履歴書の志望動機「子育てとの両立」はどう書く?採用担当者を安心させる例文と書き方
子育て中の転職活動において、履歴書の志望動機欄は非常に悩ましいポイントです。「子育てと両立しやすい環境だから」というのが本音だとしても、それをそのまま書くと「仕事への意欲が低い」「権利ばかり主張する」と受け取られかねません。
採用担当者が求めているのは、**「限られた時間の中でも、プロとして責任を持って成果を出してくれる人」**です。
ここでは、子育て中であることをハンデにせず、むしろ「段取り力」や「高い生産性」という強みに変えてアピールするための志望動機の書き方と、状況別の具体的な例文を紹介します。
採用担当者が「子育て中の応募者」に懸念している2つのこと
例文を見る前に、企業側が抱いている不安を理解しておきましょう。この不安を先回りして解消する内容を盛り込むことが、書類選考突破の鍵となります。
1. 「急な欠勤や早退が多くならないか?」
子供の急な発熱や行事などで、業務に穴が開くことを最も懸念しています。「病児保育の登録がある」「近くに頼れる親族がいる」といった**サポート体制(リスクヘッジ)**を明記することで、安心感を与えることができます。
2. 「仕事よりも家庭を優先しすぎないか?」
もちろん家庭は大切ですが、職場では仕事の責任を果たす必要があります。「残業なし」などの条件面ばかりを志望動機にするのではなく、**「限られた時間の中で効率的に成果を出したい」**という仕事への意欲をセットで伝えることが重要です。
評価される志望動機の構成テクニック
子育てとの両立を目指す志望動機は、以下の3段構成で組み立てるとバランスが良くなります。
- 【志望理由】 なぜその会社・仕事を選んだのか(純粋な仕事への興味)。
- 【両立への工夫】 どのように働くか(効率化への意識、サポート体制)。
- 【貢献・決意】 入社後にどう貢献したいか。
【状況別】子育てとの両立を目指す志望動機 例文集
ご自身の希望する働き方や状況に合わせて、以下の例文をアレンジして活用してください。
ケース1:正社員(フルタイム・残業少なめ希望)
【ポイント】
「残業ができない」ことをネガティブに伝えず、「時間内に終わらせる生産性の高さ」としてアピールします。
【例文】
貴社の「社員の生産性を高め、ワークライフバランスを推進する」という経営方針に深く共感し、志望いたしました。
前職では営業事務として、育児と両立しながらフルタイムで勤務しておりました。お迎えの時間というリミットがある中で、業務の優先順位を明確にし、マニュアル化を進めることでチーム全体の残業時間削減にも貢献しました。
貴社においても、限られた時間の中で最大限の成果を出せるよう、効率的かつ正確に業務を遂行し、即戦力として貢献したいと考えております。なお、子供の急病時は実家のサポートを受けられる体制を整えております。
ケース2:正社員(時短勤務希望)
【ポイント】
時短勤務制度を利用する感謝とともに、その分密度濃く働くという覚悟を伝えます。
【例文】
貴社が子育て世代の活躍を支援し、多様な働き方を尊重されている点に魅力を感じ、志望いたしました。
私はこれまで5年間、Webデザイナーとして制作業務に従事してまいりました。現在は子育て中のため時短勤務を希望しておりますが、短時間だからこそ集中力を高め、質の高いクリエイティブを提供したいと考えております。
前職で培ったスピード感とスキルを活かし、チームの一員として成果に貢献できるよう尽力いたします。
ケース3:パート・アルバイト(扶養内・時間固定)
【ポイント】
「長く安定して働けること」や「地域密着」をアピールし、シフトへの責任感を伝えます。
【例文】
自宅から近く、普段から貴店を利用させていただく中で、スタッフの方々の温かい接客に魅力を感じ、私もその一員として働きたいと思い志望いたしました。
子供が小学生になり手がかからなくなったため、日中の時間を有効活用して腰を据えて長く働きたいと考えております。事務職の経験があり、PC操作や電話対応には慣れております。決められたシフトを責任を持って守り、円滑な店舗運営をサポートいたします。
ケース4:ブランク明けの復職(未経験職種へ挑戦)
【ポイント】
ブランク中に培った視点(生活者目線など)や、社会復帰への強い意欲を伝えます。
【例文】
出産・育児による3年間のブランクがありますが、その間も社会との接点を持ち続けたいと考え、PTA活動や地域のボランティアに参加してまいりました。子育てがひと段落し、改めて社会人として責任ある仕事に取り組みたいと考え、未経験ではありますが興味のあった介護職を志望いたしました。
子育てを通じて培った「相手の状況を察する力」と「忍耐力」は、利用者様に寄り添うケアに活かせると確信しております。一から学び、長く貴施設に貢献したいと考えております。
ケース5:サポート体制が万全であることをアピールする場合
【ポイント】
企業側の「休むのでは?」という不安を完全に払拭する強力なアピールです。
【例文】
貴社の展開する〇〇事業の成長性と、チームワークを重視する社風に惹かれ、営業職としてキャリアを再構築したいと考え志望いたしました。
子供がおりますが、近居の両親のサポートに加え、病児保育やファミリーサポートの登録も済ませており、急な発熱や残業にも柔軟に対応できる体制を整えております。育児を言い訳にせず、プロフェッショナルとして数字にこだわり、貴社の事業拡大に貢献いたします。
書類選考でマイナスになる「NGな書き方」
以下のような表現は、「仕事への意識が低い」「権利主張が強い」と受け取られるリスクがあるため避けましょう。
- ×「子供がいるので残業は一切できません」
- 言い切り型は角が立ちます。「原則定時退社を希望しますが、緊急時はご相談ください」など、協調性を見せましょう。
- ×「子供優先で働かせてください」
- 職場は仕事をする場所です。「子供を大切にしつつ、仕事も全うする」というバランス感覚が必要です。
- ×「急に休むことがあるかもしれませんが…」
- 最初から休む前提で書くのはNGです。「ご迷惑をおかけしないよう、体調管理とサポート体制を整えています」とポジティブに書き換えましょう。
まとめ:子育て経験は「段取り力」の証明になる
子育て中の転職活動では、「子供がいること」を隠す必要はありません。むしろ、**「制約がある中で、いかに工夫して成果を出すか」**という視点で伝えることで、高いタイムマネジメント能力や責任感をアピールできます。
「この人なら、限られた時間でもしっかり仕事をしてくれそうだ」と採用担当者に思わせるような、前向きで誠実な志望動機を作成してください。





