履歴書の「部署異動」の書き方。転職でアピールになる正しい記載法
転職活動(中途採用)で履歴書を作成する際、「職歴」欄の書き方で迷うポイントの一つが、同じ会社内での「部署異動(ぶしょいどう)」の経験です。
「異動の経験は、そもそも職歴欄に書くべき?」
「書き方が分からないと、転職回数が多いと誤解されないか?」
こうした疑問は当然のことです。
しかし、結論から言いますと、部署異動の経験は、あなたの「適応力」や「経験の幅」を示す、非常に強力なアピールポイントとなります。
採用担当者は、あなたが「なぜ異動したのか」「異動先で何をしていたのか」を把握したいと考えています。
ここでは、採用担当者に誤解を与えず、あなたのキャリアを正しく、かつ魅力的に伝えるための「部署異動」の書き方について、詳しく解説します。
1. なぜ「部署異動」を履歴書に書くべきなのか
まず、「部署異動」は「転職」とは全く異なります。同じ会社(同一法人)内での配置転換ですので、職歴が増える(転職回数が増える)ことにはなりません。
むしろ、中途採用において、部署異動の経験を正しく記載することには、大きなメリットがあります。
- 「適応力」「柔軟性」のアピール→ 新しい部署の業務や、異なる人間関係に、スムーズに適応できる人材であることの証明になります。
- 「幅広いスキル・視野」のアピール→ 一つの業務だけでなく、複数の分野(例:営業と企画、製造と品質管理など)を経験していることで、ビジネスを多角的に理解していると評価されます。
- 「社内評価」の証明→ 会社から「別の部署(新しいミッション)も任せられる」と判断された、というポジティブな評価の証(あかし)とも受け取れます。
- 経歴の「一貫性」の説明→ もし異動によって担当業務が大きく変わった場合、その「事実」を記載しないと、職務経歴書との内容にズレが生じ、採用担当者が混乱する原因となります。
2. 【最重要】「部署異動」の履歴書・職歴欄への正しい書き方
では、具体的に職歴欄にどう書けばよいのでしょうか。
ポイントは、**「いつ」「どの部署から」「どの部署へ」**異動したかを、時系列に沿って簡潔に示すことです。
1. 「入社」と「配属」を記載する
まず、その会社に入社した事実と、最初に配属された部署を記載します。
(記載例)
2015年 4月 株式会社〇〇 入社
営業部 第一グループに配属
2. 「異動」した年月と、異動先を記載する
次に、異動した「年月」と、「異動先の部署名」を、行を改めて記載します。
「異動」という言葉をそのまま使っても良いですし、「配属」という言葉を使っても構いません。
(記載例)
2019年 10月 人事部 人事課へ異動
(または「人事部 人事課に配属変更」など)
3. 【例文】職歴欄への具体的な書き方
上記のルールを踏まえると、職歴欄には以下のように記載します。(※年号は、履歴書全体で西暦か和暦かに統一します)
記載例1:異動が1回あった場合
(学歴)
((学歴を記載))
(職歴)
2015年 4月 株式会社〇〇 入社
営業部 第二課に配属
(〇〇(商材)の法人営業に従事)
2020年 4月 マーケティング部 企画課へ異動
(Webマーケティング、および販促企画を担当)
2025年 3月 現在に至る
以上
(※「以上」は、行の右端に記載します)
記載例2:異動と「昇格(昇進)」が同時だった場合
もし、異動と同時に「主任」や「係長」といった役職に昇格(昇進)した場合は、それも併記することで、キャリアアップの経緯が明確になり、非常に強力なアピールとなります。
(記載例)
2021年 4月 企画開発部 主任に昇格(同部へ異動)
4. 履歴書と「職務経歴書」の役割分担
「部署異動」のアピールで最も重要なのが、この「役割分担」です。
- 履歴書 = あなたの「索引(インデックス)」→ 職歴欄には、「〇〇部へ異動」という**「事実」**だけを簡潔に書きます。
- 職務経歴書 = あなたの「プレゼンテーション資料」→ こちらが「本番」です。
- 「なぜ、その異動があったのか(例:新規プロジェクト立ち上げのため、など)」
- 「異動前の部署で培ったスキルを、異動先でどう活かしたか」
- 「異動先で、具体的にどのような実績(数字)を上げたのか」といった**「詳細なストーリー」と「アピール」**は、職務経歴書の方で具体的に展開します。
履歴書に「異動」という「見出し(フック)」を書いておくことで、採用担当者は「この人のキャリアには幅があるな。職務経歴書で詳しく見てみよう」と、興味を持ってくれるのです。
5. 結論。部署異動は「強み」。隠さず、正しく記載しよう
履歴書において、「部署異動」の経験は、決してマイナスではありません。
それは、あなたの「キャリアの幅」と「環境への適応力」を証明する、立派な「職歴」です。
転職回数が多いと誤解されないよう、**「同じ会社内での異動である」**ことが明確に伝わるように、時系列に沿って「〇〇部へ異動」と正しく記載すること。
その「丁寧さ」と「客観的な事実」が、採用担当者からの信頼を得るための鍵となります。





