履歴書の「病院名」。医療法人の記載は必須? 正しい書き方
転職活動で履歴書の「職歴」欄を作成する際、病院やクリニックでの勤務経験の書き方で、「医療法人(いりょうほうじん)」という法人名まで書くべきか、悩む方は少なくありません。
「〇〇病院、と病院名だけ書けば伝わるのでは?」
「正式名称が長くて、枠に収まらない」
こうした疑問は当然のことです。しかし、履歴書は公的な応募書類です。採用担当者(特に医療・福祉業界)は、こうした細かな部分からも、応募者の「ビジネスマナーへの理解度」や「仕事の正確性」を見ています。
ここでは、病院名を記載する際の「医療法人」の正しい扱い方について詳しく解説します。
1. 結論:「医療法人」の記載は「必須」
まず結論から言いますと、職歴欄には、病院名だけでなく、その運営母体である「医療法人名」もセットで記載するのが、ビジネスマナーとしての「正解」です。
「〇〇病院」というのは、あくまで「施設名(屋号)」です。
あなたが雇用契約を結んでいたのは、その施設を運営する「法人」であるため、履歴書にはその法人の正式名称を記載する義務があります。
2. なぜ「医療法人」の記載が重要なのか
1. 「正式名称」で書くのがビジネスマナーの基本
履歴書の職歴欄には、前職の会社名を「(株)」などと略さず、「株式会社〇〇」と書くのが鉄則です。
これと全く同じで、「医療法人社団〇〇会」といった法人名も、省略せずに記載するのが公的書類としての基本ルールです。
2. 「仕事の正確性」のアピールになる
特に、病院やクリニックといった医療の現場では、患者様の情報や薬剤の管理など、「小さなミスも許されない」という高いレベルの「正確性」が求められます。
履歴書の法人名を省略せず、正確に記載できる姿勢は、それ自体が「この人は、細部まで気を配れる、丁寧な仕事ができる人だ」というアピールに繋がります。
3. 「入職」と「入社」の使い分けのため
「医療法人」や「社会福祉法人」といった非営利組織の場合、職歴欄には「入社」ではなく**「入職(にゅうしょく)」**という言葉を使うのが、より正確な書き方です。
運営母体が「株式会社」(営利企業)なのか「医療法人」なのかを明確にすることで、この「入職」という言葉を正しく使うことができます。
3. 「医療法人名」の正しい調べ方
「働いていた病院の、正式な法人名が分からない」という場合は、以下の方法で簡単に確認できます。
- 病院の公式ホームページ→ 必ず「法人概要」「病院概要」「施設概要」といったページがあります。そこに「開設者:医療法人社団〇〇会」といった形で、正式名称が記載されています。
- 過去の「雇用契約書」や「給与明細」→ あなたと契約を結んだ「雇用主」として、正式な法人名が記載されているはずです。
4. 【例文】履歴書「職歴」欄への具体的な書き方
上記のルールを踏まえると、職歴欄には以下のように記載します。(※年号は、履歴書全体で西暦か和暦かに統一します)
NGな書き方(法人名が抜けている)
- (NG例)〇〇病院 入社
- (NG例)〇〇病院 入職
OKな書き方(医療法人名を記載)
【記載例1:医療法人の病院に勤務した場合】
2018年 4月 医療法人社団〇〇会 △△総合病院 入職
(看護部(〇〇病棟)に配属。看護師として勤務)
2024年 10月 一身上の都合により退職
【記載例2:株式会社が運営するクリニックの場合】
(※この場合は「株式会社」が正式名称であり、「入社」を使います)
2020年 5月 株式会社〇〇メディカル(△△クリニック) 入社
(医療事務として、受付およびレセプト業務に従事)
2025年 3月 現在に至る
5. 結論。病院名の「法人格」の確認は、丁寧さの証
履歴書における「医療法人」の記載は、小さな項目のように見えますが、あなたの「ビジネスマナーへの理解度」と「仕事の正確性」を示す、重要なポイントです。
「たかが法人名」と手を抜かず、公式ホームページなどで正式名称を正確に調べ、記載すること。
その「ひと手間」を惜しまない丁寧な姿勢こそが、医療・福祉の現場(あるいは一般企業)で求められる「正確性」や「信頼性」をアピールする、あなたの最初の一歩となります。





