履歴書の「力を注いだこと(打ち込んだこと)」書き方ガイドと厳選例文集
就職・転職活動の履歴書において、「学生時代に力を注いだこと(ガクチカ)」や「これまでに最も打ち込んだこと」という項目は、採用担当者が応募者の人柄やポテンシャルを判断する重要な材料です。
しかし、「全国大会のような華々しい実績がない」「趣味程度のことしか思いつかない」と悩み、筆が止まってしまう方は少なくありません。
実は、採用担当者が見ているのは「成果の大きさ」ではなく、**「何かに取り組む際の姿勢」と「プロセス」**です。
ここでは、あなたの経験を魅力的なアピール材料に変えるための書き方の鉄則と、アルバイト・部活動・学業・趣味など、テーマ別の具体的な例文を紹介します。
採用担当者は「打ち込んだこと」で何を見ているのか
例文を作る前に、評価のポイントを理解しておきましょう。ここを外さなければ、特別なエピソードでなくても十分に評価されます。
- モチベーションの源泉(何に熱中できるか)あなたがどのようなことに興味を持ち、情熱を注げる人間なのか。自社の仕事内容や風土とマッチするかを見ています。
- 課題解決へのプロセス(どう工夫したか)壁にぶつかったとき、あるいは目標を達成するために、どのように考え、行動したか。「思考力」と「行動力」が評価されます。
- 継続力とストレス耐性一つのことに長く取り組める継続力や、困難な状況でも投げ出さない粘り強さがあるかを確認しています。
評価される文章構成「4段構成」の鉄則
読みやすく、説得力のある文章にするためには、以下の4つのステップで構成するのが黄金パターンです。
- 【結論】 何に打ち込んだのか(タイトル)
- 【動機・課題】 なぜ始めたのか、どんな壁があったのか
- 【行動・工夫】 具体的に何をしたのか(※ここを一番詳しく!)
- 【結果・学び】 その結果どうなり、何を学んだか(仕事への活かし方)
【テーマ別】履歴書の「打ち込んだこと」例文集
ここからは、そのまま参考にできる具体的な例文をテーマ別に紹介します。ご自身の経験に合わせてアレンジしてください。
1. アルバイト・接客経験の例文
【アピールポイント】 課題発見力、提案力、数字への意識
【カフェのアルバイトで「客単価の向上」に尽力】
私はカフェでのアルバイトにおいて、客単価の向上に力を注ぎました。
当初、店舗の売上が伸び悩んでいる現状を知り、自分にもできることはないかと考えました。観察の結果、ドリンクのみを注文するお客様が多いことに気づき、「セットメニューの提案不足」が課題だと仮説を立てました。
そこで、レジ横に手作りの「おすすめペアリング表」を設置し、注文時にお客様の好みに合わせたフードを一言添えて提案することを徹底しました。また、他のスタッフにも声をかけ、チーム全体で提案活動を行いました。
その結果、半年後には客単価を平均50円アップさせることに成功しました。この経験から、小さな工夫の積み重ねが大きな成果に繋がること、チームで目標を追う楽しさを学びました。
2. 部活動・サークル活動の例文
【アピールポイント】 チームワーク、サポート力、継続力
【サッカーサークルでの「練習参加率の改善」】
大学のサッカーサークルで副代表として、組織の活性化に打ち込みました。
所属人数は50名いましたが、練習への参加率が低下し、活動が形骸化していることが課題でした。私は「初心者が参加しづらい雰囲気がある」と考え、実力に関わらず楽しめる練習メニューの導入を提案しました。また、SNSを活用して練習風景を配信し、活動の楽しさを可視化しました。
地道な勧誘と環境づくりを続けた結果、練習参加率を30%から80%まで回復させることができました。この経験を通じ、組織の課題に対して当事者意識を持ち、周囲を巻き込んで解決する重要性を学びました。
3. 学業・資格取得・研究の例文
【アピールポイント】 計画性、忍耐力、専門性
【TOEIC 800点取得に向けた「学習の習慣化」】
私は、苦手だった英語を克服し、TOEIC 800点を取得することに全力を注ぎました。
当初はスコアが500点台で伸び悩んでいましたが、原因は「学習のムラ」にあると分析しました。そこで、毎日必ず2時間は学習時間を確保すると決め、通学時間や隙間時間を活用するスケジュール管理を徹底しました。また、単語、リスニング、リーディングの弱点分野を可視化し、重点的に対策を行いました。
1年間の継続学習の末、目標の800点を達成することができました。この経験から、高い目標であっても、計画を立ててコツコツと努力を継続すれば達成できるという自信を得ました。
4. 趣味・習い事の例文
【アピールポイント】 探究心、継続力、アウトプット能力
【独学での「Webサイト制作」と情報発信】
私は趣味のブログ運営を通じて、Webサイト制作と情報発信に打ち込みました。
当初は既成のデザインを使用していましたが、より読みやすく魅力的なサイトにしたいと考え、独学でHTML/CSSやWordPressのカスタマイズを学びました。読者の検索意図を考えた記事構成や、デザインの改善を繰り返し、PDCAを回し続けました。
その結果、月間1万PVを達成し、読者から「分かりやすい」という感想をいただけるようになりました。この経験で培った、自ら学びスキルを習得する姿勢と、相手の視点に立ったアウトプット力は、貴社の業務にも活かせると確信しています。
5. 社会人経験(仕事)の例文
※転職活動で「打ち込んだこと」を聞かれた場合
【前職での「業務マニュアル作成」による効率化】
前職の営業事務において、業務の属人化解消に最も力を注ぎました。
部署内で特定の担当者しか対応できない業務が多く、欠勤時にトラブルが発生しやすい状況でした。私はチーム全体の生産性を高めたいと考え、主要業務の手順を可視化したマニュアル作成を提案し、実行しました。スクリーンショットを多用し、誰が見ても分かる内容にこだわりました。
その結果、新人教育の時間が従来の半分に短縮され、部署全体の残業時間を月平均10時間削減しました。現状に満足せず、組織全体の課題を見つけて改善する姿勢を、貴社でも発揮したいと考えています。
「書くことがない」と悩む方へのアドバイス
特別な実績がなくても大丈夫です。**「当たり前のことを、高い基準で継続したこと」**も立派な「打ち込んだこと」になります。
- 無遅刻無欠席:「体調管理を徹底し、3年間無遅刻無欠席で講義(仕事)に出席しました。これは信頼関係の基本だと考えています」
- ランニングや筋トレ:「毎日5kmのランニングを2年間継続しています。雨の日もジムに行くなど工夫し、一度決めたことをやり抜く継続力を養いました」
- 読書:「年間100冊の本を読むことに打ち込みました。多様な価値観に触れることで視野を広げ、要点をノートにまとめることで要約力を磨きました」
まとめ:エピソードの「大小」よりも「プロセス」
履歴書の「打ち込んだこと」は、あなたがどんな人物かを伝えるための絶好のスペースです。
「全国大会優勝」のような派手な結果である必要はありません。たとえ地味な活動であっても、**「なぜ取り組み、どう工夫し、何を学んだか」**が具体的に書かれていれば、採用担当者の心を動かすことができます。
ご自身の経験を振り返り、自信を持ってエピソードを書き上げてください。その熱意が、次のステージへの扉を開く鍵となります。





