履歴書の「文末」。です・ます? だ・である? 転職で評価される正しい語尾の使い方
転職活動(中途採用)で履歴書を作成する際、志望動機や自己PRといった文章の「文末(ぶんまつ)」(語尾)を、どのように書くべきか悩む方は少なくありません。
「『です・ます』調と、『だ・である』調、どちらが適切か?」
「そもそも、文末を統一する必要はあるのか?」
「職歴欄の最後は、どう締めくくるのが正しい?」
履歴書は、あなたの第一印象を決める公的な応募書類です。採用担当者は、そこに書かれた「言葉遣い(語尾)」からも、あなたの「人柄」や「ビジネスマナー」、「仕事の丁寧さ」を無意識のうちに判断しています。
ここでは、採用担当者に好印象を与える、履歴書の「文末」の正しいルールについて詳しく解説します。
1. 【最重要】「です・ます」調と「だ・である」調の混在は絶対NG
まず、履歴書作成における絶対のルールは、**「文末のスタイルを統一する」**ことです。
(※ただし、後述する「職歴欄」などは例外となる場合があります)
最も避けるべきなのは、同じ「志望動機」の欄の中で、
「(書き出し)貴社の〇〇に魅力を感じています。…(中略)…貴社に貢献できると考える。(終わり)」
といったように、**「です・ます」調(丁寧語)と「だ・である」調(常体)が「混在」**してしまうことです。
このような書類は、採用担当者に「注意力が不足している」「仕事が雑だ」「読み手への配慮がない」といった、致命的なマイナスの印象を与えてしまいます。
2. 転職(中途採用)では、どちらの文末を選ぶべきか
では、「です・ます」調と「だ・である」調、どちらで統一するのが正解なのでしょうか。
結論から言いますと、履歴書においては「です・ます」調で統一するのが、最も一般的で、丁寧な印象を与えるため推奨されます。
1. 「です・ます」調(丁寧語)
- (例):「〜です」「〜しました」「〜と考えています」
- 印象:丁寧で、誠実、かつ柔らかな印象を与えます。
- 適した欄:
- 志望動機
- 自己PR
- 長所・短所
- 趣味・特技といった、「あなた自身の言葉で、採用担当者に語りかける」欄は、全て「です・ます」調で統一するのが基本です。
2. 「だ・である」調(常体)
- (例):「〜である」「〜した」「〜と考える」
- 印象:客観的で、力強く、断定的な印象を与えます。
- 適した欄:
- 「職務経歴書」(応募書類のもう一方)では、客観的な事実や実績を簡潔に示すために、この「だ・である」調(または、後述する「体言止め」)が使われるのが一般的です。
- 履歴書においては、基本的には「です・ます」調を使い、あえて「だ・である」調を使う必要はありません。
3. 「学歴・職歴」欄の「文末」ルール
「です・ます」調で統一すると決めた場合でも、「学歴」や「職歴」の欄の文末は、少しルールが異なります。
1. 客観的な事実の「文末」
学歴や職歴の各行(「〇〇大学 卒業」「株式会社〇〇 入社」など)は、「です・ます」を付ける必要はありません。
「〇〇大学を卒業しました」と書くのは冗長(じょうちょう)です。「卒業」「入社」「退社」といった、名詞や動詞の形で簡潔に記載します。
2. 職歴欄の「締めくくり」の文末
職歴欄の最後をどう締めくくるかは、あなたの「現在の状況」によって、決まった文末のルールがあります。
【ケース1:現在も在職中の場合】
最後の職歴の「次の行」に**「現在に至る」と左寄せで記載し、
「さらに次の行」に「以上」**と右寄せで記載します。
(記載例)
2020年 4月 株式会社〇〇 入社
営業部に配属
現在に至る
以上
【ケース2:すでに退職済みの場合】
最後の職歴に「退職理由」を記載し、
「次の行」に**「以上」**と右寄せで記載します。
(記載例)
2020年 4月 株式会社〇〇 入社
2025年 10月 一身上の都合により退社
以上
この「以上」という文末は、「私の学歴(または職歴)は、ここで終わりです」という区切りを明確に示すための、必須の記載ルールです。
4. 採用担当者に響く「志望動機・自己PR」の文末
「です・ます」調で統一すると決めた上で、採用担当者に「自信」や「熱意」を伝えるための「言葉選び」も重要です。
転職(中途採用)で求められるのは「即戦力」です。語尾が弱々しいと、ご自身の経歴やスキルに自信がないように見えてしまいます。
避けるべき「弱い」文末(NG例)
- NG:「〜と思います」→ 多用すると、「あなたの経験なのに、なぜ他人事(ひとごと)のようなのか」と、主体性や自信のなさを感じさせます。
- NG:「〜のようです」「〜かもしれません」→ 憶測(おくそく)や曖昧な表現は、ビジネス文書である履歴書には不向きです。
- NG:「〜学ばせていただきたいです」→ 「受け身(学生気分)」の姿勢と見なされます。
評価される「主体的な」文末(OK例)
ご自身の経験やスキルを、事実として「断定的に」、かつ「貢献意欲」が伝わるように記載します。
- OK:「〜です」「〜しました」→ 経験や事実を、客観的に記載します。
- OK:「〜と考えています」→ 「〜と思います」よりも、ご自身の分析や思考に基づいた、主体的な意見として伝わります。
- OK:「〜に貢献できます」「〜が可能です」→ ご自身のスキルが、入社後にどう活かせるかを明確に示します。
- OK:「〜と確信しています」→ 志望動機などを締めくくる、強い熱意を示す言葉です。
5. 結論。文末は「自信」と「一貫性」の表れ
履歴書の「文末(語尾)」は、あなたの人柄やビジネススキルを映す鏡です。
- 「志望動機」や「自己PR」欄は、「です・ます」調で統一する。
- 「学歴・職歴」欄の最後は、ルール通り**「以上」**で締めくくる。
- 「〜と思います」といった「弱い」語尾を避け、「〜に貢献できます」といった「主体的な」語尾を選ぶ。
この3つのルールを守ることが、採用担当者に「この人は信頼できるビジネスパーソンだ」という安心感を与える、確実な第一歩となります。





