは「提出した内容を忘れないよう、控えとしてコピーする」ケースです。これらは似ているようで、ビジネスマナーや転職活動の成否において、その意味合いは大きく異なります。それぞれの正しい取り扱いについて解説いたします。
企業に提出する履歴書は「原本」が原則
まず、応募先の企業に提出する履歴書は、必ず「原本」でなければなりません。ここでいう原本とは、手書きであれば応募者の直筆で作成されたそのもの、パソコン作成であればデータから直接印刷されたものを指します。
手書き履歴書のコピー提出は厳禁
手書きで心を込めて作成した履歴書であっても、それをコピー機で複製し、別の企業に提出することはビジネスマナーとして絶対に避けなければなりません。採用担当者は、「使い回しの書類だ」と瞬時に見抜きます。それは「自社への志望度が低い」「手間を惜しむ人物」といった、極めてマイナスな印象を与えることになりかねません。必ず一社一社、丁寧に原本を作成してください。
パソコン作成の場合の「コピー」と「印刷」
パソコンで履歴書データを作成した場合、そのデータを「印刷」したものが「原本」となります。一度印刷した履歴書を、さらにコンビニなどで「コピー(複写)」して提出することは推奨されません。コピー(複写)は、印刷に比べてどうしても画質が劣り、文字が不鮮明になったり、汚れがついたりする可能性があるためです。パソコンで作成した場合は、企業に提出する都度、データから直接「印刷」する習慣をつけましょう。
最も重要な「控え」としてのコピー
履歴書のコピーに関して、応募者ご自身のために「必須」となるのが、提出前の「控え」を取っておくことです。書類選考が無事に通過した場合、次に来るのは面接です。面接官は、あなたが提出した履歴書(原本)を手元に置き、そこに書かれた内容に基づいて質問をしてきます。
なぜ「控え(コピー)」が必要不可欠なのか
もし、ご自身が提出した履歴書に何を書いたかを正確に覚えていなかったらどうなるでしょうか。志望動機や自己PR、あるいは過去の職務経歴について、面接での回答と履歴書の記載内容に少しでも食い違い(齟齬)が生じれば、採用担当者はあなたの発言の信頼性に疑問を抱くことになります。特に複数の企業に同時に応募している場合、どの企業にどの内容で提出したかを完璧に記憶しておくことは困難です。この「控え」こそが、面接対策の最も基本的な資料となるのです。
控え(コピー)を取るタイミングと方法
手書きで履歴書を作成した場合は、証明写真を貼り、すべての記入を終えた「封筒に入れる直前」の完璧な状態のものを一部コピーし、保管してください。コンビニエンスストアのマルチコピー機などを利用するのが便利です。
パソコンで作成した場合は、提出用に印刷したPDFデータやWord、Excelのファイルそのものが「控え」となります。これを必ずPCやクラウドストレージに「応募先企業名」がわかるように保存しておきましょう。
丁寧な準備が面接での自信につながる
「提出する書類は原本で」、「控えは必ず保管する」。この二つのルールを守ることは、単なるマナーの問題ではなく、書類選考のその先にある面接を成功に導くための重要な準備作業です。細部まで気を配れる姿勢が、採用担当者からの信頼獲得につながります。





